元祖平壌冷麺屋note(236)
オモニの誕生日であることを思い出しながら、自転車を乗っていると、王子公園駅向かいのコンビニの横を高架沿いに降りる道で、オモニ(にそっくりな人)が通り過ぎた。
黒服にショートの黒髪で、ネックレスをかけて、痩せる前のオモニの姿で、一人で歩いているのに、なぜか嬉しそうに微笑んでいた。
そのように感じて、自転車を止めて振り返って話しかけそうになったけど、そうすると完全に不審者なので、そのまま駅へ向かったのだった。
ぱるふぁんでモーニング。読書用に「くもをさがす」「ゲームの王国」「穴」を、丸い月のような電球の下に積み重ねて、一口サイズのジャムトーストと、ゆで卵をもぐもぐしながら、アイスコーヒーを飲む。
前に、学生時代にバンドをしていた店主さんオススメのバンドを紹介してもらったので、少しだけ聴いてみた感想を伝えた。
会計前に、学生時代の話になり、印象に残る先生は、勉強をうまく教えてくれる先生よりも、自分に寄り添ってくれた先生だったということを反芻しながら、喫茶店を出て歩いていたら、中学時代の教頭先生が、高齢者施設の前で立っていたので、驚いて挨拶をした。
先生も「ああ、チャンスギか」と名前を覚えてくれていて、嬉しかった。ここにいらっしゃるのですか、と訊ねたら、ああ、施設に入っているのではなくて、運転手として働いているんだ、と昔と変わらない笑顔で仰った。
それにしても、大きくなったら、ますますアボジに似てきたなあ、と別れ際に仰るので、クローンですから、と定型文で返しながら、一礼して手を振って冷麺屋を目指した。
昼過ぎに、オモニの親友5人がお店にご来店。墓参りをしてきたこと、霊園についたら、雲から光の筋が何本も降りてきていて快晴だったことを教えてくれた。
天気予報が雨でも、毎回、墓参りの時には、天国の階段が現れて、嘘みたいに晴れるのだった。
アボジに続いて、お礼を伝える。オモニも幸せだと思います。
今朝、すれ違ったオモニが、微笑んでいた訳が、その時に分かった。
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