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コロナの渦中でクラウドファンディングを達成させた方法

先日プロデュース及びマネジメントを行なっている
RUNAのクラウドファンディングが無事終了しました。

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結果としては達成率107% 達成金額708000円と
多大なるご支援を頂いた形となりました。 

誰もがクラウドファンディングで気軽に支援を募ることが出来る様になった一方で、実際に目標金額を達成させているのは全体のおよそ7割のみらしいです。
All inという方法を選べば達成出来ずとも支援金額は貰う事が出来ますが、失敗というレッテルは繊細なアーティストにとって精神ダメージが桁外れになるでしょう。

という事でクラファンをやりたい方は検討している方は参考にしてみて下さい

クラファンのメリットとデメリット

メリットは当然莫大な資金調達が可能なところ
何か専門的なスキルがない限り殆どのバイトが時給1000円前後と考えると
今回のRUNAのクラファンのような70万円近い大金を働いて稼ぎ出すには時間がかかります。

特に今世界を震撼させているコロナウィルスの影響で働き方の概念が崩れてきてるし、自粛によって生活が危くなった人がスキル無しで出来るバイトに応募者が殺到し、活動どころか失業の危機に立たされているアーティストも少なくないと思います。

人間もアーティストも大半の問題をお金で解決できるため、語弊はありますが手っ取り早くお金を調達できる方法としては最良の選択の1つです。
そしてクラウドファンディングを通してアーティストとしての認知が広がった他ファンの熱量が上がりファン同士の密度が上がったように思います、これは何か1つのプロジェクトを
皆んなの力で達成したことによる達成感によるものです。
つまり成功するとお金以上のメリットが沢山生まれます。 

但し同じ位、時にはそれ以上のデメリットもあると僕は考えます。
それは万が一クラウドファンディングに失敗した際にアーティストとしての価値や信用が可視化されてしまう事だと思いました。

つまりあなたの需要はこんなもんですよと世間に知らしめてしまうわけです。僕と同じくガラスのハートの持ち主にはとてつもない破壊力となることでしょう。更に応援してくれたファンの熱意が冷めてしまう事もあるので、達成出来なかったからと言って凹んでばかりだと更に傷が広がってしまいます

孫子の兵法では負ける戦いは避けるべきという教えがある通り、失敗する確率が冷静に見積もって高い場合は敢えてクラウドファンディングをやらないのも立派な戦略です。

という感じで結構リスクもあることを覚えておいて下さい。

達成させる為に具体的に行った事 

1.YouTubeによる動画投稿
2.ライブDVDの無料化
3.既存ファンをLINEオープンチャットに招待
4. オープンチャットでファンに活動補助をして貰った
5.関心がありそうな人にDM
6.手作りマスク配布
7.クラファン期間中毎日ライブ配信
8.ファンに向けて日頃のお礼の手紙
9.ファンに向けてお礼の動画 

ざっくりあげてもこれくらいあります、というかこれでも一部ですので実際にはもっとありました。

この中で最も効果的だと思えたものは3番及び8番だと思います。
これは元々2番目の受給者である當間さんによるアドバイスで始めたものでした。現在彼は大阪でシェアハウスを建てていて入居者や1階のフリースペースを使ってくれる人を募集しているので是非フォローしてみて下さい!

当初僕はアーティストとファンとの距離感についてシビアに考えていたので正直この案について否定的でしたが、結果としてファンの結束が強くなったりファンの熱量が上がったりと大成功を収めたのではないかと思います。
これはテレビ時代のアーティストは届かない孤高の存在でなくてはならなかったのに対して、発信が簡単になった今共感力こそが実力についてで大事な要素であることの証明に思えます。ここらへんは元HKTのゆうこすの
本に詳しく書かれているので是非読んでみてね。

オープンチャットとは?

後ほどお話しに出てきますが、クラウドファンディングを開始して3日目までの支援はこんな感じでした。
當間さん曰く3日目で30%以上達成していることが理想的だそうですが、そんな理想から遥かに下回っているのは誰の目から見ても明らかだと思います。
これはクラファンを始めた当初には応援してくれたファンとの関係性や熱量が全くなかったと言える証拠です。

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50人近くいるのにオープンチャットには僕らの投稿が虚しく表示されているだけ。この関係性を改善出来た事がまさに今回のクラファンの成功理由と断言して間違いありません。

