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元祖平壌冷麺屋note(79)

冷麺屋は、臨時休業。

娘を連れて、阪急電車と地下鉄を乗り継ぎ、大阪の統国寺へ。従姉妹の三回忌。

快晴をさらに突き抜け、真夏が戻ってきたような晴天。同い年の従姉妹も、太陽のような笑顔でよく笑ったのだった。年齢以上にしっかりしている長女が、小さな親戚の子供たちを束ねて、ダルマさんが転んだをしている姿が、小学時代の従姉妹と重なって、視界がにじんだ。

生きている人間は、毎日を生き続けるしかないのだけど、本当に会いたい人には、会えないという現実に打ちひしがれそうになる。

法要の後、弟家族の誘いで、九州から帰省中の妹も加えて、すぐ隣にある天王寺動物園へ立ち寄った。

「何かが産まれた」らしくて、園内は大勢の人だかりだった。動物を見にきたのか、人を見にきたのか、と皮肉が浮かんだところで、「ヒト」と書かれた表札が目に入った。

ヒト。英名Human。学名Homo sapiens。
知恵を得て運動能力を捨てたサル。
分布:世界中に生息
特徴:同じヒト科の仲間であるチンパンジーと比べ身体能力は劣る。自らが生活しやすいように環境を作ってきたため、近年の地球温暖化に大きく関わっていると言える。

天王寺動物園

甥っ子は、チンパンジーに「こんにちは」と元気にあいさつをし、娘は虎の咆哮を怖がって、コモちゃん(妹)の服にしがみついていた。

帰りの電車で、眠たそうな娘が「何が産まれたのか見れなかったね」とささやいた。

そうだね。でも、毎日、何かが生まれているんだよと、うとうとしている娘に知らせた。

昨夜、20年前に生き別れた友人が、夢の中に会いにきてくれた。学園祭の舞台の上で「統一の虹」という歌をデュエットしながら、振り付けで手を合わせるのが、少し恥ずかしかった。

彼女の名前にも「晴れ」の字が入っていて、いつも晴れ空のような笑顔を浮かべていた。

本当に会いたい人には、会いたいと願えば、また会える。そのことを教えるために会いにきてくれたのかな。さようならは、また会おうの印(しるし)。

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