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フランス語と口の開き

ドイツ語学習者がフランス語を学んで思うこと。
フランス語を話す人は、モゴモゴ話していそうで、実はかなりはっきり発音している。

口をあまり開けていないようなのに、よく見ると結構動いている。
いや、口は縦方向には動かないけど、横方向には激しく動いている。

ドイツ語の場合は口を上下にも左右にも激しく動かしますが、
フランス語の場合は、口の開く大きさはそこまで変わらない一方、唇を前後左右に速く大きく動かす気がします。

これは「annonce」の「on(ɔ̃)」の音(一番唇を前に突き出す)
これも「ア」の口。やはりこの母音のときの口の開きが一番大きそう。
「イ」の口。横に一番口が伸びる母音。

一番後ろまで引いたのが「イ」の口で、
一番前に突き出したのが「ウ」、
その間に「ア」「オ」「エ」などの他の母音があります。

フランス語を話している人の口を見るとよくわかるのですが、口をあまり上下に開かないんです。もちろん、個人差はありますが。

口を上下に動かさないとなると、あと動かせるのは唇なので、上下よりも前後左右の動きのほうが大きくなります。

ずっと口元を見ていると、横に長い直線が口元に引かれているような気がしてきます。そしてその直線は、まるでアコーディオンを奏でるように、横に伸び縮みするのです。

それだけ、フランス人の口の開き方は英語やドイツ語と比べても安定している(一定である)ように見えます。

唇を一番引いたところが「イ」、
一番前に突き出したのが「ウ」、
だいたいその真ん中あたりにあるのが「ア」。

極端2つに中間が1つ。
この位置で母音を鼻に抜くと、3つの鼻母音に綺麗に対応します。
「イ」の位置の鼻母音が「ɛ̃」、「ウ」が「ɔ̃」、「ア」が「ɑ̃」です。

「on」の発音は「オン」とカタカナで書きますが、
私の印象ではあれはどちらかと言えば「ウン」です。
日本語の「オ」の口で「オン」と言うと「an」に聞こえてしまうと思います。
そして、ぼんやりフランス語をリスニングして聞こえてくる「オン」の音は、大体が「ɑ̃」です。

「on(ɔ̃)」はとても口をすぼめて鼻から音を抜くので、息の通る場所が狭くてくぐもった音となり、どう頑張っても大きく発音できません。ぼんやりリスニングしていると、下手すると聞こえず、謎の間があるようにも思えます。

YouTube動画やニュースを見ていると、キャスターやレポーターは皆さん正面を向いているので分かりにくいですが、

きっと横顔を映したら、フランス語話者はかなり口を前後に動かしているように見えるんじゃないかと思います。

私は元々日本語の滑舌が悪く、モゴモゴと話している印象のフランス語は向いているんじゃないかと思ったのですが、

勉強してみて、フランス語もかなり口をしっかり動かさないと話せない言葉だと分かりました。

ではなぜあんなに速く話せるのかというと、やはり上下に口を大きく動かさなくて良いからだと思います。

どの言語でも一番口が開きそうな「ア」でさえ、フランス語を話す人の口の開きは小さいです。

これが、実はハッキリと発音しているのに、とても速くそしてモゴモゴと話して聞こえるフランス語の秘密なのか・・・と妙に納得しました。

そして、あまり口を大きく上下に開かないように意識して話せば、フランス人のように高速でフランス語を話せるんじゃないか・・・なんて、甘く淡い期待を抱きながら、

今日も地道にフランス語を学んでいます。

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