信用経済とは

お金による経済を貨幣経済といいますが、SNSで支援を募ったりして集まったお金や人の好意を信用経済と呼びます。ライブハウスや飲食店を救済しようぜ!って内容のクラファンが乱立して軒並みサクセスしていると
思いますが、これはまさに信用経済の成せる業だと思います。

アーティストの活動って9.9割が信用経済で成り立っていると言っても過言ではありません、だって普通返ってくるかも分からないようなお金を他人に渡すって現実的じゃなくないですか?
企業もスポンサーや取引先に商談やお金の相談を持ちかける際には必ず自社商品(サービス)を使ってプレゼンを行います、出資者はそこに価値を見出して出資するんですがアーティストに限ってはそのお金返って来ないし何なら
事業計画書なんて出せる程先を見通した活動なんて皆無なわけで。

先ほども言いましたがファンとの信頼関係をどれだけ築いてきたかという事がめちゃくちゃ重要になってきます。

変化の訪れ 

2週間目辺りまで殆ど支援金額が変わることなく過ぎていき、色々な事を試してみたものの暖簾に腕押しの如く思ったようなリアクションを得られない時間が続きました。
これは本当に辛かった。。

そこで改めて原点に立ち返ろうという事になり、新規のファンを取り込むよりも既存ファンを大切にしてエンゲージメントをとことん高めていこうという方向に切り替えました。言っちゃえばとことんエコ贔屓するような感じです。
因みにエンゲージメントとは関心度の事で、今ファンの中で他人事である僕らのクラウドファンディングを自分の事のようにしてもらう為に動き出しました。

順番
1.手作りマスクを無料配布
2.関心度の高いファンに向けてRUNAの直筆のお礼の手紙
3.オープンチャット限定飲み会 

こういった活動を地道に行った結果支援金額が少しずつ増えてきました
クラファン中期までのインプレッションが

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約3倍位に増えました。

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支援に繋がらない場合でもリツイートやいいねが増え、ファン自体がクラファンの宣伝を積極的にSNS発信をしてくれるようになったので空気感というか流れが変わっってった事を肌で感じる事が出来ました。
高校生や大学の文化祭のドキドキ感とかワクワク感ってあるじゃないですか?まさにあんな感じの空気感がファン全体に伝染していったように思います。

因みに見返りを求めているのが見え透いた行いは感謝されるどころか嫌われるだけなので要注意です。僕らはクラファンに支援してくれとか応援してくれって言葉を飲み込んでやってました。
心理学ではこれらを好意の返報性といいます。

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話しは逸れますが僕はファンの熱量のことをキャンプファイヤに例えています。何がいいたいかというと「人によって熱量の差はあって当然でその熱量差を持つファンは全員必要」ということ。

今の話しを火起こしに例えると

着火-自分達
枯葉-ライブや課金はしてくれない
※1.SNSのフォロー&シェア&イイねをくれる
小枝-ライブに来てくれた事がある方 ※1と同様
中枝〜大枝 ライブに結構来てくれてグッズも買ってくれる方
炭-必ずライブに来てくれるしグッズは必ず買ってくれる方 

炭に例えられる人は超熱心なファンってことです、でも炭って単体じゃ火がつかないんですよ。っていうか全然つかない。でも一度でも着火したら凄い勢いで火を放つし長く燃えてくれるんです。更に炭同士が連なると炎になります。
それに対して枯葉って簡単に燃えるけど一瞬しか持続しません。
でも燃えさしとして枝や炭に火を移すには絶対になくてはならない存在です。

つまり上から順番に火が燃え移っていくってこと、だからどの立ち位置の人もいないと本当の熱量って発生しないんですよね。
これを理解した上で活動をしている人は結果が出るのが早いように思えます。勿論上手な運用だけが全てではないので実力や努力も必ず必要です。
クラファン時の盛り上がりも全く同じことが言えて、最初の頃に僕やRUNAがやっていたことって頑張って炭に火をつけようとしていただけなんですよね。  
だからくすぶるだけで何も起きなかった、終わった後に振り返ってみたら凄く簡単な理屈でしたがクラファン真っ最中には焦って見えていませんでした。

そうしてファンの熱量が上がったタイミングで今度は熱量の高かったファンの方に個別で1分程度のお礼動画を送りました、ここでファンの方々の熱量は最大値まで上がったように思います。
そしてクラファン最終日の19時に僕らはクラウドファンディングを達成しました。ドラマのような展開も実はちょっと狙っていた節はあります。
ファンからしてもドラマチックな展開を自分達の力で乗り越えた感覚はずっと忘れないでしょうし、クラファンは目標の1つなのでこれからもファンの方には継続して応援して頂かなくてはなりません。
結果論ですが今後の導線を引くことが出来たことも良かったと思います。

