【ドイツ語】接続法II式《現在》(その2)
こんにちは!
今回は、前回に続き接続法II式「現在」の話をしていこうと思います。
前回は、接続法II式を使う上で最低限覚えておく必要のある動詞について書きました。
結果、ほぼ全て助動詞となりましたが……。
前回話したとおり、一般動詞の場合は、多くの場合
würden + 動詞の原形
で代用されるため、それぞれの動詞の接続法II式の形をいちいち覚えたところで、実は使い時はあまりありません。
初級のうちは、取りあえず広く勉強しておいた方が良いとは思いますが!
以上を踏まえた上で、今回は、日常生活で耳にする、不規則動詞の接続法II式を、全くの僕の独断と偏見で紹介していきたいと思います。
geben
よく見かけます。
と言っても、ほとんどの場合は3人称単数「gäbe」です。
そのため、gebenの全てのII式の活用を覚える必要はありません。
ちなみに、発音する際は口を「ア」ぐらいまで開けてください。
閉じたままだと「gebe」と区別がつきにくくなります。
3人称単数と聞いて、察しの良い方はお気づきかもしれませんが、
「es gibt」の表現でよく使われます。
Es gäbe eine Möglichkeit…
こう聞くと、すごく可能性がなさそうに聞こえます。
とても反論の可能性を考慮して防衛線を張ってる感じですね。
だからこそ、遠慮がちな僕のような日本人は重宝します。
gehen
これもよく見かけます。
そしてこれも、多くの場合は三人称単数形の「ginge」です。
使う時は「es geht」の表現の場合が多いです。
例えば、都合を訊かれた時に、
Wann geht es am besten für Sie?
- Hmm…Montag ginge für mich…
という感じに。
Montag würde für mich gehen. でも良いのですが、gingeの方が短いです。
そう、「短い」。
ネイティブのII式の使い方を観察していると、「音が短い」ことは使うポイントの1つになっているようです。
次に行きましょう。
kommen
gehenが出たから、次はkommen。
これはですね、、、まず、3人称単数は使います。
というか、この後に紹介する動詞も、基本的に3人称単数では接続法II式を使います。
あとは、1人称単数(ich)でも使うと思うんですよね。。。
ということで、1人称単数も3人称単数も同じ「käme」。
1人称の場合は、「Wenn ich käme…」みたいに「来る」の意味で使います。
3人称も「来る」の意味で使ったりもしますが、よく聞くのは「… kommt in Frage(~が考えられる、考慮の対象になる)」という表現のとき。
XXX käme in Frage…
と、すごーく遠慮した感じで、防衛線を張った感じで言う時に接続法II式を使いますね。
finden
これは1人称単数(fände)で使う気がします。
複数(fänden)でも使えそうな気がします。
その理由は、この動詞を接続法II式で見かけるのは、「見つける」ではなく「~と思う」という、自分の意見を控えめに言う場面でだからです。
もともとこの「~と思う」という時の「finden」は、直接法でも現在完了形ではなく過去形(Ich fand es gut)をよく使うんです。
それもあって、würde…findenという、複合的な形よりも、短く一言でいう方が自然なのかもしれません。
これまでのを見ていると、どれも(kommen以外)、第一義というよりは、別の、抽象的・比喩的な意味のときに接続法II式を使っている感じですね。
stehen
これも「立つ」ではなく「zur Verfügung stehen(お役に立つ、応対する)」という意味のときに、接続法II式 (stünde, stünden)を使います。
そうそう、このstehenは「stünde」という、ちょっと変わった形になります。でも、過去形「stand」から作った「stände」の方も正しいものとして認められているようです。接続法II式の形が2つある不思議な動詞です。
Ich stünde Ihnen sehr gerne zur Verfügung.
とても丁寧というか、遠慮がちと言うか、距離を取った言い方になります。
brauchen
次はこれ!
これも「finden」同様、1人称で使うイメージです。お願いをする表現なので。
あれ?規則動詞じゃないの?
と思った方。
そうなんです、この動詞は規則動詞で接続法II式は「brauchte」なのですが、口語では「bräuchte」という形も使われるんです。
小学館独和大辞典には「南部」と書いてありますね。
僕はフライブルクやミュンヘンなど南ドイツでドイツ語を学んだので、もしかすると北ドイツでは使わないのかもしれません。
Ich bräuchte einige Zeit.
Ich bräuchte Hilfe.
Ich bräuchte nur ein Wort zu sagen…
などなど、「必要」を控えめに言いたいときに使えます。
lassen
切りがないので、最後はこれにしましょう。
これも「~させる」という意味よりかは「sich lassen + 動詞」、「~されることができる」という受動態の受け身表現のときに、接続法II式がよく見られます。
失礼しました、これは日常会話では使いませんね。凄く書き言葉なイメージです。
特に「Es ließe sich+動詞」の形で使われ、この「動詞」の部分には「behaupten」とか「argumentieren」のように「主張する」という意味の動詞がよく来ます。
この「es」は空白を埋めるだけの存在なので、文頭に別の言葉が来たら、この表現は主語のない文になります。受動態あるあるですね。
意味的には「~ということが主張され得る(it could be argued that)」となります。見るからに書き言葉っぽいですよね?
僕は、これを最初に見た時に、「え?」となりました。「ließe」なんて形、見たことない…と思い。
やはり接続法II式で活用する動詞って普段あまり見かけないので、いきなり目にしたときに活用形を特定するのが難しいんですよね……。
以上が、接続法II式でも見かける不規則動詞でした。
ご覧いただいた通り、活用形の表全てを覚えるわけではなく、3人称だったり1人称だったりと、使う形は限られているんですね。
ですので、効率重視の方は、よく使う形だけを覚えるようにして、
理解重視の方は、能動的には使わない知識とはなるものの、活用形の表を取りあえず何回か書き写したり声に出してみるのが良いと思います。
以上がドイツ語学習の参考になれば幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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