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『 誰が「 橋下徹 」をつくったかー大阪都構想とメディアの迷走 』松本創【 本の紹介 】

ずっと前からメディアに対して得体の知れないイヤな感じ(違和感、もっといえば不信感、さらにいえば危機感)を、覚えていた。

イメージとしては、ジョージ・オーウェルの描いた「 1984年 」でビッグブラザーなるものが、メディアを意のままに操作している暗黒の世界で、なぜか主人公=自分だけが、その「 巧妙な嘘 」に気づいてしまっている感じ?

しかし、モヤモヤした得体の知れないもののイメージの正体は、本書を読むうちに、徐々にはっきりと見えるようになっていった。

戦前の空気をまとったテレビ政治家が、メディアと一体化し、暴走を始め、さらに、歯止めのかからなくなったメディアが自らの報道を検証することもなく、批判や吊し上げの標的になるのを恐れて、おかしいという声も上げられなくなった時、ジャーナリズムの精神は消滅してしまったのだ。

政治家とメディアが共依存に陥っているときは、住民=視聴者は、大いに警戒しなければならない。と、思う。

レイシズム、ヘイトクライム、ファシズムが生まれる土壌が出来上がると、やがて戦争とジェノサイドにつながっていくのは、歴史が語っているから。

本書を読んでいる最中に、ひとまず「 嫌な予感 」は的中しなかった。そのとても安心したという心境を、古本屋で、ばったり遭遇した著者に伝えることができたのは、その日の二つ目の幸運だった。

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