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「異化崩壊(catabolic collapse)」を防ぐために②

最近の戦争や難民危機、飢餓、感染爆発の原因の分析は、

ほぼ常に

政治的・経済的・個人的原因のみに注目が置かれ、人口爆発の切実な根本的原因にはほとんど触れられることはない。

2世紀も前に、人口学に関する深い洞察を持ったトマス・マルサスは

「人口の力は、人間が生存するための糧を生産する地球の力よりも限りなく大きい」

ということ、つまり、

人口は幾何学級数的に急速に増加する傾向がある一方、

食糧は、算術数的にゆっくりとしか増加しないと論じた。


資源は限られているのに、

人口爆発の問題は、

たとえ、

今、世界において事実上すべての壊滅的問題の直接の原因であってめも、

それをメディア、政治議論、学者の発表において議論したり、取り上げたりすることは、ほぼ絶対的とも言えるほど、タブーになっている。

なぜなら、人口爆発を議論する際に、人口抑制ということに触れねばならず、人口抑制が暗示する恐ろしい含意・連想のせいでみな、人口爆発の話題から逃げているからである。

人口抑制の暗示する意味には、

ヒトラー、優生学、深く根付いた宗教的信念との矛盾、そして家族生活主義の破壊、エスノセントリズムなど、議論したくなく、蓋をしてきたようなさまざまなものがある。

しかし、例えば現に、シリアでは、

マルサスが唱えた典型的な人口爆発を経験し、

その人口は、1950年の300万人から、2012年には2200万人に増えた。

だが、2006年から2009年は、気候科学者によって地球温暖化が原因とされた長期にわたる干ばつを経験した。

この干ばつにより、大規模な不作が起き、農村に住む150万人の住人が都市部へと移住した。

こうしたストレスが、程なくして恐ろしい内戦と無政府状態につながり、

マルサスが言うところの「残酷な人口抑制」を現在もたらしている。

25万人から50万人が殺され、内戦前の人口の半数以上の人々が、国内での移動、または国外への移住を強いられてきた。

そして、この問題はまだ始まったばかりで、解決策は見えていない。

問題に蓋をしているだけである、という視座から、

日々のトップニュースを眺めるとき、

新たな大惨事は、驚愕することではなく、私たち人類が目を背けてきた結果として反省すべきことである。

そこに映し出されているのは、ただ、あまりにも多すぎる人々が、あまりにも少ない資源を追い求めている光景である。

人口爆発の地域を破壊する革命、内戦、大量の移民、飢饉、干ばつ、洪水などはほぼ必然的に起きている。

そして細菌やウイルスは、個体数の少ない別の種ではなく、新たに現れた大量の人間という餌に増長し、大規模感染を引き起こしている。

人口爆発の問題を避け続けることは、さらに致命的になりうる戦争のリスクを増大させる脅威であり、未来に対して盲目で在り続けることだと、私は、思う。

ここまで、読んでくださり、ありがとうございます。

今回は、少し思い切って踏み込んだテーマにしました。

今日も、頑張りすぎず、頑張りたいですね。

では、また、次回。

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