『声が素敵ですねと言われたことについて』11月3日の日記
秋晴れの一日である。この季節の少しだけ湿り気を帯びつつ晴々としているしっとり感のある空気が好きである。
この日は東京都立図書館へ友人が赴くというので、暇人極まれりのワタシはついていくことにした。彼は歴史の本を探したいらしい。
ワタシは「広尾かー、あんまり行ったことないからその土地のご飯食べたいな。ランチでも行く?」ととりあえず彼が好きそうなものを挙げてみた。
ハンバーガーはたまに食べたくなる大好物だ。バンズの表面が艶々としてセサミが散りばめられているのがいい。外はカリッ、中はモチッ。そしてパティはニクニクしい旨味があるのが大好きだ。もちろん、いつものアボカドバーガー。カリウムたっぷりで浮腫にもよく、美容面でパーフェクトフードであろう。みてください、すでにビジュアルがヤバい。
そこに添えるのは自家製コールスローと、カフェ・オレ。後者はスチームミルクが乗っていてワタシの好きな奴だ。なんだかんだ人ってフワフワ好きなんだよなぁとつくづく思う。
さすが、グルメな友人に紹介してもらったお店だけある。たくさん人が並んでいて、海外の方やご婦人方がワタシの非日常のイメージそのものの感じで楽しそうに料理を食べつつお話をしていた。もちろん、私たちも。店内には古き良き時代っぽいアメリカンミュージックがふらふらと流れていた。
そしてお会計。店員さんは若く元気の良さそうな男性であった。不意に話しかけられたのが
"声が素敵ですね、何か声を使う生業についていらっしゃるんですか?"
と。今まで言われたことがなかったので面食らったわけなのだが、実は少しだけ、思うところがあった。職業柄だということ。
仕事で大切なのは何か、人と接する際に大切なのは?人の印象は何で決まるのか?ご存知の方が多いと思うが話の内容ではない。そう、外見や声、匂いや話し方、しぐさ、などと言った視覚や聴覚、そして嗅覚から入ってくる生物的な"印象"である。
そして私たち人間は、老いに対して恐怖や嫌悪感を無意識に抱く生き物である。だからこそそこに必要な要素は、若さを表現すること。
溌剌とした声や、ハリのある肌、きりりとした振る舞い、丁寧さ。それを体現することで人はその相手に好感を抱くのではないか。
実際私は、仕事で対面であれ電話であれ、人と接するときに1番いいであろうと自分が思うものを発信している。外見や声を自分で知ろうとしている。
声は自分の耳から入る自分のそれとは異なって聴こえていることが多い。だからこそ、意識する必要がある。
そういう意識を最近は強く持っているので、店員さんは声をかけてくれたのではないかなぁ。意識や心持って、常に置いておくことが大切。
とはいえ、ダメな自分も大いに良しとしているので、甘いところはあるんだけど、それも成長の過程。右肩上がりなんてあり得ない。曲がりくねった上げ下げを繰り返して、新しい自分ができていく面白さ。
声っていう要素を私はとても大事にしていて、声が素敵な人には心許してしまうんだけど。
そしてお店を出た時、友人に思っていたことを伝えた。ただ、私の声が通る声で、店員である彼にとってうるさかったのではないかと。
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