パニック障害

医学部を卒業後、ある医師は呼吸器内科で約七年間臨床の勉強をしました。
その後、基礎医学の道を志し、今日の研究生活に入ったわけです。
最近、内科教授になったかつての同僚の祝賀パーティに呼ばれ、久しぶりに昔の仲間と再開する機会を得たのですが、その中の一人に「自分はパニック発作で薬を服用している」と、話しかけてくる人がいました。

開業医として、現在は地域医療の第一線で頑張っている彼は、ある医師が某医学雑誌に書いた「パニック発作とセロトニン神経」という解説記事を読んでいたらしく、直接に話を聞きに来たようです。

パニック発作にはいろいろな症状がありますが、なかでも「窒息して今にも死にそうだ」という息苦しさを訴える例が最も多く見られます。
人付き合いが怖いということにも直結します。
彼の場合にも、同様の症状が現れるとのこと。
最初にこの症状が出たときは、当然、肺か心臓に何か異常があり、このような症状に至ったものと判断し、徹底的に検査をしたそうです。

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彼は元々この方面が専門ですから、胸のレントゲン撮影から心電図測定、血液のチェックまで、あらゆる可能性を想定して、検査を繰り返したのです。
ところが、まったく異常は見つからず、最終的には、心の病であるパニック障害と診断されました。
肺や心臓には何も異常がなく、精神面のトラブル、すなわち、脳神経系が窒息感の警報を発してしまう病気である、と結論づけられたのです

パニック発作は通常10分ほど経過すれば治まりますが、その最中は大騒ぎをして周囲まで混乱に陥れてしまいます。
彼は呼吸器や循環器の患者を診ている医師ですから、窒息死しそうな感覚に襲われても、それが本当のものではないことを十分に知り尽くしていたはずです。
ところが、いったん発作に襲われると、われを失い、病院内での勤務中にもかかわらず、思わず「救急車を呼べ!」と怒鳴り散らしてしまうのだとか。
要するに、一時的な錯乱状態になっていたのです。

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