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【ドイツ語文法】名詞の格変化(4)定冠詞・中性形

前回はようやく定冠詞の男性形の格変化の説明ができました。
今回は、定冠詞の「中性形」の説明をします。

女性形よりも先にこちらを説明するのは何故かと言うと、
中性形は男性形と変化がよく似ているからです。

冠詞の性は名詞の性に合わせます。
そのため、冠詞の中性形の説明には中性名詞が必要となります。

私は「馬」が好きなので、そのドイツ語「Pferd」を使いましょう。
「Pferd」は中性名詞です。

まずは冠詞を付けないで、「Pferd」という単語自体を見てみましょう。
「Hund」と同様、「馬『の』」というときは「Pferdes」「es」の語尾をつけます。
これは「Pferds」と「s」だけでも大丈夫ですが、とにかく「s」が重要

が、それ以外では全て同じ形をしています。
そのため、「Pferd」だけでは「馬が」「馬を」「馬に」を区別できません。

では、定冠詞をつけてみましょう。そうすると、「格の違い」が浮かび上がってきます。

「その馬が」は「das Pferd」

「das」という、新しい形が現れましたね。

「その馬を」は「das Pferd」

???

「その馬が」と同じ形をしていますね。

定冠詞の力をもってしても、「馬が」と「馬を」は区別できないようです。

種明かしをすると、
「が」と「を」の区別が形の上であるのは男性形だけで、
それ以外の場合、つまり中性形・女性形・複数形の場合には、「が」と「を」で形は変わらないのです

これは、定冠詞に限らず、冠詞、形容詞全ての格変化に言えます。
「が」と「を」の区別は男性形のみ。これは重要な点です。

文の中で名詞の役割が「が」なのか「を」なのかを知るには、動詞の形や文脈などで判断することになります

少しわき道にそれました。
「その馬が」は「das Pferd」。「その馬を」も「das Pferd」。

次は「その馬に」です。

これは「dem Pferd」となります。

「その犬に」の時も「dem Hund」でした。定冠詞が男性形と同じですね。

最後に「その馬の」です。

これは「des Pferdes」です。

こちらも「その犬の」の時の「des Hundes」と共通していますね。
定冠詞が男性形と同じです。

このように、「に」「の」の場合は、男性形と中性形は形が同じです。

区別があるのは「が」と「を」のときだけということになります。

これが、冒頭にお話しした、「男性形と中性形は似ている」という点です。

では、以上をおさらいしましょう。

その馬「が」 das Pferd
その馬「を」 das Pferd
その馬「に」 dem Pferd
その馬「の」 des Pferdes

中性形は、男性形と「に」「の」の形が同じです。
一方、女性形や複数形と同じく、「が」と「を」の形に区別がありません
このように、中性形はまさに「中間」の形をしていると言えます。

それでは、次回は「女性形」を見ていきましょう。


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