肺炎球菌ワクチンが子供の自閉症を引き起こすという証拠はありません。

肺炎球菌ワクチンは、子どもの自閉症スペクトラム障害(ASD)の原因になるのでしょうか?いいえ、そんなことはありません: 肺炎球菌ワクチンやその他のワクチンが自閉症を引き起こすという主張を支持する科学的根拠はありません。肺炎球菌ワクチンは、米国疾病管理予防センター(CDC)と世界保健機関(WHO)の両方が推奨しているワクチンです。

この主張は、「何よりもまず,害を与えてはならない(First, do no harm.)」というタイトルで、2023年5月10日にInstagramのスライドショー(アーカイブはこちら)に登場ました。投稿の説明文には次のように書かれています:

過少申告は大きな問題です。

リスクはありますし、反応も稀ではありませんけれど、単に主流ではないだけで、医師は明らかなもの以外の反応がどのようなものかについて知る訓練を受けていないだけなのです。

だからこそ、決断する前に全ての事実を把握することが重要なのです。

後で何とかすることが出来ても、元に戻すことは出来ないのです。

3枚目のスライドでは、たった一度の💉(=ワクチン接種)であっても(そうなる)可能性のあることも示されています。

https://web.archive.org/web/20230512143403/https://www.instagram.com/p/CsE8YQBuvYz/ 

執筆時のInstagramでの投稿は以下のような感じでした:

(出典:2023/05/12 金曜日 5:41:04 UTCに取得したInstagramのスクリーンショット)

三つ子

Instagramの投稿の4番目のスライドは、肺炎球菌ワクチンとこの3人の子供達が発症したとされる自閉症との関連性を示唆することで、肺炎球菌ワクチンに対する事例を説明しようとしています:

(出典:2023/05/12 金曜日 18:34:33 2023 UTCに所得されたInstagramのスクリーンショット)

このスライドは、三つ子が「同じ日に自閉症に退行した」「原因は肺炎球菌ワクチンの1回接種である」という主張の根拠を何も示しておりません。Lead StoriesによるGoogleニュース検索では、この投稿で渡された名前の子供達に関する記事は見つかりませんでした。

しかしながら、より広範なGoogle検索では、反ワクチンサイトで、投稿で名付けられた家族、McDowells家について、いくつかの話が出回っているのを発見しましたが、それは主にソーシャルメディア上の動画で見つかったものでした。

McDowell一家のためのGoFundMeキャンペーンに関連した少なくとも1つのYouTube動画が、はっきりしない理由で同プラットフォームから削除されていました。

(出典:2023/05/12 金曜日 18:41:54 UTCに取得されたGoFundMeのスクリーンショット)

自閉症スペクトラム障害

ASDは、社会性、コミュニケーション、行動面で重大な問題を引き起こす可能性のある発達障害です。メイヨークリニックによりますと、「既知の単一の原因は存在しません」とされています。また、ASDの原因として考えられるものの中に、ワクチンは含まれていません:

ASDは複雑な疾患であり、症状や重症度も様々であることから、恐らく多くの原因が存在すると考えられます。遺伝と環境の両方が関与している可能性があります。

《遺伝に関連》
自閉症スペクトラム障害には、いくつかの異なる遺伝子が関与しているようです。一部のお子さんでは、自閉症スペクトラムはレット症候群やフラジャイルX症候群などの遺伝的疾患と関連している可能性があります。また、遺伝子の変化(突然変異)が自閉症スペクトラムのリスクを高める場合もあります。更に、他の遺伝子は、脳の発達や脳細胞の伝達方法に影響したり、症状の重篤度を決定する可能性があります。遺伝子変異の中には、遺伝するものもあれば、自然に起こるものもあるようです。

《環境要因に関連》
研究者らは現在、ウイルス感染、妊娠中の薬剤や合併症、大気汚染物質といった要因が、自閉症スペクトラム障害の引き金になるのかどうかを探っています。

https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/autism-spectrum-disorder/symptoms-causes/syc-20352928 

2023年5月12日、Lead Storiesへの電子メールで、CDC上級広報専門家Belsie González氏が、同機関の予防接種安全対策室からの肺炎球菌ワクチンのクレームに返答しています。そこには以下のように書かれていました:

肺炎球菌ワクチンを含むワクチンは、自閉症の原因とはなりません。

肺炎球菌ワクチンを含む全てのワクチンは、認可前に安全性が厳しく監視され、認可後も安全性の監視が継続されています。肺炎球菌ワクチンと自閉症の間の因果関係を示すデータはありません。

ワクチンがCDCの予防接種実施諮問委員会によって推奨され、専門機関によって支持されているのは、ワクチンが命を救い、罹患を予防し、ワクチン接種による利益が有害事象のリスクを上回るからです。

Fact Check: NO Proof Pneumococcal Vaccine Causes Autism In Children | Lead Stories

より詳しい情報はこちらで確認することが可能です。

また、CDCのウェブサイトでは、最も一般的な副作用は軽度であり、1~2日続くと付け加えています。このリストでは、ASDの症状への言及はありません:

《肺炎球菌ワクチンの一般的な副作用》
・眠気を感じる
・食欲不振
・注射を受けた腕の痛みや腫れ
・発熱
・頭痛

https://www.cdc.gov/vaccinesafety/vaccines/pneumococcal-vaccine.html 

通常の小児用ワクチンの一部として、乳幼児に肺炎球菌の予防接種をCDCは推奨しています。

WHOも、髄膜炎や肺炎などの病気を予防するために肺炎球菌ワクチンを推奨しており、「世界中で罹患率と死亡率の共通の原因であり、幼児や高齢者により深刻な影響を与えます」と述べています。

Lead Storiesは以前、自閉症ワクチンに関連する追加の主張についてファクトチェックを行なったことがあります。

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