見出し画像

複利運用とドルコスト平均法で将来貯まるお金が全然違う理由

預貯金だけでは十分に資産形成をできなくなった今、複利運用とドルコスト平均法による積立があらためて注目されています。複利とは、運用で得た利益を元本に再投資する方法なので、早く始めるほど複利の効果は大きくなり、20年後・30年後に貯まるお金が倍以上に違ってくることもあるのです。

今回のマネサプでは、複利運用と単利運用の違いやシミュレーション比較、積立投資でよく聞くドルコスト平均法のメリットをわかりやすく解説していきます。


複利と単利の違い

資産運用における複利効果とは、運用で得た利益を受け取らず、再び元本に回して投資を続けることで、利益がさらに大きくなることを指します。一方、単利運用では、運用で得た利益を毎年受け取る方法なので再投資しないのが特徴です。

例えば、元本300万円を年間利回り3%の金融商品で1年間運用した場合、1年後の運用益は300万円×3%=9万円ですが、この配当利益を毎年受け取るので、元本はずっと300万円のままです。そのため、1年後の元利金合計は309万円、2年後は318万円、3年後は327万円となり、10年後は390万円となります。

しかし、複利運用では、分配金を受け取らずに300万円の元本に組み込んでいきます。そうすると、1年後の運用益は9万円と同じですが、元本は300万円+9万円=309万円となるため、2年後の元利金合計は318万2,700円、3年後は327万8,181円となり、10年後は403万1,749円です。

同じ元本でも単利運用では390万円、複利運用では403万1,749円と【13万1,749円】もの差が生まれています。これが複利運用の最大のメリットです。

複利と単利のシミュレーション比較

複利運用の計算式は、元本×{(1+年間利回り)年数の累乗}で元利合計を求めることができます。先ほどの例で30年間運用した場合の単利と複利の違いは以下の通りです。

複利と単利の比較

※計算結果は小数点以下を四捨五入しています。
※本シミュレーションは、その内容の正確性、完全性、信頼性等を保証するものではありません。

複利運用では、「72の法則」という簡易な計算式で、元本が2倍になる期間を求めることができます。例えば、このケースのように年利3%の場合、72÷3=24年で元本が2倍になる計算です。実際、正確な計算式に当てはめてみると、300万円×{(1+年利3%)24の累乗}=元利合計609万8,382円となるので、正しい結果となっています。

また、「72の法則」はインフレによって何年後に物価が2倍になるかを求めることも可能です。IMF(国際通貨基金)統計によれば、2023年の日本のインフレ率(物価上昇率)は3.27%でした。もし、3%のインフレが続いた場合、72÷3=24年で物価が今の2倍になる計算です。

このように、複利運用による最大のメリットは、単利よりも圧倒的に効率よくお金を貯められる点です。単利では570万円になるのに30年必要ですが、複利は22年で574.8万円に達します。

2024年のインフレ率は2.24%と予想されておりますので、この数値以上の利回りを確保しないとお金の価値は目減りします。電気・水道・ガス料金や生活必需品などの物価上昇が厳しい時代を生き抜くためには、複利運用による資産形成が必須となっているのです。

ドルコスト平均法

上記のケースは年利3%で運用した場合の計算例でした。では、年利3%の金融商品には何があるでしょうか。

日本や海外の代表的な株式指数の過去10年間(2013年4月~2023年4月)における年率リターンを見ると、日経平均9.7%、NYダウ11.2%、世界株式8.5%といずれも好パフォーマンスを示しています。そのため、これらの株価指数に連動する運用成果を目指す「投資信託」が社会人の間で人気商品となっており、売買ランキングでも上位を占めているほか、新NISAの対象商品としても多く存在しています(新NISAの詳細は次回以降で触れます)。

しかし、これらのリターンは過去の実績であり、将来の運用成果を保証するものではありません。例えば、ロシアによるウクライナ攻撃やアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の利上げ発表で株価が大きく下落したように、期間によってはマイナスに落ち込むこともあります。

このように投資信託も価格変動リスクを伴うのですが、ドルコスト平均法を活用して積立購入するとリスクを分散できます。ドルコスト平均法とは、例えば、5万円分の投資信託を一括購入するのではなく、毎月1万円ずつ購入していく方法です。そうすることで、基準価額(株式でいう株価)が低いときには多くの口数を購入できて、逆に高いときには少ない口数を買付することになるため、結果的に平均購入単価を抑える効果を期待できるのです。

ドルコスト平均法

※筆者作成。数字はあくまでもシミュレーションなので将来の運用成果を保証するものではありません。なお、小数点以下は四捨五入で計算。購入時や運用時の手数料、税金等は考慮していません。

上表のように、5万円分の投資信託を一括購入したときと比べて、毎月1万円ずつ購入した場合の平均購入単価は9,671円とより少ない価格で、より多くの口数(51,700口)の投資信託を保有できています。もし、この時の基準価額が10,000円なら、一括購入の評価額は50,000円のままですが、毎月1万円ずつ購入していた場合、評価額は51,700円になる計算です。

もちろん、NISA商品は元本保証ではないため、リスクはあります。しかし、ドルコスト平均法は、長期にわたって一定額ずつ購入することにより、価格の上昇分と下落分を平準化するので、時間の分散効果を最大限活用できる方法です。例えば、長期積立に向いているNISAの“つみたて投資枠”と特に相性が良く、NISAが持つ非課税のメリットだけでなく、日経平均やダウ平均といった経済成長の恩恵を受けつつ、価格が変動するリスクを抑えた資産形成ができる仕組みとなっています。

また、投資期間が長いほど時間分散効果を発揮できるので、将来貯まるお金にも違いが出てきます。「毎月1万円を貯める」という行動自体は同じでも、上記の複利やドルコスト平均法を組み込めるかによって、運用成果は大きく変わります。

つまり、若いうちからコツコツと無理のない金額で、長期的に続けることが大切なのです。

まとめ

どの金融機関で口座開設をすればいいかわからない方や、さらに詳しい説明がほしいという方は、弊社のファイナンシャルプランナーが無料対応(原則2回まで)するので、ぜひ活用してみてください!

監修:ファイナンシャルプランナー 福田 隼