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【2023年夏編】JR乗車率99%の乗換案内スタッフが贈る!失敗しない「青春18きっぷ」のつかいかた

またまたお邪魔しております。
乗換案内のTwitter担当「部長」です。
ほかにも兼エンジン担当、兼お客さまサポート担当、兼なんとやらといろいろやらせていただいております。
「兼」が多すぎや!というツッコミはご容赦ください(笑)。

(この書き出しを「またかよ!もうええわ!」と思われた方、毎度誠にありがとうございます)


前回の「青春18きっぷ」の記事は、大変多くの方にお読みいただき、ありがとうございました。


筆者のJR線乗車率は「99%」
と書きましたところ、「逆にまだ乗れてないのどこだ・・・」というコメントをいくつか拝見しました。
具体的な路線は秘密とさせていただきますが(笑)、今年(2023年)のGWにも未乗区間をさらに乗りつぶしまして、全線完乗までは残り1線区とリーチをかけましたことをご報告させていただきます。

※ちなみに、私鉄も距離ベースで99%を超えております。乗換案内の仕事を始めたのを期に「日本の鉄道は全部乗ってしまおう」熱がさらに加速したのかもしれません。実際、そうして各地を回った経験は、日々の乗換案内の企画に大いに役立っています。

さて、いよいよ夏の「青春18きっぷ」シーズンがやってまいりました。この夏こそは「18きっぷ旅デビュー」してみたい!というあなたに向けて!
今回は、夏の「青春18きっぷ」快適活用術をご紹介してまいります!


「青春18きっぷ」とは

(この章は前回とほぼ同一内容です。きっぷの概要をご存じの方は、どうぞ読み飛ばしちゃってください)

「青春18きっぷ」は、JRグループが発売するフリーきっぷで、全国のJR線を走る普通列車・快速列車が5日(回)分乗り放題となる乗車券です。
発売価格は12,050円。1日あたりの運賃が2,410円相当分以上となる区間を乗車すれば元が取れるということで「破格のスーパーチケット」などと呼ばれています。

春休み、夏休み、冬休みのシーズンに合わせて発売されます。
2023年夏は7月1日(土)から8月31日(木)までの発売利用は7月20日(木)から9月10日(日)までです。

なお名前に「青春」とか「18」とかあるので、よく「年齢制限でもあるの?」と聞かれますが、年齢制限はありません
実際には高齢者の利用客も少なくなく、逆にこどもが使っても問題ありません(こどもも同額なので、元を取るのは大人の2倍大変ですが)。

また、「青春18きっぷ」は5回分が1枚のきっぷになっています。その日最初に使用するときに、改札口などで利用日の記入を受けます
日程が連続している必要はなく、旅先で数日間の滞在をする場合にも、使用しない日を設けることができるので経済的です。
また、日付を複数回分記入してもらうことで複数人数での利用も可能。例えば「2人で2日間(4回)+1人で1日間(1回)」といった使い方でもOKです。
それぞれの旅のスタイルに合わせて、上手に使いきることができるのも「青春18きっぷ」の大きな特長です。

「青春18きっぷ」でJRの普通列車・快速列車が乗り放題になる


「青春18きっぷ」のつかいかたQ&A

「青春18きっぷ」が初めての方に向けて、Q&A形式で使い方をまとめました。前回記事をご覧ください。

「青春18きっぷ検索」を活用しよう

「乗換案内」は「青春18きっぷ検索」という、「青春18きっぷ」で利用できる交通機関だけに絞った検索機能を用意しています。
「青春18きっぷ」で利用できない交通機関を除外しながら最適経路を一瞬で検索してくれるので、とても便利ですよ。


失敗しない!夏を満喫する「青春18きっぷ」日帰りコース

ネット検索で「青春18きっぷ」と入れると、それにつづけて「やばい」とか「やめとけ」とか、なんか物騒な単語がサジェストされてきます。筆者としては悲しみしかありません…。

それはきっと、初っ端から欲張って無理のある行程を組んでしまうことで「つらさ」のほうが先行してしまうからなのかもしれません。

初めて18きっぷを手にした方が、いきなり東京から大阪まで鈍行で行ってみようなどといったことは、本当にお勧めしません。休みなく乗り続けても約9時間はかかる行程です。無謀です。慣れないうちからそれをするのはツラい思い出になるだけです。

つかいかたQ&Aに書きましたが、欲張りさえしなければ「青春18きっぷ」で元を取りながらお得な旅を実現するのは案外容易なものです。
筆者が中学1年生のころに初めて「青春18きっぷ」を使ったときも、まずは自宅からの日帰り旅を繰り返していきました。
初めて「青春18きっぷ」を手にされた方は、その使い方に慣れてもらうためにも、まずは日帰りの行程を組んでお出かけしてみるのをおすすめします。

