ルヴァンカップの予選突破は難しいのか-サガン鳥栖の10年連続予選敗退を検証する-

5月の終わり。ルヴァンカップの終わり。

5月が終わった。
そして気づいたらJリーグのルヴァンカップも終わっていた。

正確には終わっておらず、プレーオフステージなるものが順次開催されており、まだ決勝トーナメントも残っているのだが、私が(一応)応援しているサガン鳥栖の10年連続のグループ予選での敗退は決まっていた。

サガン鳥栖のルヴァンカップは終わったのだ。

サガン鳥栖が2012年にJ1昇格してから10年。
子どもが生まれ、関東在住かつ関東のスタジアムまでそれなりに遠い場所に住んでいることから、J1の舞台で戦うクラブをテレビを含めてまともに応援できたのは最初の5年くらいだが、降格せずによくもまぁここまでJ1の舞台に残留できてるなと思う。
その一方で、最初の数年を見ただけでリーグ優勝の難易度の高さを思い知り、ファンとしては「タイトル取るならカップ戦の方がワンチャンあるよね」と思ってしまうわけだ。

20年ほどJ1経験のあるFC東京を例えにすると、ルヴァンカップ(旧ナビスコカップ含む)で3回、天皇杯で1回優勝しているが、リーグ優勝経験はない。
また、リーグ優勝経験も以下の10クラブしかなく、それなりの「格」を持った(または持っていた)クラブに限られる。

■過去のJリーグ優勝クラブ(プレーオフは除く年間優勝)
鹿島アントラーズ 8回
横浜Fマリノス 3回
川崎フロンターレ 3回
サンフレッチェ広島 3回
ジュビロ磐田 3回
ガンバ大阪 2回
ヴェルディ川崎 2回
柏レイソル 1回
浦和レッズ 1回
名古屋グランパス 1回

これはもうカップ戦でワンチャンやるしかないのである。

しかし、現実はルヴァンカップ(ナビスコカップ含む。以下、ルヴァンカップで統一)で10年連続予選敗退。
最初の頃は「まぁ選手層も薄いし、残留優先だから仕方ないね」と眺めていたものの、いつか予選突破くらいできるだろうと心の中では思っていた。

そして10年である。

「選手層が薄い」、「残留優先」といった事情は他のクラブでもあることだし、J2に落ちそうなクラブが予選突破し、決勝トーナメントの試合で出場メンバーがリーグ戦となんか違う的な光景も見た覚えがある。
なので、このサガン鳥栖の10年連続敗退、ルヴァンカップ予選グループ突破率0%がどんだけヤバいのか、そもそも普通なのかを判断するためにルヴァンカップにおける他クラブの成績を調べてみた。

成績調査について

・ルヴァンカップ(ナビスコカップへの参加がJ1に限定された2002年~2020年までの19年間で検証。サガン鳥栖のみ、2021年までの10年間で集計。
・プレーオフや2011年の変則的な開催、ACLによる予選免除含め、「ベスト8に残れたかどうか」を予選突破成否の基準とする
・データはWikipediaにて調査。不足分はクラブ公式から取得。
・調査対象は過去5回以上ルヴァンカップに参加しているクラブを対象とする
・ダブルチェックとかしてないので、誤りがあったらごめんなさい

各クラブの予選突破率

ルヴァンカップ予選突破率が高いクラブから順番に並べていくと以下の通りとなっている。

■ルヴァンカップ予選突破率ランキング

ルヴァン予選突破率

予選突破率が一番高いのは順当に鹿島だろうと思ったら、ガンバ大阪がダントツの1位という結果。
出場回数が19年中18年なのはJ2で過ごした1年間があるためで、J1時代は2020年の1回だけしか予選落ちしていない。
今期はACL出場の関係で予選突破状態と、ルヴァンの予選突破に関しては高い確率を今期も維持している。

そして、鹿島、浦和、FC東京、C大阪とルヴァンカップ優勝経験のあるクラブの名前が続くが突破率6位の横浜FM、8位の名古屋、10位の清水とこの辺りから多い出場回数からの優勝経験なしというクラブが出始め、予選突破したとしても簡単に優勝できるものではないと思い知らされる。

9位の千葉はご存知の通りJ2降格前の2009年までの成績だが、2回の優勝経験があり、オシム氏の手腕がよく分かる成績となっている。
余談ではあるが、サガン鳥栖のエースであったFW新居が2007年に千葉に移籍し、自身の就職による上京も同年であったことから2007年よりジェフ千葉の応援もしていたのだが、2007年以降右肩下がりになっていくジェフ千葉を観るのは正直悲しかったし、気づけばJ2という戦場でJ1昇格を争っていた。
どうしてこうなった。

