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受験英語と「consider」

学校で学んだことと実際の英語は違うじゃないか!
の好例が「consider」です。

皆さんは、学校で英語を学んだ時、
「consider」は第5文型の動詞と学んだのではないでしょうか?

第5文型では、目的語Oと補語Cがイコールの関係になっています。
主語Sと動詞Vと合わせて、「SVOC」と呼ばれますね。

つまり、「私はあなたを友達として見なす」という文の場合、

I consider you a friend.

と言うふうに文を作ります。
「you」は動詞considerの目的語、「a friend」は補語、
「you = a friend」というイコールの関係になります。

「あなたを友達として見なす」と訳すと上から目線で角が立ちますが、
そこは本題ではないので置いておくとして……。

なお、この「AをBとして見なす」の「として」の部分に「as」を使い、

I consider you as a friend.

とすると、学校英語では誤りとなります。
学校英語だけでなく、世の中の英語能力試験では誤りとされそうです。

似たような表現に「regard A as B」「think of A as B」があり、こちらは「as」を使います。

つまり「consider A B」は、第五文型を理解しているか、「regard」と混同していないかを測る「踏み絵」の役割を果たしているとも言えるのです。

しかし、ここで問題があります。

ネイティブはどちらの表現も使っていて、どちらも「間違いではない」と思っているのです。

別の記事に書いた通り、受験英語を通じて正誤判定に拘る「英語警察」マインドが身についてしまうと、

「I consider you as a friend」という表現を見ると、「asは要らないんだよ!」と鬼の首を取ったかのように反応してしまいがち。

ですが、現実には、ネイティブは「consider A B」と「consider A as B」の間には若干のニュアンス差があるだけで、意味上に大きな違いはなく、文法的にも間違いではないと考えています。

では、その理由を見ていきましょう。

さて、「consider」については、以下の3つの表現が可能です。

I consider you to be a friend. 
I consider you a friend.  
I consider you as a friend

一番上の「O to be C」の形が一番フォーマルな形で、
二番目の「O C」はその短縮形とも見なされるようです。
要は、この2つは意味的にはほぼ同一ということです。

では、この2つと、最後の「I consider you as a friend」との違いは何でしょう。

それを知るために、上の3つの文を和訳してみましょう。

1番目:「私はあなたを友達だと思っている」
2番目:「私はあなたを友達と思っている」
3番目:「私はあなたを友達のように思っている」

1番目と2番目の違いは「だ」があるかないかの違いだけ。
ですが、3番目は上2つとは少し意味が違いますよね。

そう、「私はあなたを友達『のように』思っている」と、ちょっと持って回った言い方をしているんです。

じゃあ、あなたは私の友達ではないの? あなたは私の何なの?
という含みが残ります。

この「のように」がどこから来るのかというと、

ずばり「as」からなのです。

「as」には「として」という意味だけでなく、
「のような」という意味もあります。

「as you know」のように「as」そのものにも見出されますし、
「such as」「as if」という表現の中にも見つかる意味です。

早い話が「like」と同じ意味で「as」を使っているのです。

そう、ネイティブは「consider A as B」を使う時、
「consider A like B」と同じように捉え、
「BのようにAを考える」という意味で理解している
のです。

I consider you like a friend.

と言えば、「as a friend」の持つニュアンスが見えやすいと思います。

ですが、よくよく考えると、
「私はあなたを友達『として』考える」と
「私はあなたを友達『のように』考える」は、
おおよそ言いたいことは殆ど同じ
ですよね。

そのため、こういう「私ってあなたの友達?」みたいな微妙な内容ではないときは、この「として」と「のように」の差は殆ど無視できるのです。

I consider this a success. (私はこれを成功と捉えている)
I consider this as a success.(私はこれを成功のように捉えている)

そして、あくまで1ネイティブの語感ですが、本人としては、
「consider A as B」の「as」のニュアンスは、
「regard A as B」の「as」のニュアンスと変わらないそうです。

ジーニアス英和辞典にも、「consider」の第2義の「解説」に

regard…as…の類推でasを用いるのは避けた方が良いとされるが標準的になりつつある。特に受け身ではasを用いることが多い。

とあるので、「時代の流れ」も、この用法が使われていることの背景にあるのでしょう。

恐らく「consider A B」(第5文型)は、英語の教本の多くに書かれている「規範的な表現」なのだと思います。つまり「こうあるべき正しい英語」です。

一方、ネイティブの語感はもっと寛容で緩く、「consider A as B」も「『consider A B』と完全に同じではないけれど、意味に大きな違いはないし、文脈によっては使える」と捉えられるのだと思います。

何が言いたいかと言うと、
「consider A as B」という表現を使っても、使っている人を見ても、
目くじらを立てる必要はないということです。

本や授業で学ぶ英語は「規範的な英語」ですが、
実際の英語の幅は、もっともっと広い
ようです……。

Using "consider" with "as" is not considered "as" a mistake.