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【Zatsu】暴力眼医者

最近どうも目が疲れがちで、うすうす感づいてはいたんですが、いまのコンタクトがあっていないんだと思います。ちょうど3カ月前にコンタクトの種類を変えてみたんだけれど、ブランドが違うと見え方の差も微妙に異なり、いまいちしっくりこない。度やカーブは同じなんだけれどね。また元のレンズに戻すことも考えて、眼医者さんと相談しようと思っています。

普段はコンタクトレンズもネットで購入しているので、医師に目を診てもらうことなんて、健康診断の時か、あとは今回のように視力検査を兼ねてコンタクトの作り直し相談をするときくらい。だからほとんど医者にかかったことはないんだけれど、ひとりだけ記憶に残っている眼科医がいます。

ショッピングモールの女帝エンプレス(K先生)
渋谷区にあるK眼科。当時の職場の近くでショッピングモールの2Fにあり、いつも混んでいた。
その日、仕事中も違和感を感じていたおれの右目は、時間を追うごとに腫れがひどくなっていった。これ以上悪化する前に処置したほうがいいだろうということで、昼休みに眼医者へ行くことにしたんだ。
しばらくすると診察室から呼ばれ、入ると女医が待っていた。院長先生らしい。診察が始まる。診療台に座るおれの目をあれこれ観察した先生は「細菌に感染して炎症を起こしているので、目薬を出しておきます。数日で落ち着くと思うので様子を見てください」と。
まあ、大したことなくてよかった。おれが安堵していると、先生は鏡をこちらに向けながら「でもねぇ、ホラ、このまぶたの裏の白いところ、腺が詰まっているからね」
先生の顔から表情が消え、スッと立ち上がると向こうへ向かって歩き出した。そして、つぶやくように言ったんだ。「取ったほうがいいわね、○○さん、準備……」
「はい」
気づくと、いつのまにかおれの背後に生気のない助手の女性が立っている。能面のような先生がゆっくりこちらに向かって歩いてきた。手には小さい針のようなものを持っている。
「!!!」
「何かあったら遠慮なく言ってくださいね(言えるものなら)」という先生の声と同時に、助手がおれの両手をがっちりホールドする。針が目に近づいてくる。
「む゛~!!」(気分的にはさるぐつわをかまされている心理)

――空白の数分間――

気づくと処置は終わっていました。
そのあと、こちらを向き直った先生は笑顔でこういったんだ。
「どう? かつて経験したことないくらいの痛みだったでしょ? クスクス」
わ、笑ってる!?🥶

痛かったですと告白したおれに、お猿のシンバル人形よろしく激しい喜び表現で応える先生。――ドSが、目の前にいる。

いまGoogleMapを見たら、ほとんど1評価。なかには星をつける価値なしとの辛辣な意見もチラホラ。そんななか、ときおり現れる5つ星のべた褒めコメントも。
ドSあれば、ドMあり。世の中は、そういう風にできている。

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