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【ドイツ語】vorbereitenとsich vorbereiten(再帰動詞)

こんにちは!
今回は「準備する」を意味する「vorbereiten」「sich vorbereiten」の違いについて書こうと思います。

例えば、「来週のテストの準備をする」という時、
他動詞の「vor/bereiten」と、再帰動詞の「sich vor/bereiten」のどちらを選べば良いでしょうか?

答えは、「立場で変わる」です。

「テストの準備をする」という日本語、
視点によって2つの意味があることにお気づきでしょうか?

すなわち、「テスト勉強をする学生」の視点と、
「テストの問題を作成する先生」の視点です。

まず、作問側の先生ですが、
先生が準備をするのはまさに「テスト」そのものです。

このように、何か具体的なものを準備するときは、
他動詞の「vor/bereiten」を使います。

一方、テスト勉強の学生は一体何を「準備」しているのでしょうか?
「テストに向けた自分のコンディション」を準備しているわけです。
つまり、「自分自身を準備」しているのです。

このように、何かの機会などに向けて「備える」ときは、
再帰動詞の「sich vor/bereiten」を使います。

「再帰動詞」と言うと難しそうですが、
要は目的語が「自分(=主語)自身」になっただけのもので、
根っこは他動詞と同じ
です。

再帰動詞の方は、目的語の枠がもう再帰代名詞(sich)で埋まってしまっているので、「テスト」の部分には、「auf」や「für」を使って表現します。
日本語の「向けて」の部分にこの前置詞が該当します。
どちらの前置詞の場合も、後に来る名詞は4格です。

Während der Lehrer die Prüfung für nächste Woche vorbereitet, bereiten sich seine Schüler für die Prüfung vor
((男の)先生が来週の試験を準備している一方で、生徒たちは試験に向けて準備をしている。)

ちなみに、英語の場合は、どちらの場合も「prepare」を使いますが、学生の立場の場合は「prepare for」と、ドイツ語と同じく前置詞を使いますね。

厳密には、先生の側の「prepare」は他動詞、
学生の側の「prepare (for)」は自動詞です。

英語はこのように、他動詞から全く形を変えずに、自動詞を作れる場合がよくあります。

ドイツ語は、「他動詞」という形の縛りを維持するために、わざわざ目的語の場所に「sich」を使って再帰動詞にしているのですから、

英語の方がフレキシブルとも言えるし、筋が通っていないとも言えます。

このような例は他にも色々あります。

例えば、英語の「develop」
これは「を発展させる、開発する」(他動詞)という意味もあれば、
「が発展する」(自動詞)の意味もあります。
形だけを見てもどちらの意味かは分かりません。

一方、ドイツ語の「entwickeln」は他動詞で、自動詞にはなれません
そのため、「が発展する」としたいときには、
再帰代名詞「sich」を使って、再帰動詞にするしかありません。
「自分自身を発展させる ➡ が発展する」
という発想です。

何だか苦し紛れで奇妙な作り方ですが、
こうすることで「entwickelnには目的語が必要」という原則は貫いているわけです。

このように、再帰動詞は、他動詞を自動詞のように使う役割もあるんですね。

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