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美容室のためのできることから新型コロナ対策【後編】~「お金」の不安を和らげるために~

美容室の経営支援、ポイントを紹介。使わない手は、ない!

国や自治体で多くの経営支援策が用意されているのは、みなさんご存じだと思います。しかし、「何を使えるのか不明」「申請が面倒」の2つがネックで一歩踏み出せていない方もいるのではないでしょうか。ここでは、代表的な4つの制度を紹介します(5月15日現在の情報)。
まずは、①自分はどの支援策が使えそうか、目星をつける ②各窓口に電話する(つながらなくてもしつこくかける)ことから始めてみませんか。利用できるものは利用して、この未曾有の事態を図太く生き延びましょう!
(ヘアモード編集部)

これだけは知っておきたい国の経営支援策

※日々内容が更新されているため、必ず最新情報を確認してください。

◎給付金・助成金
要件を満たし、申請・審査が通れば「支給される」お金
(1)持続化給付金
(2)雇用調整助成金
(3)小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援

◎融資
要件を満たし、申請・審査が通れば「借りられる」お金
新型コロナウイルス感染症特別貸付

☆各種支援策の詳細、最新情報
[経済産業省 新型コロナウイルス感染症関連]で【検索】

(1)持続化給付金

営業自粛などにより、大幅に売上が減少した美容室向け。申請もかなり簡素化されているので、給付対象に該当する場合は、必ず申請を!

■給付対象者
中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者等、その他各種法人等で、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している者

■給付額
前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上×12カ月)
※上記算出方法により、法人は200万円以内、個人事業者等は100万円以内を支給。

☆問い合わせ先
中小企業 金融・給付相談窓口 Tel.0570-783183
※平日・土日祝日 9~17時

☆webサイト
中小企業庁 https://www.jizokuka-kyufu.jp/

(2)雇用調整助成金(新型コロナ特例措置)

営業自粛などにより、やむを得ずスタッフを休業させた美容室向け。休業手当額の一定割合を政府が肩代わりしてくれる。事後申請もOK!

■対象事業者
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主

■対象従業員
全従業員
※雇用保険の被保険者でない労働者(新入社員、派遣社員、契約社員、パート従業員、アルバイトなど)の休業も対象

■生産指標要件
直近1カ月の売上が前年同月より5%以上減少

■手続き
申請に必要な「計画届」は、事後提出でも可(令和2年6月30日まで)
※今後、計画届の提出が不要となり、申請手続きがより簡略化される可能性があります。

■助成率
休業手当(労働基準法の基準は、賃金の60%)に対し、助成率は、中小企業は5分の4、大企業は3分の2。
ただし、従業員を解雇しない場合は、中小企業は10分の9、大企業は4分の3を助成。また、賃金の60%を超えて休業手当を支給する場合、60%を超える部分については100%助成する(つまり、賃金の60%を支払っても、100%支払っても、企業が負担する金額は同じ)。令和4月8日以降の休業等に遡及。

☆問い合わせ先
最寄りの都道府県労働局またはハローワーク コールセンター
[フリーダイヤル]0120-60-3999 ※平日・土日祝日9~21時

☆webサイト
厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

(3)小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援

新型コロナ対応で小学校等が臨時休業したとき、美容室がその子どもの保護者であるスタッフに年次有給休暇とは別に、有給を取得させた場合の助成金。ママ美容師がいる美容室に!
※小学校、義務教育学校(小学校過程のみ)、特別支援学校(全ての部)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育園、認定こども園等

■対象事業者
① または②の子どもの世話を行なうことが必要になった労働者に対し、労働基準法上の年次有給休暇とは別に、有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主。

① 新型コロナウイルス感染症に関する対応として、臨時休業等をした小学校等 に通う子ども
② 新型コロナウイルスに感染した等の子どもであって、小学校等を休むことが必要な子ども

■支給額
休暇中に支払った賃金相当額の全額
※支給額は、8,330円を日額上限とする
※大企業、中小企業ともに同様

☆問い合わせ先
学校等休業助成金・支援金、雇用調整助成金、個人向け緊急小口資金相談コールセンター[フリーダイヤル]0120-60-3999 
※平日・土日祝日9~21時

☆webサイト
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

【融資】新型コロナウイルス感染症特別貸付

営業自粛などにより一時的に売上が下がり、固定費の支払いなど資金繰りに苦しむ美容室向け。金利がかなり引き下げられ、さらに要件を満たせば実質無利子になるため(特別利子補給制度)、利用しやすい!