そんなわけで、今回は首都圏発・関西発それぞれこの夏のおすすめコースをご紹介していきます。

気軽に「避暑」へ! 奥多摩・日原鍾乳洞を目指す

首都圏発の日帰りコースでは、東京都奥多摩町にある日原鍾乳洞がおすすめ。

関東地方屈指の規模を誇る鍾乳洞が、なんと都内にあります。
洞内の温度は年間を通じて11℃ほど。天然の涼を味わえるのはもちろん、鍾乳洞という、地球の長い長い歴史の営みを間近に感じられるスポットといえます。

奥多摩へは東京から中央線・青梅線を乗り継いで2時間ほど。そこから鍾乳洞までバスでおよそ30分。東京~奥多摩のJRの往復運賃は2,560円と、東京都から一歩も出ることなく「青春18きっぷ」1回分の元を取ることができてしまいます(※)。

世界都市「東京」が見せるもう一つの顔は、面積の9割を山地が占める山奥の町。その知られざる姿を訪ねに、この夏は東京探検へ出かけてみませんか。

(※)運賃額にバス運賃は含まれません。バスは「青春18きっぷ」は利用できず、別運賃となります。また、土休日のバスは、鍾乳洞手前の「東日原」までとなり、そこからは徒歩(約25分)となるので、できれば平日の訪問がオススメ。

日原鍾乳洞


18きっぷなら、かなう。晴れの国「岡山」「倉敷」へ足をのばす

大阪出発の日帰りコースには、ちょっと足をのばして岡山なんていかがでしょうか。

JR神戸線の新快速と山陽本線の普通列車を乗り継いでおよそ2時間半。
「晴れの国」の異名をもつ岡山には、日本三名園のひとつに数えられる「後楽園」や、昨年(2022年)に「令和の大改修」を終えた「岡山城」など、訪れたい魅力がたくさんあります。

さらに、岡山から山陽本線でさらにもう20分ほど乗車すれば「倉敷」にも。蔵造りの街並み「倉敷美観地区」、エル・グレコ「受胎告知」をはじめ、モネやルノワールなどの作品で知られる「大原美術館」は特に有名。また、パフェをはじめとしたスイーツの激戦区としても知られています。

大阪からの岡山往復は、新幹線なら1万円以上かかるところ、「青春18きっぷ」で日帰りすれば2,410円相当。「破格のスーパーチケット」と呼ばれる所以です。

倉敷美観地区


夏休みを楽しむ!宿泊で行くステップアップコース

ひととおり「青春18きっぷ」がわかってきたら、次はもう少し遠出にステップアップしてみましょう。

この夏を楽しむ宿泊ありの18きっぷ旅のプランをいくつかご提案します。

日本一の高原列車「小海線」を楽しむ

長野県の八ヶ岳の麓を走る小海線は、路線の最高標高1,375mを誇る「日本一空に近い鉄道」として親しまれています。

沿線にも見どころがいっぱい。

清里駅下車「清泉寮(せいせんりょう)」は、レストラン、ミュージアム、ギフトショップ、宿泊施設などが揃い一日中楽しめる施設。
ここで販売されているソフトクリームは言わずと知れた名物で、筆者も小さいころから何度も足を運んでいます。

滑津駅下車「旧中込(なかごみ)学校」は、学校建築としては日本最古級の擬洋風建築として知られています。

そんな小海線を走るのが、観光列車「HIGH RAIL 1375」。
ボックスシート、ペアシート、リクライニングシートと多彩な座席を備えた観光列車です。
「青春18きっぷ」に指定席券を別途購入することで乗車できます。

夜に運転される「HIGH RAIL 星空」では、野辺山の澄んだ夜空の下、星空観察会が催されることも。
※天候や光の状況により、星空はご覧になれないことがあります。


ラストイヤーの「奥出雲おろち号」でトロッコ列車旅

「奥出雲おろち号」は、ヤマタノオロチの伝説をはじめとした数々の神話が残る島根県・奥出雲を舞台に、JR木次線の木次駅(一部出雲市駅)から広島県の備後落合駅までを走るトロッコ列車です。
「青春18きっぷ」に指定席券を別途購入することで乗車できます。

列車の最大の見どころはなんといっても「出雲坂根駅の三段スイッチバック」。急勾配を列車が進んだり戻ったりしながらゆっくりと登っていきます。同駅に湧き出す「延命水」は夏も冷たく涼をもたらしてくれます。

備後落合からは芸備線で新見(※)・三次・広島方面へ乗り継ぐこともでき、中国山地ののどかな車窓を心ゆくまで楽しめます。

なお「奥出雲おろち号」は2023年度の運転がラストイヤー。貴重な客車列車でのひとときをぜひお楽しみください。

(※)芸備線 東城~備後落合間は落石の影響で運転を見合わせています。7月29日に運転を再開する予定です(7月21日現在)。


おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。
この夏も酷暑が予想されています。ぜひ無理のないプランで鈍行旅をお楽しみいただければと思います。
次のシーズンには、「東京から大阪まで」など長距離移動のお話でもできればと思っています。それではまた!


※本記事に記載した運賃・料金は、2023年7月21日現在のものです。変更となる場合がありますので、ご了承ください。



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