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元祖平壌冷麺屋note(197)

人身事故の光景がエンドレス・リピートされるのに悩まされている帰り道、ゲストハウスMAYAに宿泊中の、カナダ人作家のヴィンセントさんに出会った。

カナダの言葉は、英語だと思っていたら、第一言語はフランス語なのだそうだ。

摩耶ケーブルから、神戸高校の話の流れで村上春樹の話になり、お互いの好きな村上作品を紹介し合って、やはりハルキ・ムラカミは世界言語だと感じた。

最近、上梓した本が2年ほど後に日本訳される予定らしく、タイトルが「鈴子の幽霊」だったので、ラフカディオ・ハーンをご存知ですか、と訊ねたら、案の定、「怪談」のファンだったので、さらに話が弾んだ。

手帳にサインをもらい、ヴィンセントさんには冷麺屋のショップカードを手渡した。過去に2度訪朝したことを、とても興味深く、驚きながら聞いてくれた。

彼も、韓国の咸興で冷麺を食べたことがあるらしく、済州島にも足を運んだことがあるとのことだった。

翌朝、まやむすびで、昨晩、出逢った作家さんの話をしながら、Amazonセール中の「鈴子の幽霊」の英語版をポチッと購入した。

すると、その昼過ぎに冷麺屋にご本人が現れて、摩耶山に登って来たと話すので、ケーブル駅向かいのおむすび屋さん(まやむすび)には寄りましたか? と訊くと、寄りましたよ、との返事だったので、びっくりしながら、小泉八雲のいう霊性とは、このことだなと、納得もしたのだった。

ヴィンセントさんが、スペシャル冷麺を食べたあとは、お互いの故郷(平壌とモントリオール)の話をして、カナダのモントリオールに来てくれたら、伝統料理をご馳走しますよ、と約束してくれた。

これからの予定を訊ねたら、明日は直島に行って、それからは京都か大阪を巡って、それからは未定だなあ、スギちゃんは?

とボールが飛んできたので、多分、灘近辺で本を読んだり、ボルダリングをしたり・・・と伝えたら、ボルダリング!

モントリオールには、素敵なボルダリングジムがあるよ、自分は20年以上クライミングをして、インストラクターも務めたんだということを、興奮気味に教えてくれた。

さすがは、小泉八雲の霊性、あっ、だから冷麺なのか、冷製だから。なんてね。

それから、ヴィンセントさんが写真を撮りましょう、と話してくれて冷麺屋の前で2ショットを撮って、ハイタッチをして、「チャオ!」で別れた。

ヴィンセントさんが去ったあと、しばらくして、なんで別れのあいさつだけイタリア語だったんだろう、とじわじわと可笑しくなった。

線路に飛び込んだ、あの夜の、女性の影がゴーストとなって、自分にまとわりついているのだとしたら、その影を「鈴子」と名付けようと思う。

ヴィンセントさんの「鈴子の幽霊」を読み切ったら、その影は去ってくれる気がしている。

今朝は、まやむすびでマヤ友さんが、英語学習のアプリを紹介してくれた。イッツ・トゥー・ファニーゲーム。小泉八雲に呼ばれているのかも。

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、約130年前に、1年9ヶ月の間、神戸の中央区(めちゃ近所)に住んでいたらしい。




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