K-POP「花」コンセプト楽曲から見る『InBloom/ZB1』歌詞の妙|儚い花で意志を歌う
2023年7月10日にデビューしたZEROBASEONE。
初の活動曲『InBloom』は、初日からMelonTop100にチャートイン、セールス200万枚と好調なのです…が…MVの再生回数が本当に伸びない!
もっと魅力を知ってもらう方法はないか…と思い今回このnoteでは”歌詞”の側面から『InBloom』を個人的に解釈します。
本当はMV考察とかした方がいいのかもしれないけど、映像考察はあまり得意ではないので…
やることが遠回しすぎますが、まぁ私らしいかなとも思います。
今回はInBloomのコンセプトでもある「花」を起点に、
・K-POP楽曲で歌われる「花」について(先輩に学ぶ)
・InBloomの歌詞はどうしてあんなに切ない?(個人的解釈)
ということをなるべく…コンパクトに…書いていきます!
ちなみに、世界観考察とかでもなんでもなく、ただの個人的解釈です…
ぜひファンの方はスミンのお供に、楽しんでご覧ください!
【K-POPで用いられる「花」】
今回はいくつかの諸先輩の楽曲から、K-POPで用いられる”花”にどんな意味が込められることがあるのか、改めて考えてみました。
参考楽曲が少なく恐縮ですが、簡単に下記にまとめています。
■花って何を象徴してる?
日本でももちろん歌詞によく出てくる花ですが、花の様々な場面を切り取って感情を歌い上げることが多いですよね。いくつかピックアップしました。
・愛しいもの・愛する人・愛しさの象徴
花として多いのはこれかもしれない!
「君という花」というように、美しく咲いた花を、相手を愛しく思う気持ちにたとえる歌詞がたくさん見られました。
★Bloom/AB6IX
(公式動画なく…掲載断念)
こういう時は”枯れないで”という願いも込められることもありますね。
★Flower/SEVENTEEN
セブチの花はバラみたいな棘のある優雅な花、AB6IXの花はガーベラみたいな可憐な花…みたいな形で”君”がどんな人か想像するのも個人的には楽しい。JBJのMyFlowerもここのカテゴリに入りますね。
・繁栄・栄華の象徴
満開の花が咲き乱れる様子になぞらえて、「私たちの盛り」とを歌っている曲といえば、まずはこれかなと!
★FIESTA/IZ*ONE
また、花が咲く前の”待ち遠しさ”なんかも描写されてました。
”待ち続けたこの時”を表すのにも開花という表現はぴったりなのかも。
・儚さ・刹那性の象徴
ここは花びらが落ちるとき・枯れるときの花を描写になぞらえて”2人の恋が終わったこと”だったり”時間の有限性”を歌うことが多いかも。
★Flower/JISOO
花を用いて恋愛を歌うときは”香り”に関する描写も時々入りますね。
ちなみに花が落ちる瞬間を歌っている中で印象的なのはSEVENTEENの舞い落ちる花びらかもしれないです。
★舞い落ちる花びら/SEVENTEEN
舞い落ちる花びらになって君に会いに行きたい…というおしゃれすぎる歌詞、韓国語Verの日本語訳もみましたが、珍しくて素敵だな~と思いました。
■花とは誰なのか?
そしてここも1つのポイントになるかな、と思います。花にたとえられているのはあなたなのか?僕(私)なのか?
ここまで書いてた曲でいうとちょうど半々くらいです。
・花=あなた
Flower(SEVEVNTEEN)/Bloom
・花=僕
舞い落ちる花びら/FIESTA/Flower(JISOO)
花を自分でない誰かにたとえるときは花のもつ”美しさ”を、僕にたとえるときはいろいろな側面を切り取ることが多いな…と思いました。
以上を参考にすると、
InBloomというタイトルを聞くと、花開く瞬間(始まり)の喜びや栄華を歌ってそうなところだな、と思うわけです。
すでに歌詞をご存知の方かお分かりかと思いますが、ところがどっこいInBloomの歌詞はものすごく切なさを醸し出しているんです!
この切なさの理由と、花をモチーフに何を表現しようとしているのか?というところをこれから細々と解釈します。
【InBloom歌詞解釈】
さて、ここまで書いたところで私の推しグル、ZEROBASEONEのデビュー活動曲『InBloom』について考えます。
今回は日本語詞で考えます。
(韓国語の細かいニュアンスをくみ取れないことが無念でなりません…)
さっそく、歌詞とにらめっこする日々が始まりました。
歌詞は心の師、菅井先生に思いを馳せ渾身の縦書きです。
今回、縦にしてみて初めて「なるほど…」と思うことがあってやっぱり日本語って縦書きのために生まれてきた言葉なんだな…と実感しました。
大切なことは全て菅井先生が教えてくれます。
話を戻してInBloom解釈です。
先ほど見た
・InBloomに出てくる花は何を象徴してる?どの場面を描写してる?
・花って誰を例えてる?
