ふるさと納税、医療費控除、iDeCoなど個人でできる節税対策の方法とは
税金や社会保険料に限らず、電気・ガスなどのエネルギーから食料品まで、ありとあらゆる生活に必要なモノがインフレによって値上がりしています。物価が上がれば上がるほど私たちが自由に使えるお金は減る一方です。
副業で少しでも生活費を稼げる時代になったとはいえ、本業に差しさわりのないような働き方をするのも厳しいものがあります。副収入を得るのが難しいのであれば、出ていくお金(=支出)を減らす工夫が必要です。
今回の記事では、個人でも節税や税額控除できる方法として、「ふるさと納税」「医療費控除」「iDeCo」をご紹介します。気が付かないうちに増えている無駄な出費を抑えて、効率良くお金を貯めていきましょう。
ふるさと納税
ふるさと納税は、自分が生まれ育った自治体に応援の意味を込めて税収となる寄付を送るなど、自分の税金の納付先を一部自由に選ぶことができるように制度化されたものです。しかし、現状は返礼品目当てに自分のふるさとではない自治体への寄付も少なくありません。そうは言いつつも、本来納めるべき税金総額の一部を、別の自治体に納めることで、魅力的な品物がもらえるのであれば、これを利用しない手はありません。
では、ふるさと納税をするとどのくらい控除されるのでしょうか。ふるさと納税をした金額のうち2,000円を超える部分については、一定額まで所得税・住民税から控除されることになっており、各々の税額控除の計算方法は次のとおりです。
① 所得税:(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率
② 住民税(基本分):(ふるさと納税額-2,000円)×10%
③ 住民税(特例分):(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-所得税率)
住民税の特例分とは、①②で控除できなかった分を特例として住民税の所得割額の2割に達するまで全額控除するものです。住民税の所得割額とは、所得に対して住民税10%を掛けた額を指します。
例えば、年収500万円(所得税率20%)の会社員が3万円のふるさと納税をした場合、控除される金額は次のとおりです。
④ 所得税:(30,000円-2,000円)×20%=5,600円
⑤ 住民税(基本分):(30,000円-2,000円)×10%=2,800円
⑥ 住民税(特例分):(30,000円-2,000円)×(100%-10%-20%)=19,600円
④+⑤+⑥=2万8,000円が所得税・住民税から控除されます。なお、ふるさと納税ではワンストップ特例制度を利用すれば確定申告を行う必要はありませんが、寄付先の自治体数が6以上ある場合は確定申告が必要です。また、高額の医療費を支払って医療費控除を受ける方は、ふるさと納税とも併用可能なので、確定申告をしてみましょう。
医療費控除
医療費控除とは、1月1日~12月31日までの間に、自身および生活を共にする家族等のために支払った医療費が、一定額を超えた場合に所得控除を受けられる制度です。医療費控除額は、1年間に支払った医療費-10万円または所得総額の5%(いずれか少ない方)であり、200万円が限度です。
なお、医療費が全て控除の対象になるわけではなく、代表例として以下の条件に当てはまる場合は対象外となっています。
また、医療費控除の特例として、特定一般医薬品等を購入した場合でも節税できます。これをセルフメディケーション税制と言いますが、医薬品の購入額が1万2,000円以上でないと控除を受けられません。控除額の上限は8万8,000円です。
なお、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制の適用を同時に受けることはできず、どちらかを選択しなければなりませんので注意しましょう。
iDeCo
iDeCo(イデコ)とは、個人型の確定拠出年金制度を指します。確定拠出年金制度とは、老後資金を確保するために企業あるいは個人が掛金を拠出し自ら資産運用を行い、老後に公的年金と併せてお金(老齢給付金)を受け取れる私的年金制度です。もともとは、アメリカで実施されていた401kという確定拠出年金制度をベースに作られたもので、日本版401kとも言われており加入は任意です。
確定拠出年金制度には、個人型(iDeCo)と企業型DCがあり、個人型はそれぞれ個人が掛金と言われるお金を出すのに対して、企業型DCは企業側が掛金を拠出します。掛金は所得控除の対象となるだけでなく、運用益は非課税なのが大きなメリットです。
では、iDeCoを利用するといくら節税できるのかを見ていきましょう。
(1)会社員の場合
年収500万円の会社員が確定拠出年金に加入した場合です。勤務先の企業型DCの有無で掛け金額は変わってきますが、ここでは勤務先に確定拠出年金制度がなくiDeCoに加入したと仮定します。
この方の場合、掛金には月額23,000円の上限があるので、年間27万6,000円を拠出します。給与所得から7万6,000円が「小規模企業共済等掛金控除」という名目で控除され、残った額に所得税率が掛けると、所得税・住民税併せて年間5万5,200円の節税になる計算です(iDeCo公式かんたん税制優遇シミュレーションより)。
(2)自営業者の場合
年収500万円の自営業者がiDeCoに加入した場合を見てみましょう。自営業者の場合は、給与所得控除がありませんので、収入から社会保険料や経費等を控除し、残った額に所得税率が掛けられますが、自営業者の場合も「小規模企業共済等掛金控除」という名目で控除が受けられます。
会社員と違うのは掛金の金額です。自営業者の上限は、国民年金基金と付加年金を併せて月額6万8,000円なので、年額81万6,000円です。
自営業者の場合は掛金が大きければ大きいほど節税額も大きくなります。掛金を上限した場合の所得税・住民税の節税額は、年間14万2,925円です。
なお、60歳以降に受け取る際に、公的年金と同じように年金形式とするか、退職金のように一時金としてまとめて貰うかを選択できますが、年金形式と一時金とでは納税額に違いがあります。また、原則として60歳に達するまで受給できず、受給する金額も運用成績によって変わる点にも注意です。
まとめ
ふるさと納税や医療費控除は、自ら確定申告をしないと税金が戻ってきません。確定申告は手続きが面倒と思われるかもしれませんが、ちょっとした手続きで数万円(場合によっては10万円以上)の税金が戻ってくるわけですから、対象となる方は利用しましょう。
収入源が限られる中、可処分所得を増やすには支出を減らすしかありません。特に誰でもできる医療費控除とふるさと納税はオススメです。また、今回ご紹介した以外にも節税対策はたくさんあります。さらに詳しい説明を受けたい方は、弊社のファイナンシャルプランナーが最大2回まで無料対応いたしますので、ぜひ活用してみてください!
監修:ファイナンシャルプランナー 福田 隼