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中学校の時に一番仲の良かった友達について

この前、3年ぶりくらいに会う高校の時の友達と一緒に飲んだ。3年前の時は、ふとしたなり行きで呼ばれたその友達の結婚式の2次会で、正直に言うと、俺は別にその友達と高校の時に取り立てて親しかったわけではない。

その結婚式の時は当然、その友達は主役を務めるのに忙しく、ゆっくり話なんてできなかったから、この前の飲み会が、卒業以来きちんと話をする初めての機会だった。それどころか、その友達と高校三年で同じクラスになった時も、別に話なんかしなかったから、実質この時に初めて、その友達とちゃんと話をしたことになる。


でも今日書きたいのは、その友達のことじゃない。


上の飲み会以来、俺は高校の卒業アルバムを見たくなっていた。最近久しぶりに実家に帰ってきて、早速本棚を探したが見つからず、代わりに見つかったのが小学校の卒業アルバムだった。

小学校の時の顔ぶれなんてかなり忘れていたから「あーこんなやつもいたな」なんて思って見ていたら、俺とは違うクラスのページに、中学校3年間一緒に陸上部で走ったやつの顔を見つけた。中学校の部活での付き合いの濃さのせいで忘れていたけど、考えてみたら、そいつも同じ小学校だった。

正直言って、そいつはそこに写っているまだあどけない顔をした他のやつらと比較して、圧倒的にかっこいい顔をしていた。小学生とは思えないくらい、男らしく整った顔立ちをしていた。あまりに圧倒的にすぎて、俺はしばしその顔に見入ってしまった。

俺は中学校に入ってから、球技が苦手だというだけの理由で陸上部に入ったが、そいつは小学校から陸上をやっていて、すでにそれなりの実力を備えていたし、俺が選んだのと同じ種目をやっていて、その種目におけるパワーマップもすでに知っていたから、俺は部活の中ではそいつから教えてもらうことの方が多かった。そいつは本当に足が速くて、走るフォームも格好よくて、俺はいつもそいつの背中を追っていた。

小学校の時は、勝手になんか擦れたやつだなーと思って一度くらいしか話をしなかったが、中学校の時には俺にとって、一番大事な友達になったし、おそらく一番たくさんの時間を過ごしたと思う。実は人懐っこくて、いいやつとしか言いようがなかった。

一度遠征の時に、大浴場ではなくでホテルの部屋で、そいつと一緒に風呂に入ったことがある。その時にそいつの裸を初めて見た。決して立派な一流ホテルというわけでもないただのその辺にあるビジネスホテルだったから、そんな狭い空間で二人で風呂に入るように誘ってくるなんて、そいつは一体何を考えていたんだろう。

中学3年になると俺は陸上部の男子キャプテンになったが、部内の投票では、そいつとたった一票の差だった。でも俺はそいつに票を入れたやつらのことをなんとも思わなかったし、むしろ嬉しかった。そいつは俺から見ても魅力的だったんだから。

中学校最後の試合では、リレーで俺が三走、そいつはアンカーをつとめ、俺たちは大きな大会で4位に入った。すがすがしかった。

あいつは優しくて、冗談も言えて、誰にでも慕われていた。対する当時の俺はけっこう人に厳しくて、近づきにくい空気を発していた。きついことを人に言ってりもしてた。でも俺はあいつにだけは心を開けた。部活の仲間として、あいつもたぶん俺に心を開いてくれていたはずだった。

中学校の卒業式の日、学校の門の前で、俺はあいつと別れを言った。俺は地元の高校に進学したけど、やつは別の街の高校に行ったから。

以来あいつの顔を見ることは二度となかった。一度だけ、高校三年の時に大学に受かったことを電話で話した。でもそれ以来あいつの声も聞いていない。

今どうしているのかわからないけど、あいつは俺にとって憧れの存在でもあり、一番心を開ける友達だった。でもあいつが俺のものになったことは一度もなかった。なぜなら、あいつは誰からも愛されていたから。俺以上に仲良さげな友達もたくさんいたし、彼女もいたし、後輩にもすごく慕われていた。

この年になって、またあいつと会いたいかときかれると、正直答えに困る。あの時のあいつがあまりにも眩しくて、今どうなっているのか、ただ一つの正解を見せつけられるのが、少し怖い。

俺はあいつに友達以上の感情を抱いていたんだろうか。自分でも気づいていなかったけれど。

#LGBT #LGBTQ #ゲイ #中学校の思い出

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