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国立民族学博物館「交感する神と人ーヒンドゥー神像の世界」展レヴュー

先日の10月21日(土)に国立民族学博物館で開催されている「交感する神と人ーヒンドゥー神像の世界」展を訪れた。2010年代に人間文化研究機構が行ってきた「現代インド地域研究」とその後継である「南アジア地域研究」の成果展としての意味合いがある同展は、これまでに民博によって収集されてきた膨大な数の作例が展示されている一方で、キュレーションに関しては文化人類学的な視点から行われていると言える。本稿では、展示構成や解説パネル、作品キャプションにおける課題を発見し、今後のインド美術の展示に関する解決策と方向性を模索する。

まず、本展の概要について述べておこう。会期は2023年9月14日(木)から12月5日(火)にかけての3ヶ月程度であり、会場は国立民族学博物館の本館に隣接する特別展示館で行われている。本展は4つのセクションから成っており、「第1章 神々の世界へのいざない」、「第2章 神がみとの交感」、「第3章 交感の諸相」、「第4章 ときの巡り」というタイトルがそれぞれ与えられている。展覧会図録には、同展の企画運営に携わった研究者によるエッセイが収録されており、主に人間文化研究機構のプロジェクトに参加した拠点構成員、研究分担者、研究協力者が名を連ねた。なお、同展は様々な機関から支援を受けているが、特に福岡アジア美術館と在大阪・神戸インド総領事館を挙げておこう。

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