今更聞けない、雇用調整助成金<前編>
今更、雇用調整助成金?
会社勤めをしている人であれば、雇用調整助成金という言葉を聞いた事が無い人は、コロナ騒動があった今ではもう殆どいないと思います。
それもその筈、コロナショックをあまり受けていないという"稀有"な業界を除いては、ほぼどの企業に対してもこの雇用調整助成金はそのまま企業の生命線であり、活用必至の切り札となっていると言えるでしょう。
にも関わらず、私の周りの話を聞く限りこの"切り札"を本当に上手に使えている企業はそんなに多く無いというのが実態です。
まだ手遅れではない!あなたの企業は本当にフル活用出来ているか?
まず話の展開の前に大事な部分を1点。
この記事を書いている2020年6月1日時点で、雇用調整助成金の事後申請(詳しくは後述する)は、2020年6月30日まで可能であるという事を、しっかりと伝えておきたいと思います。
とにかく6月中に行動を起こすかどうかが鍵。
つまり、まだ間に合う、という事です!
「そんなのは当然やってるよ」
という方も、ちょっと待って下さい。
"活用している"と"フル活用している"との違いは、かなり大きな違いです。
もし最後までご覧頂いて、きちんとフル活用出来ているのであれば謝罪申し上げますが、それでも無駄にする時間はほんの数分の筈です。
ここは"フル活用出来ていない"可能性を考えて、最後まで読んで頂く事を強くお勧めしたいと思います。
雇用調整助成金の全体像
さて、ではまず今回の主役、「雇用調整助成金」とは何か?
から説明します。
かなり簡潔にまとめると、全体像は以下の通りです。
コロナの影響で売り上げが5%以上下がる・・・①
↓
仕事が減る・・・②
↓
従業員を休業させる・・・③
↓
休業手当を60%以上払う・・・④
↓
(☆教育訓練を行う・・・⑤ 省略可。ただし結構大事)
↓
雇用調整助成金がもらえる・・・・⑥
とこういう流れになります。
一つ初歩的な事ですが勘違いしている方が多いのでお伝えしておくと、
休業手当・・・会社が従業員に払うお金
に対して、
雇用調整助成金・・・国が会社に支払うお金
という事にご留意頂きたいと思います。
フェーズ1:前年と比較して売り上げが下がった
具体的には、計画届けを出す月の前月(5月に出すなら4月、6月に出すなら5月)の今年と昨年の売り上げを比較する事となります。
6月に計画届けを出すと仮定すると、昨年と今年の5月の売り上げを比較し、今年の方が5%以上低下していれば条件クリアです。
以前までは「計画届」を提出後「支給申請届」を出す流れだった為、売り上げの算定期間は"計画届を出す前月"という規定でした。 しかし申請手続きの簡素化により、計画届の提出が必要なくなった為、今では"支給申請届を出す前月"が売り上げの算定期間となります。
ここで注意点を一つ挙げると、5%以上の売り上げ低下というのは、あくまで法人毎である、という点です。
稀にあるケースですが、ある1つの店舗の売り上げは大幅に下がっているのに、法人として見た時に5%以上低下していなければ要件を満たさない事となってしまいます。
フェーズ2:仕事が減った
ここが盲点になっている企業がたまにある様なので、丁寧に記しておこうと思います。
雇用調整助成金は、支払った休業手当に対して〇〇%助成しますよ、といった内容であるが故に、休業していない企業であれば該当しない、と思い、そこで調べるのをやめてしまう企業が多いように思います。
確かにコロナの影響をあまり受けておらず、休業する従業員がいない企業は幸いにも今回の要件には当てはまりません。
ただコロナの影響が出ているのに、休業が発生していないと言うなら話は別です。
仕事が減ってしまったが、従業員を休ませると休業手当を払わなければならないので、やる事がなくても従業員に仕事をさせていると言うなら、
雇用調整助成金を活用して、休業をさせた方が良い場合もあります。
就業させた場合は当然給与は10割負担ですが、休業させれば約1割負担(この辺は色々と条件がありますので「中編」で記載)で済みます。
短時間休業という手もありますが、これも要件が緩和された事で店舗単位や事業部単位で実施した場合に支給申請できるので、上手く活用したいですね。
フェーズ3:従業員を休業させる
1ヶ月の判定基礎期間(休業手当を支給し、本助成金の申請をする月)で、従業員の総労働時間の1/40以上休業している場合であれば申請要件を満たします。
これも仕事が減った場合に休業をした方が良い理由の一つでもあるのですが、
頑張って就業をしても、全体の休業日数が少なければこちらの要件に引っかかってしまい、雇用調整助成金の申請そのものが出来ない可能性が出てくるのです。
企業努力が素晴らしく、無事に仕事がある場合は何よりだと思います。
ただ今回のコロナ騒動については、人の努力ではどうにもならない範囲が大きいので、仕事に影響が出てしまっている場合は、計画的に休業者を出した方が良いというのが私の考えです。
企業の未来を守る為に、耐え忍ぶ期間として助成金を活用する事は決して間違った判断ではありません。
助成金支援室 室長
Twitter:@yokoyama_m_0929
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