■対象事業者
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、一時的な業況悪化を来し、次の①または②のいずれかに該当し、かつ、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれる方

① 最近1カ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少した方
② 業歴3カ月以上1年1カ月未満の場合は、最近1カ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方
・ 過去3カ月(最近1カ月を含む)の平均売上高
・ 令和元年12月の売上高
・ 令和元年10月から12月の平均売上高

■資金の使いみち
運転資金、設備資金

■金利
・ 3,000万円以内の部分
当初3年間は基準金利▲0.9%(1.36%→0.46%)、4年目以降基準金利
・ 3,000万円を超える部分
基準金利

■融資限度額(別枠)
国民事業6,000万円

■返済期間
設備資金・・・20年以内
運転資金・・・15年以内
(うち据置期間5年以内)

☆問い合わせ先
[平日]
日本公庫 事業資金相談ダイアル[フリーダイヤル]0120-154-505
沖縄公庫 融資第二部中小企業融資第一班 Tel.098-941-1785

[土日祝日]
日本公庫[フリーダイヤル]0120-112476
沖縄公庫 Tel.098-941-1795

☆webサイト
日本政策金融公庫 https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/covid_19.html

経験者に学ぼう! ぶっちゃけ、申請どうでした?

『TRIPLE ef』代表の中島さんは、税理士、社労士の手を借りず申請までこぎつけた猛者!しかし、その過程には多くの苦労が……。その体験談から、「要所」を洗い出し、自身の行動に生かそう。
※中島さんは3月末より動き出し、4月頭から申請開始。

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」申請のリアル

Q.実際申請して感じたことは?
A.申請→面談→着金にそれぞれ時間がかかるので余裕を持って申請を。日本政策金融公庫の各支店は電話が比較的つながりやすいかも!

窓口に電話がつながるか不安でしたが、日本政策金融公庫の当社所在地の管轄支店はつながりやすく、対応も丁寧でした。僕は、もともと公庫からの借り入れがあったので、要求された書類は少なかったです。取引が無い方は、美容室の営業許可証や美容師免許が必要な場合があるようです。4月1日に書類一式を送付し、同24日に面談、借り入れ可否の連絡は面談日当日にありました。着金は5月3週目ぐらいになりそう。面談では、創業時に借り入れしたときよりずっと「出す方向」で考えてくれているなと感じました。

Q.どうしてこれを利用することに?
A.スタッフを雇用し続けられるという“気持ちの安定”と、この状況をしのぐための時間を手に入れるため

僕がお金の不安を抱えていると、必ずスタッフにも伝染してしまいます。スタッフには雇用継続や給料の心配をかけたくありませんでした。この借り入れで、「スタッフを雇用し続けられる安心」と「しばらくはこの危機をしのいでいける安心」を手に入れることができました。実質無利子になる制度(利子補給制度)の対象となったので、使わなければそのまま返せば良いと思っています。

「雇用調整助成金」申請のリアル

Q.実際申請して感じたことは?
A.労働局、ハローワークの窓口は電話がつながりにくいし、直接行ってもかなり待つ!ただ、マニュアルをイチから読むのは大変なので、窓口で教えてもらうのがベター

まず、窓口に電話してもなかなかつながらない! コールセンターには、19時半以降が比較的つながりやすかったです。また、窓口も混んでいます。今は、当社の管轄窓口での相談・面談は予約制になっていて、30分以内に相談&書類を提出、足りない書類は郵送で対応してくれることもあるみたいです。ただ、主要な書類がないと受理してもらえないので、コールセンターや窓口で事前に必要書類を確認し、出来る限りの準備をして面談に臨みたいところです。ちなみに僕は4月2日に窓口へ出向き、面談は同22日、そのときに書類を提出しました。着金はいつになるか分からないとのこと。ここでも、窓口の方々は親切でした。

Q.どうしてこれを利用することに?
A.「もらえるものは、しっかりもらおう!」の精神

当社は休業せず、出来る限りの感染予防を行ない、時短で定休日以外毎日営業することを決めていました。しかし、お客さまの数はもちろん減少。ですので、助成金で補えるものを補いたいと考えました。助成金の支給申請が通ったら、従業員に目減りした分の給与を補てんしたいと考えています。

☆中島さんからのアドバイス

窓口の担当者は、けっこう親切。勇気をもってまずは電話してみましょう! あと、窓口に書類を提出しに行くときは、印鑑と印鑑証明(個人、法人共に)を持っていきましょう(その場で捺印、訂正印を押せる)。また、法人の場合は登記事項証明書、全部事項証明書もとっておき、必要なときにすぐ提出できるようにしておくとよいと思います。


監修_ 濱崎洋志[税理士法人 古田土会計]
はまさき・ひろし/税理士法人古田土会計経営計画作成支援コンサルタント。同社で10年以上、月次決算による会計指導と、経営計画書の作成指導を行なっている。

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モデル事例提供_中島 翔[(株)TRIPLE ef]
なかじま・かける/1983年生まれ。神奈川県出身。横浜商業高等学校別科卒業後、同県内2店舗を経て、2018年『㈱TRIPLE ef』を設立。

【関連記事】美容室のためのできることから新型コロナ対策【前編】

※本記事は、『ヘアモード』2020年7月号の記事を転載しました