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彼女の隣

好きな人…
好きだった人…
今も忘れられない人が、
そこにいた。

たくさん人がいたが、
見慣れた後ろ姿
聴き慣れた笑い声

彼女の周りに男性、女性関わらず、
人が集まる。

彼女の身長は女性では高い方で、
パンツ姿にヒールがよく似合っていた。

見かけることしかできない。

なぜなら、
彼女の左手の薬指にはエンゲージリングが輝いていた。

彼女は自分に気づかぬふりして、
周りに愛嬌を振りまいていた。

この会はなんだったのか、
忘れている。
なんのパーティーだったか。

披露宴やパーティーなどで使われるような小ホール。

彼女を視界に入れないように、
気の合う仲間とグラス片手に席につく。

会は進行するが、
全く耳に、目に入ってこない。
仲間の声が入ってこない。

海に沈みこむようなこの感覚。

苦しい

息苦しい

彼女の隣には、
誰が見ても素敵な男性に寄り添って、寄りかかりながら
壁際に立っていた。

キラキラした眼差しで高身長の彼を見上げている。
彼も彼女を談笑しながら見つめている。

そして、
彼の左の薬指にも…

と、その瞬間
目が覚めたとさ!

だいぶ前の好きな人の夢を見るなんて…

未練たらたらなんだなって思いつつ、
今を知らない彼女が、
幸せであって欲しいという気持ちと、
元気でみんなに笑顔を振りまいていることを
切に願うばかりです。

チャンチャン

End

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