絶対にやってはいけない&意味のない事 

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Twitterを通して様々な人にDM活動もしたわけですが、そこで成果は1つも出ませんでした。30件位送ってスタンプなどのリアクションが1つ返ってくればいい方で大半が既読無視です。でも逆の立場なら僕でもきっとそうしてると思います。
会ったこともないし興味も持っている段階でもない人からの不躾な営業DMってマジでうざいですから。焦っていたとはいえ気を悪くさせてしまった方には申し訳ない気持ちでいっぱいです、本当に反省しております。

もしそれをやるのであればクラファンの前から先ずは挨拶だけとかフォローをお願いするとかYouTubeを見てもらうとか段階的に行って下さい。これをフット・イン・ザ・ドアといって簡単なお願いから徐々にお願いのハードルを上げる方法です。
そしてネガティブな頼み方をTwitterで呟いてしまったことも順番を間違えてしまったなというところです。

順番を間違えたという言い方をしている理由は、共感を生み出すのに弱さを見せることは絶対に必要なことだからです。
ただしファンの熱量が上がっていない段階でその姿を見せてしまうと自分を取り囲む雰囲気が負けムードに変わってしまうだけなので要注意。
キングコングの西野さんの動画で印象的だったフレーズですが
「お金を気持ちよく払わせてくれる流れを作ることが大事」
ファンの熱量を上げて応援のムードが最高潮に達した時に一番支援が増えました、まさにこの言葉通りだったと感じています。

そして意外にやりがちなのがリターンが物品だけになっちゃってるパターン。ファンが多ければ問題にはなりにくいですが、そうじゃない場合は失敗のリスクが高まるように思います。何故ならば物品が欲しいだけならリリースされた後の買えばいいだけだからです。だから商品に対して付加価値やストーリーや背景を付ける必要があります。言い方を変えるとお客さんに買う理由を提供するって感じです。例えば「このCDを買う事でCDを作る人の失仕事が増えて失業のリスクが減る」とかですね。キングコング西野さんが最近やってたクラファンでえんとつ町のプペルの映画チケットを全国の子供達に届けるってやつなんかは支援が直接的に社会貢献に繋がるので分かりやすかったと思います。

そして痛感したのが世の中に出回っているクラファンの成功方法とは確かに効率の良いやり方を指南していますが、それはあくまでテクニックについてでクラファンの本質とは違う部分に触れていると思いました。
それよりも自分達の理念や支援した人達が世界に与える影響だとか、そういった部分をどれだけ緻密に作れたかが支援を超えた共感につながる部分だと思います。

実力やコネがない人だからこそ小手先のテクニックに頼るのではなく1対1のコミニケーションで着実にファンを増やす必要があります、これもキングコングの西野さんも常々言っていることです。

太客は絶対必要 

綺麗事抜きに率直に言いますと、太客の存在がなければかなりの確率で失敗していたと思います。
今回10万円以上の支援を下さった方が全部で3名いるんですが、それだけで目標金額の50%を占めているんですよね。
勿論沢山の支援もとても大事ですが、順調な経過を見て思わず支援するというアクションって意外に多いので
出来たら活動の中でお金に余裕がある人や必ず支援をしてくれる人を日頃から掴んでいる必要があると言えます。ここら辺は運の要素だと思います。

しかし運の要素を減らす為にも日頃から無料で出すコンテンツ、お金をしっかりと頂くコンテンツと明確な目的を持って発信や活動する必要があると思いました。
そうすることで予め支援をしてくれる人の目星をつける事が出来ますし、その人数によって目標を達成出来るか目安を立てる事も出来ると思います

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最後に 

今回RUNAはベーシックインカムシネマズというドキュメンタリー映画を作る為という理由でクラウドファンディングを行いましたが
クラファン直前まで受給して下さる会社との連携が取れておらず、ほぼ見切り発車でクラファンをスタートさせてしまいました。
結果的に前半は殆ど意味のないことをやったり右往左往する羽目になったので事前準備はマジで大事!むしろ準備の出来で半分は決まってるんじゃないか?というところ。
今回で一番の学びは共感力を持ったアーティストこそ今後の芸能の世界を生き抜いていくって事でした!

長くなりましたがクラファンやりたい!
って思ってる方は参考にしてみて下さい

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