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【Zatsu】ハ・カ・イ

近頃はたいがいのことがタブレットやスマホで対処できるようになってきた。小学校でプログラミングの授業が組み込まれ、ITリテラシー向上の取り組みは進んでいるけれど、それは必ずしも端末所有率とは一致しない。ウチの会社でも、とくに若い世代だと実生活ならタブレットで十分、PCは持っていない、という人はめずらしくない。けれど、会社の事務をしていくうえでパソコンはいまだに必需品なんだよな。
フリック+予測入力がどれだけ高速化されようと、人間の10指を駆使したタイピングの牙城はなかなか崩しがたいものがある。もっとも、音声入力という最大のライバルが脅威になりつつあるが。

そんなわけで、おれもふだんの仕事では会社から貸与されているノートPCを使っている。ただ、どうやらおれのタイピング圧はかなり高いらしく、周囲からすると耳障りだそうな(ミサワの「ッターン」みたいな感じ)。
もちろんイライラしているときは感情が乗り移ってタイピングも荒くなるが、さりとて普段もさほどかわらないという(まったく悪気はないんだが)。

でも自覚症状がないだけで、周囲が声をそろえて「うるさい」というんだから、まちがいないんだろうね。
そういえばおれの会社PCの破損頻度は異常。
とくにEnterキー。小指の「ッターン!」圧に耐えられず、簡単に割れよるんですわ。もう3、4回は殺ってるかな。
修理業者に出して1週間たたないうちに引導わたしたこともある。
ノートってキーストローク(キーを押したときに沈み込む度合い)が短いでしょ。だから打点の衝撃がモロにキーへ伝わるんだろうな。
それにしても、1週間もたないって、あきらかに耐久度に難ありだろ。

ただ、周囲に理解者がいないので(おれが一方的に悪者)、自分で防衛策を講じるしかない。

先鋒:絆創膏ばんそうこう
しかも親指用の大きいやつね。パッド部分がいい感じにクッションになっていたんだけれど、やがてオレの小指の執拗な摩擦に耐えきれず、穴が開いてしまった。そこからは坂道を転げ落ちるようだったね。あっという間にEnterは砕け散った。しかも、はがす時のベトベト感が最悪で禍根を残すことになった。

中堅:発泡スチロール
これは意外とよかった。クッション性と押圧の伝達率が同居。まさに静と動のマリアージュ、といったところでしょうか。
ただ、スチロールってあるていどの厚みが必要でさ、ノートPCのふたがちゃんと閉まらないのよ。
で、グイッって閉めたら、中のほうで「パリッ」って。
そこからは坂道を転げ落ちるようだったね。あっという間にEnterは砕け散った。しかも、はがす時にまだらになるわ、粉はでるわ。醜悪な最期を迎えることとなった。

もちろん、そのたびに修理業者のお兄ちゃんに直してもらうんだけど、破損個所を見て「この人は何をやっているんだ」って顔をするんだよ。
まあ、無理もないね。

大将:プラ板
いよいよあとがない。
会社からは「今度こわしたら自費修理にするぞ、コノヤロー」と言われてしまい、何かないかと探してたどり着いたのがコレ(やさしく扱うという選択肢はない。あくまで抵抗力を高める方向で検討)。

Enterキーを覆う白いプラ板。おわかりいただけるだろうか


これまでクッション性を前提に考えていたけれど、正解はそうじゃない。キーそのものを補強する。この発想はなかったよ。下手な小細工より、やっぱり物理最強だな。

手元にあったauのプラカードをEnterキーのサイズに合わせて切り出した。いわばauブランドのオリジナルキーカバーとでもいうべきか。


1か月前に貼りつけたあと、執拗な小指のプッシュ攻撃もはねのけていまに至る(すでに印刷が剥げてかなり白くなっているのが、闘いの激しさを物語っている)。

でも、ここまで耐えられると、逆に悔しいというか、何としても破壊したくなるというか、おかしな暴力衝動に駆られるんだよね。
いまはリモートワーク中心なので、自室で「ッターン!」という音が響いています。
大将を乗り越える、その日まで。

「ッターン!」