見出し画像

【ドイツ語】漢字で覚える前つづり【um(分離)】【囲】【転】【改】【避】【死】

こんにちは!
今回は分離「um」を取り扱おうと思います。

分離の「um」のイメージ

何度か触れてきましたが、分離の前つづりは、動詞の示す動作が行われた結果、4格目的語が「どうなるのか」を示しています。

Ich binde mir eine Krawatte um. 【分離】
直訳:私は私にネクタイを巻いてやる。

この文の4格目的語は「eine Krawatte(1本のネクタイ)」です。

この文では、

eine Krawatte = um

つまり

ネクタイ = 巻かれた状態である

という関係が成り立っています。

英文法でいう、「目的語(O)=補語(C)」の関係と少し似ているかも。

目の前の動詞についている前つづりの「um」が果たして「分離」や「非分離」かで悩んだときは、

4格目的語と「um」との間に、上のような関係が成り立つかを見てみるのが1つの手がかりです。

「um」にはそもそも、前置詞や副詞として使われる場合、「~を取り囲んで」「~の周りをめぐって」「~と引き換えに」と言った意味があります。

分離「um」は、こういった前置詞や副詞の「um」の意味と共通するものが非常に多いです。

それでは早速見ていきましょう。

分離「um」:「囲」

非分離「um」同様、「包囲」「周囲」という意味があります。

ただ、ここで重要なのは、分離「um」の場合は、4格目的語は「何かを囲むために使うもの」ということです。

なので、「ネクタイ」だったり「リボン」だったり、何かしら「巻きつけられそうなもの」が4格目的語に来ます。

これが「場所」だったりすると、その「um」は非分離である可能性が濃厚です。

🍀「包囲」の「囲」

um/binden 巻いて~を巻き付けた状態にする⇒ ~を巻き付ける(D …に)
um/geben 与えて~を巻き付けた状態にする ⇒ ~を着せてやる(D…に)
um/hängen 掛けて~を巻き付けた状態にする⇒  ~を羽織らせる(D…に)

「非分離」と「分離」の違いをもう一度確認。

【非分離】Ein Zaun umgibt das Grundstück. 
(とある柵がその敷地を囲っている。)

4格目的語(Grundstück)は、「巻きつけられる(=囲まれる)対象」

【分離】Ich gebe ihm den Mantel um
(私は彼にコートを着せてやる。)

4格目的語(den Mantel)は、「巻きつける(=着せる)のに使う物」

🍀「周囲」の「囲」
um/schauen 見て~を周囲をぐるっと包むような状態にする ⇒ ~を見回す

⭐この動詞は再帰動詞として用いるので、4格目的語は「自分自身」です。「周囲をぐるっと見回すような状態に自分自身を変える」つまり「見回す」ということです。
 個人的には、次の「転(=回転)」の方が、日本語の「見回す」のイメージと近くて覚えやすいかなとも思います。

 なお、「…を扱う、…と付き合う」という意味でよく使う「mit D umgehen【自】」ですが、個人的にはこれも「回」で良いのではないかと思います。

「歩いて(自らを)ぐるっと回る状態にする」。

「世の中をぐるっと回る」つまり「世渡りをする」という意味の「回」です。

分離「um」:「転」

「回転」「反転」「転倒」に共通する「転」の字を採用しました。
「um … herum(の周りを回って)」という表現もありますし、個人的には分離「um」ではよく見かける意味かなと思います。

🍀「回転」の「転」

um/drehen ひねって~を回った状態にする ⇒ ~を回転させる
um/gehen 【自】行って回った状態になる ⇒(うわさが)回る

🍀「反転」の「転」

um/blättern めくって~を反転した状態にする ⇒(ページを)めくる
um/kehren
 【自】向きを変えて(自らが)反転した状態になる⇒引き返す

🍀「転倒」の「転」

um/fahren
(乗り物に)乗って~を倒れた状態にする ⇒ ~をひき倒す
um/kippen 傾かせて~を倒れた状態にする ⇒ ~を転倒/転覆させる
um/fallen
【自】落ちて(自らが)倒れた状態になる ⇒転倒する

分離「um」:「改」

「転換」「交換」「変更」と言った、「あるものを何か別のものに替える」という意味を持つ「um」です。

um/wandeln 変えて~を別のものに改める ⇒ ~を変化させる
um/schreiben 書いて~を別のものに改める ⇒ ~を書き直す
um/tauschen 交換して~を別のものに改める ⇒~を取り替える
um/gestalten デザインして~を別のものに改める ⇒ ~を改造する
um/bauen 建てて~を別のものに改める ⇒ ~を改築する
um/denken 【自】考えて(自らが)別のものに改まる⇒考え方を改める
um/schalten スイッチを押して~を別のものに改める⇒~のスイッチを切り替える
um/steigen 【自】乗って(自らを)別の場所に改める ⇒ 乗り換える

分離「um」:「避」

「回避」「迂回」の意味を持ちます。

これは非分離「um」にもある意味ですが、4格目的語が「回避する場所」ではなく「回避させる物・人」であることに注意です。

um/fahren【自】(乗り物に)乗って(自らを)回避させた状態にする ⇒(乗り物で)回り道をする
um/leiten 導いて~を回避させた状態にする ⇒(交通など)を迂回させる

何度も書いていますが、分離と非分離の動詞の使い方の違いに注目。

【非分離】Ich umfahre die Unfallstelle. 
私は事故現場を避けて(車で)走る。

「um」は「fahren」を修飾 ➡「避けるように走る」

【分離】Ich fahre wegen des Unfalls um.
私は事故のために(車で)迂回する。

「ich」=「um」という関係が成立 ➡ 私 = 回避させた状態

分離「um」:「失」

最後にご紹介するのは、「失」の「um」です。

「ums Leben kommen」(死ぬ)という熟語を目にしたことのある方は多いと思いますが、この分離動詞バージョンとでも言いましょうか。

独和大辞典によると、「回避」「迂回」から転じて「喪失」の意味になったそうです。

um A kommenは元々「失う」という意味で、ドイツ語学習でよく聞くのがたまたま「ums Leben kommen(命を失う=死ぬ)」だったようです。

um/kommen 【自】来て(自ら)を失われた状態にする ⇒ 死ぬ
um/bringen 持ってきて~を失われた状態にする ⇒(故意に)殺す

いかがでしたでしょうか?

分離「um」は非分離「um」よりも意味が多いですが、どれも前置詞・副詞の「um」からイメージしやすい意味だったのではないかと思います。

ここまでお読みくださいましてありがとうございました!

【画像】geraltさま【Pixabay】



もし宜しければサポートいただけるととても嬉しいです!