みたいなところにも触れていければと思います。
■全体の構成
まず、InBloomで”花”に関するたとえを用いられている瞬間は曲の前半(Aメロ)に集中しています。
黄色マーカー部分が花に関する表現(花びらが開く/枯れる/咲く)なんですが、後半には花に関する直接的な描写は全く出てきません。
曲の冒頭で花で何を歌おうとしているのかを提示して、後半には花を連想とさせる間接的な表現をちりばめています。ここは1つの特徴かもな~と思います。
では、花に関する表現を抜き出します。
ここを見ていくと”Bloom(開花)”をタイトルに入れておきながら”開花”だけじゃなくて”枯れる”ことにかなり重きを置いているんですよね。これはファンの方もご存じの通り、彼らの活動期間の短さの例えだろうなと思います。
加えて、冒頭の話に触れると、この曲でいう”花”は”僕”、ZEROBASEONE自身ということになります。彼らがデビューしてから活動期間を終えるまでを歌う曲ですね。
ではサビ部分で何を歌っているかというと、
”結末”…いつか枯れる(活動終了の時)や、”輝かしい今”…栄華(華々しいデビュー)なんかが花にリンクする部分ですが、”走っていく”というワードが特徴的かなと思います。
花ってどちらかというと”ふわふわ””飛んでいく”みたいなイメージが強い中、あえて”走る”と表現することで、時間の有限性・刹那性を表しているのだろうなと考えております。
活動期間が決まっているゼべワンだからこそ歌える歌です。
そして、走っていく、君にあげる、という歌詞から、サビパートはゼべワンたちの「決意」パートだと解釈しています。
というのも、ここで”一緒に進もう”だとか”始まりから終わりまで見ていてね”みたいな”君へのお願い”はされないんですよね。
どこまでも僕たちの決意パートです。
(アイドルからファンに向けた曲なのであれば、お願いがされても自然なのに…。)
なので全体構造は
「前半で花を用いて自分たちの現実を歌い、サビで決意を歌う」
という構成なのだと解釈しています。
花を用いて決意を歌う曲って、探してもあまりなくって、なんだかとっても不思議な感覚です。
ここからは少し細かく好きなところ・解釈を書いていきます。
■幸せのあとに現実を突きつける構成
全体的に感じることですが、InBloomは華やかでワクワクする描写から、枯れるという現実をつきつけるまでが一瞬すぎます。
サビでも ”僕はただ知らないフリ(運命から目を背けたい気持ち)”から、”結末は変わらなくても(いつか必ず枯れてしまうこと)”をつきつけるまでが一瞬。
冒頭でも”縮こまっていた花びらは咲く”から”結局すべて枯れるから”までが一瞬。
このスピード感ありすぎる移り変わりでも、”幸せな時間はあっという間”ということを突きつけられている気持ちになります。
■栄華は直接的に歌われない
1番
縮こまっていた花びらは開く(…開花)
から
結局すべて枯れるから(…花が枯れるとき)
の間に
”最も美しく世の中を染め上げても”という”栄華”を思わせる歌詞が入っています。
ただ、ここはあえて?”咲き誇る”という表現は使われていないんですよね…!
そしてさらに”染め上げても”とここは仮定の表現になっています。
ゼべワンの活動になぞらえて考えると、
”デビューして、幸せな景色をたくさん見られたとしても、いつかは解散してしまう”という。
ここ仮定なの、デビュー曲らしくていいなぁと思いました。
デビュー曲だからこそ、敢えて華々しい瞬間についてはあまり触れずに、始まりと終わりをかなりフィーチャーしてるんだろうなぁと感じました。上手い!
■終盤になってようやく語られる”願い”
このパートが本当に好きだなぁと感じました!!!!!
開花して、いつか散る時に向かって走っていきます、と1番2番で歌った後、
少し”恐れ””不安””ワクワク”のような細かい感情描写が入ります。
ここがあることで”若さ”がより色濃くなっていいなと思います。
”震える”という恐れに対して、”走る””止められない””飛び込む”なんていう疾走感のある描写とともにまっすぐに進んでいくところが素敵。
こんな幸せがずっと続くわけじゃない、ということを知りながらも進んでいく様子、という意味ではサビの”僕はただ知らないフリ”ともリンクしますが、そこをより、人間味あふれる感じで書いているのかな~なんて感じました。
そしてこの後!
あれだけ”結局すべて枯れるから”・”来てない明日は考えない”・”結末は変わらなくても”・”運命さえChange”と歌っていたのに、ここで”永遠に枯れないように”という歌詞を入れてくるという…
枯れると知っていながらも走る・飛び込むという決意を歌っていた中で”本当は永遠に枯れてほしくない”という願いがここで入ってくるところが、なんともいじらしいというか、切なさを一層引き立てているなぁと感じました。
そしてその直後に”呼んでくれ”と初めて君(つまり私たち)が”お願い”をされます。
決意を歌い続けた終盤になってやっと”願い”が語られることで、未来に対する不安を見てしまう日もある…というような若さ特有の不安定さがあって、リアルな描写だな~と感じました。
■まとめるとなぜこんなにInBloomは切ないのか?
さきほどもお話したんですが、
InBloomとくれば、
「さあ、今こそ花開く時!俺たちの栄華が始まります!散る時まで一瞬も見逃さないでね!」
みたいな、開花の喜びや栄華を歌いそうなものなのですが(たとえがダサすぎるのは無視してください)、
この歌で語られているのは(個人的解釈だと)
「さまざまな苦難を乗り越えて咲き始めました、これからいろいろなことがあるだろうし、結局は散ってしまうけど、その時まで猛スピードで走り抜けます!」という決意が明るいメロディーに乗せられているところが非常に切ないんだろうな…と思いました。
歌詞に「君」という言葉はたくさん登場するのに「君」には何も求められていない(待っててね、とも見ててね、とも、一緒に歩こう、とも言われない)ところや、
多くのK-POPソングが愛情や願いを歌う中で、
花という儚い存在で決意という強さを歌っているところも、切なさを浮き彫りしているのかも...と思いました。
見れば見るほど今のゼベワンにぴったりだなぁと思いますし、
比喩を使うポイント、若さを表現する瞬間…なんて細かいところにまで目を張り巡らせると、InBloomがとても挑戦的な一曲に感じられてますます好きになりました!!!
みなさんもぜひ、歌詞をじっくりながめながらスミンを楽しんでみてください!
みなさんの解釈や感想などもお待ちしてます~!
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