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思考のきろく

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雑談、妄言、コラムニストのまね。
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2023年3月の記事一覧

【Zatsu】闇深な自販機12

敵の本体を見切ったjoshはありったけのコインを打ち込み、みごとおまかせ王子を打ち破った。 人々に笑顔が戻り、だれもが明日に希望を見いだせる世界がやってくる。そう願っていたのだが……。 2023.03.09(Before) 2023.03.10 ―――ところが――― 2023.03.11 2023.03.12 2023.03.15 2023.03.17 走馬灯のように去来する思い出のシーン。 雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も。 あの日、あのとき、あの場所

【Zatsu】闇深な自販機11

おまかせ兄王子とその手下は残像拳の使い手だった。こちらの攻撃は空を切り、体力だけがじりじりと奪われてゆく。完全に手玉に取られ、焦りが焦りを呼ぶ。 進退窮まったおれたちは、しかし一瞬のスキをついてその場を離れ、何とか逃げおおせた。 2023.03.05(Before) 自販機は追ってくる様子もない(そりゃそうだ)。 しかしこのままでは……どうすればいいんだ? そのとき、あっちゃんの声が聞こえた。 「あなたはいまだ、幻影を追いかけているのかもしれない」 「いまだに幻影を追い

【Zatsu】きみはタブーを経験したか?

言ってはならない言葉、いわゆる禁句というのがあります。相手の名前をネタになじっちゃいけないとか、体型や身体的欠陥を冗談にしてはいけない、とか。小さい頃、よく親から言って聞かされたよね。 でも、世の中にはそういうのとは別のレベルで口にしてはいけない言葉があります。 むかしのこと、バイト先だったコンビニがつぶれたので次の仕事を探していたら、ひとつの求人広告が目にとまりました。 「電話オペレータ募集」 活気のある職場であなたも元気よく働いてみませんか いちばん小さい枠で必要最

【Zatsu】世の中をひっくり返すもの7

1.伝播時差 生成AIの世界で劇的な技術革新があったのはここ最近のこと。 ChatGPTの名を耳にしない日はなく、ニュースでも連日報道されている今、存在を知らないという方は少数派だと思う。 存在は知っている。 じゃあ、会社の仕事で使っているか? 職場でビジネスへの適用を前提とした話題があがっているか? もし答えがYESであれば、その職場はかなり先進的な気がする。 うちの会社の事業はこの生成AIの影響をモロにうける業界。 にもかかわらず、だれもこの話題を持ち出さない。 こ

【Zatsu】信念の発露

まじめな話。 嫁さんの勤務先に、ミッション系の女子校へ通っていた女性がいる。 その学校はいまも存在する。 わりと知られた中高一貫のお嬢様校なんだけれど、個性の強い先生が多いことでも有名だった。 ときは1989年1月7日。昭和天皇崩御のニュースが全国を駆け巡り、日本中が衝撃を受けた。そこで校長先生は、翌日の朝礼で体育館に集まった全校生徒に対し、その場での黙とうを呼び掛けたんだ。 しかし、そのときひとりの教師が立ち上がった。 そして「昭和天皇のために祈りを捧げるなんてとん

【Zatsu】闇深な自販機10

春の陽気を思わせる青空の下、あたりは言いようのない緊張感に包まれていた。待ちくたびれたよ、「おまかせ」クン。お茶のフェイクをかませるとか、嫌いじゃないぜ、そういうところ。 2023.03.4(before) 「ヴゥーン……」自販機がうなる。 「フッ」鼻をひとつ鳴らすと、次の瞬間、おれは地面を蹴っていた。 「初手、参るッ!」 2023.03.05 しかし、おれはひとつの仮説を立てていた。 「おまかせ」とはどういう意味か。 ふつうは見本の下にあるボタンを押すと、おなじ商

【Zatsu】闇深な自販機(号外!)

号外で~す、号外で~す! 前回のバトルからまだ1週間もたっていない。目を閉じれば今でもありありと、あの日のことが思い出される。 おれたちは長きにわたる闘争の末、ラスボスを打ち破った。 2023.02.26(before) 満身創痍。 失ったものだって少なくないさ。 しかし、それ以上に得たものがある。 そう、力を合わせれば、乗り越えられない壁などない。 おれたちは手を取り合って時代の荒波を乗り越えていくんだ。 ただ今は……しばし勝利の余韻に浸ろう。 そう思っていた。

【Zatsu】THE 名人芸

あの感動からまだ3時間とたっていない。いまも興奮冷めやらぬ状態で、震えながらこのテキストを打ち込んでいます。 会社からの帰宅途中でのこと。日暮里駅のホームで電車を待っていたんです。 「え~、まもなく~、2番線に各駅停車、成田行きがまいります。黄色い線の後ろに下がってぇ~、お待ちください(最後のところチョイ駆け足)」 「停車駅は――」 終点までの停車駅なんて、ぜんぶ頭の中に入っているんでしょう。たくさんの駅名が次から次へと淀みなくあふれ出てきた。圧巻である。 「成田駅まで