当たり前のことを、当たり前にできるように

語学の勉強が進み、日常的な読み書きや会話に特に不自由なくなってくると、今度は逆に「簡単な表現」がネックになることがあります。

学習過程で、誰しも、自分が何について関心があるかによって語彙や表現に偏りが生じてきます。

特に、ある学問を学びたくて語学を勉強する人は、専門分野の語彙はやたらに詳しいのに、日常的な場面ではしどろもどろする…ということが少なくないのではないでしょうか?

少なくとも自分は、未だに郵便局や銀行の窓口に立つと不安になります。不自然な表現使っているなあ、と思うからです。

特に、日常的な動作をドイツ語で自然に表現するのが特に苦手。

洗濯物を洗濯機に入れて、取り出して、洗濯スタンドにかけて、干して、畳んで…ってドイツ語で何て言うんだろう? 

全部「何となく分かってもらえそうな言い方」で済ましている自分に気づきます。

語学も中上級者になってくると、ネイティブがこちらの言うことをいちいち直さなくなってきます。コミュニケーションがいちいち途切れてしまいますし、いちいち指摘するのは指摘する側も面倒ですからね。

また、会話の場合は、口から出た言葉はすぐに文脈の中に消えていくので、一瞬「ん?おかしいな?」と思ったとしても、前後の関係から言いたいことは分かるので、間違いにすら気づかないこともあります。

そう、複雑な表現は知ってるくせに、やたら日常的な言葉、A~Cの語学レベルで言うとAレベル(初級)の表現はしっかりと知らない、というのが、今僕の抱える問題です。

こうなったらどうするかと言うと、学びなおしですね。

僕は別に、簡単な表現を後になってから学びなおすことは悪いとは思いません。むしろ、ある言語によく習熟した後だと、新しい表現に出会っても割とすんなり身に着けることができ、効果的です。

今日見たYouTubeのドイチェ・ヴェレの動画は、A~B(初中級)レベルのもので、確かにドイツに移住/留学してきて最初に使いそうな表現がたくさん出てきます。

(ドイツ語をこれから学ぶはずの主人公が既にとても流暢という、語学教材にありがちな展開ですが。)

しかし、こういう一見「簡単な表現」の中にも、意外と知らない表現や、間違って使っている表現が少なくありません。

どうしても語学学習は、「語彙の多さ」「難解な語彙の知識」と言った、量を競いがちで、簡単な語彙を組み合わせて様々な表現を作っていく、質の面は後回しになりがちです。

やたら堅い表現は知っているのに、簡単なことは全く話せない人、どの語学の学習者にも必ずいると思います。何だかそれは、勿体ないな、と僕は思うのです。

当たり前に使える表現を、当たり前に使えるようになることって、難しい表現を使えることよりも、ずっと大事なのでしょうね。

そして、当たり前の表現を自然に使うことは、思うより簡単ではなさそうです。


もし宜しければサポートいただけるととても嬉しいです!