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箱根駅伝予選会を振り返って

 10月15日に行われた箱根駅伝予選会で城西大学は3位に入り、本戦出場を決めました。関東学生陸上競技連盟からはテレビなどを通じての応援のお願いが出ていた通り、皆さんの思いは遠くからでも届き、すべての選手が勇気を持って走ることができました。本当にありがとうございました。週明けに大学に行くと、教職員や駅伝部以外の学生たちが私の想像以上に喜んでくれて、とても嬉しかったです。

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 さて、今回の予選会の戦略を少しだけお話しします。レース前、私は当日の気温と湿度について情報収集をしていました。城西大学では過去の予選会の気象データを蓄積していて、その時の通過ラインなども参考にし、選手のペースを設定します。今回は気温はそこまで上がらない中でも湿度が高くなることが予想され、コンディションは厳しくなると想定しました。状況的には2016年の予選会の気象条件に近いと考え、そこでの通過タイムをイメージした戦略を取ったのです。(2016年はスタート時の気温17度、ゴール時20度、天候は晴れ)
 簡単に言うと山本唯翔、ヴィクター・キムタイ、斎藤翔也はフリーで走らせ、他の選手は5kmを14分50秒を少し切るくらいのペースで入り、10km以降からそれぞれのペースでいくという策です。決して速いペースではありませんが、さまざまな条件を考慮した結果、これで「前半に逃げる」というテーマが実現できると想定していました。この時期の予選会は1時間の間で気温が5度ほど上がることもありますし、昨年は自重した戦略で失敗したため、気温が低いうちに早めに貯金を作ることを狙ったのです。

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 多くの方がすでにご承知の通り、実際はこの想定よりスローに進みました。私たち同様、どの大学も気温が上がることを予想し、加えて後半の起伏を警戒したためでしょう。滑走路上では風が強かったのも一因だと推測します。しかし、私たちは狙い通り、前半で通過圏内に入り、15kmを過ぎてからも順位を上げることに成功しました。ほぼイメージ通りのレースができたと思います。

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 今回の策を立てる上でひとつ懸念があったのが2016年当時はなかったカーボンプレートが搭載されたシューズがどう影響するかという点でした。これまでの複数の箱根駅伝本戦をカーボンシューズの有無で比較したところ、その登場後は特殊区間を除く各区間の平均タイムが約50秒ほど短縮されています。ここ2年は駐屯地内のアップダウンがないコースで行われていたため、どこまで影響が出るのか読みきれず、やや心配でした。結果的に最後の最後までボーダーライン上では激しい争いが続きましたが、大きく崩れた大学が少なかったと同時に大きく稼いだ大学もなかったようです。この点は今回、新たに得たデータとなりました。

 レースへの対策を立てる上で気象条件は非常に大きなポイントだと私は考えていて、特にハーフマラソンのように長い距離はトラック以上に重要です。今回は夏合宿の段階からさまざまな条件を想定し、それに対応できる練習や準備をし、そして過去のデータも駆使しながら考えた戦略が成功しました。その中で新たな発見も多くありました。
 ただシード校の常連となり、ここで戦わないようにならないといけないことは言うまでもありません。来年は今回、得たデータや攻略法を利用しないで済むように、本戦を頑張ります。特殊区間に複数の有力候補が出てくるなど、本戦を見据えた強化も順調ですので、さらにレベルアップし、上位進出を狙うつもりです。

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追記

この記事を書き終えたところで、外から聞こえる応援団の太鼓の音に気づきました。ここ数年静かだったキャンパスですが、箱根出場が決まったことで学生たちの気持ちの高揚が感じられ、とても誇らしく思えました。

写真提供©月刊陸上競技


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