【こんなお粗末な物に騙される人って居るのですかね?w】養殖鮭は着色なんかされていませんし、毒もありません。

【和訳】

養殖鮭は毒なのでしょうか?そして、養殖鮭の「灰色」の肉は、人を失明させるような人工着色料で染められているのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。鮭の身は戦艦のような灰色ではありません。天然、養殖に関わらず、摂取され代謝されたカロテノイドが、鮭の身の色を特徴づけているのです。カンタキサンチンとアスタキサンチンは、養殖鮭の飼料に含まれる可能性のあるカロテノイドで、FDAによって一定の濃度が承認されています。収穫後に「染める」のではなく、野生のサケが自然界から摂取しているカロテノイド化合物を含む飼料を養殖魚に与えているのです。

これらの化合物は、白斑や光線過敏症などの治療薬や、肌を黒くする 「日焼け促進剤(Tanning pills)」にも使用されています。日焼け促進剤(Tanning pills)はFDAの認可を受けておらず、「日焼け」の目的でカンタキサンチンを直接大量に摂取した人の中には、網膜に結晶の沈着が生じたという研究結果もあります。カロテノイド化合物を添加した餌を食べた養殖鮭を消費することによる人間の目への同様のリスクを示す研究はありません。鮭は、目の健康を守るオメガ3脂肪酸の最高の供給源と考えられています。

養殖鮭の身が灰色である、或いは目の問題を引き起こすという主張は10年以上前に遡り、2011年にYouTubeにある動画が投稿されました。鮭の灰色の切り口のフォトショップ画像は、2015年の記事で見ることが出来ます。この主張は、2022年3月15日に "Farmed Salmon is Poison "というタイトルで公開されたFacebookの投稿で再浮上していました。冒頭は以下の通り:

世界で生産される鮭の70%は養殖です。
養殖鮭はピンク色ではなく、灰色なのです。漁業者はそれを承知で、鮭の餌に人工色素を加え、ピンク色に仕上げているのです。人工色素のひとつにカンタキサンチンがありますが、これは人間の視力低下を引き起こすと言われています。
養殖鮭は、これまでで最も毒性の強い食品と言えるかもしれません。しかし、「ヘルシー 」と宣伝されています。

https://www.facebook.com/captpaulwatson/photos/a.443115070931/10159443574340932

記事執筆時点では以下のような状態でした。:

(Image source: Facebook screenshot taken on Thu Mar 17 18:46:15 2022 UTC)

鮭業界では、天然魚と養殖魚、或いは魚を食べるべきかどうか等、数多くの論争があります。今回のファクトチェックは、このような他の問題には一切触れず、狭い範囲でのチェックとなります。「養殖鮭は毒である」「写真のような灰色をしている」「色を変えるた為に人工色素を与えている」「養殖サーモンを食べると人間の視力を脅かす可能性がある」という4つの主張について、Facebookの投稿で紹介されているものを見ていきます。

主張:養殖鮭は毒である

魚に含まれる環境汚染物質、特に水銀やPCBが懸念されています。養殖魚の場合、さらに養殖用薬剤に関する懸念があります。FDAが養殖用として認可した動物用医薬品で処理された魚(FDAの資料の4ページ目はこちら)は、食べても安全です。妊娠可能な年齢の女性には週に2〜3皿(合計8〜12オンス)の魚を食べてEPAとFDAを接種することを推奨しています(子供には少なめに)。PDFの情報シートでは、水銀濃度が最も高い魚の種類が "Choices to Avoid "として掲載されています。鮭は、天然か養殖かを問わず、"Best Choices "に挙げられています(毒ではありません)。

主張:養殖サーモンは 「灰色」である

この画像(中央下)は、デジタル編集ソフトで作成したものです。写真の一部分だけ色が抜かれ、魚の身が食欲をそそらない濃いチョークグレー(投稿では英国で好まれる綴りのグレーを使用)色に見えています。以下は、TinEyeに掲載された(削除されています)オリジナル画像(左)、Facebookの投稿画像(中央)、全ての色を除去した画像のコピー(右)を比較したものです。

(Image source: Lead Stories composite image from Facebook and Tineye screenshots taken on Fri Mar 18 23:16:00 2022 UTC)

主張:魚は色を変えるために人工染料を与えられている

養殖・天然を問わず、鮭の身のピンク色は、鮭が食べる餌に由来しています。フラミンゴがピンク色になるのと同じカロテノイドという化合物です。野生の鮭は、小さな甲殻類を食べたり、甲殻類を消化管に持つ他の魚を食べたりして、これらの化合物を得ます。養殖サーモンはカロテノイドを飼料に添加したものです。紅鮭の濃い赤色から、野生のアイボリー・キングサーモンの淡い色まで、野生の鮭の身の色には自然差があります。これは、遺伝的に自然食に含まれるカロテノイドを代謝・貯蔵する能力を持たないキングサーモンまたはチヌークサーモン(通常ピンク色の身をしている種類)です。これらの天然魚は他のチヌークと同じ餌を食べていますが、約5%がこの遺伝子の違いを持ち、そのため身が白くなっているのです。

商業的な鮭生産者は、養殖鮭の餌にカロテノイド、商標のカロフィルアスタキサンチンを含む他の製品を補います。この食品添加物は、養殖魚の肉をより深い(そして市場性のある)ピンク色にしますが、アスタキサンチンは、ビタミンAのプロビタミンとして働く魚にとって必須の栄養素であり、この化合物は藻やクリルなどの天然由来と合成由来とがあります。欧州食品安全機関は以下のように述べています。」

アスタキサンチンを鮭・鱒の食事許容量まで使用することは、消費者の安全にとって懸念することではありません。

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3725

FDAは、アスタキサンチンを含む飼料で育った鮭にラベルを付けることを要求しています。スーパーで遭遇する「着色料添加」の表示は、魚の加工後に身の部分に色素を注入したり、浸したりしたかのように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。カロテノイド化合物は、天然の鮭と同じように、魚が生きている間に代謝されるのです。

主張:カンタキサンチンを摂取した魚を食べると、人間の視力にダメージを与える可能性がある

Lead Storiesはこの主張を、2011年2月27日にNutritionFacts.orgチャンネルに投稿された「魚における人工着色料」と題する短いYouTubeビデオまで遡ることが出来ました。0分48秒のところで、ナレーターが人体への影響の可能性について紹介し、動画ではカンタキサンチン網膜症に関する医学論文が紹介されています。Lead Storiesは、鮭の消費と関連したカンタキサンチン網膜症の報告例を見つけられませんでしたが、jamanetwork.comのYouTube動画から1999年のフォト・エッセイを発見しました。この無症状患者の症状は、「黄斑を取り囲むようにドーナツ状に配置された網膜結晶性沈着物」で、通常の眼科検査で発見されました。34歳の男性で、真っ黒に日焼けしていました。

患者の問診を更に進めた結果、肌をブロンズ色にする目的で、カンタキサンチン(Orobronze; DeWitte, Greenville, SC)を1日4カプセル(30mg)内服していたことが判明しました。

https://jamanetwork.com/journals/jamaophthalmology/article-abstract/411671

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