さておき、上からクラブ名を眺めていくとお分かりの通り、札幌、甲府、湘南といったJ2からの昇格組も予選突破したことがあるのだ。
ちょっと補足すると、ここに記載のないルヴァンカップ予選参加経験が3回の福岡でさえ、1回は予選突破に成功している。

ちなみに、予選突破成功数が1回しかないクラブは東京V、湘南、大分の3クラブなのだが、そのうち湘南は2018年に、大分は2008年に優勝をしている。
そう、このイメージがあるから、「カップ戦ならワンチャン」と思ってしまうのである。

鳥栖と並んで予選突破経験がないのは京都サンガだが、2002年のレギュレーション変更前にベスト4の経験があったので、真の意味での予選落ちクラブはサガン鳥栖だけという有様だった。

予選突破の観点から見ると、サガン鳥栖はもうちょっと頑張った方がいいかもしれない。

各クラブの連続予選敗退数

次に「何年連続でルヴァンカップを予選敗退したか」という観点でデータを整理してみた。
予選突破経験があっても、何年も予選突破できない暗黒期を耐え忍んだクラブはあるはずなのである。
そういうクラブのサポーターとは美味い酒が飲めるかもしれないと思い調査した結果が以下の通りだ。
ちなみに「予選敗退→不参加(J2降格)→予選敗退」といった場合は、不参加はカウント対象とせず、2年連続予選敗退としてカウントしている。

■ルヴァンカップ連続敗退数ランキング

ルヴァン連続敗退数

ヴィッセル神戸さん!!!!!

心の友と書いて「しんゆう」と読みたいヴィッセル神戸の連続敗退記録は2002年~2012年の間のもので、2006年のJ2生活を除いた10年連続の記録である。
J2降格に加え、運営会社の変更やチームカラーの変更など、神戸観点で言うと本当に様々なことがあった時期で、ルヴァンカップ以外の成績もそれほど・・・という状況であったため、サポーターとしては非常に苦しい時代だったのではないかと思う。

なお、J2から昇格後の2014年~2020年の7年間では5回予選を突破(突破率71.4%)となっており、2019年には天皇杯で優勝するなどルヴァンカップ10年連続敗退した時代とは別次元の勢いである。

これでは一緒に美味い酒など飲めるはずがない。

そして鳥栖を除くと次に来るのが大宮。ある意味期待通りの位置であり、2006年からJ2降格が決定した2014年まで9年連続で予選敗退している。
ただ、2005年と2016年にはベスト8で敗退となったが複数回の予選突破を経験しているなど、数打てば当たる感のある戦績となっている。

そして4番手につけた柏だが、7年連続の敗退は2度のJ2降格を含む2003年~2011年までのもので、その後は2013年の優勝などを筆頭に66.7%の突破率となっており、2010年代に入り一皮むけたクラブと言える成績を収めている。

ちなみに連続敗退中の記録がそれなりに長いクラブは清水(7年連続)と磐田(6年連続。J2のため凍結中)となり、清水は6/6(日)の結果次第では8年連続になってしまう。
相手は鹿島で、第1戦目は負けているためやや厳しい状況ではあるが、記録を途絶えさせるためにも頑張っていただきたいものだ。

まとめ

子育ての気分転換に片手間で2つの観点で各クラブのルヴァンカップにおける成績を見てみた感想としては

「ルヴァンカップ予選は簡単じゃないけど、10年あれば1回くらいは突破できてもいいんじゃね?」

ということと

「やっぱりタイトルを獲るとすればルヴァンカップでの優勝が一番近道なのでは?」

ということだ。

予選突破できなかった理由や背景などを深く追究するつもりはないが、「そろそろ1回くらい予選突破してもいいじゃん・・・」というのが本音である。

また、タイトル獲得に関しては以下に天皇杯の過去の優勝クラブが記載されているリンク先を貼っておくが、リーグ優勝、天皇杯優勝ともにそれなりのクラブの格がない限り到達できない領域のように感じるし、ルヴァンカップは開催日程の関係でどうしても優先度を下げるクラブが多くなり、そこにわずかなチャンスが生まれ、近年では湘南がその栄光を手にしている。
(もちろん、クラブの方針や戦術、選手層などが一定以上整っていることが前提ではある)

<参考:天皇杯歴代優勝チーム>
https://www.jfa.jp/match/emperorscup_2020/history.html

サポーターであるならば、一度は味わってみたい「タイトル」を手にする瞬間。

サガン鳥栖がタイトルを獲るまでにまだ時間はかかりそうだが、千里の道も一歩から。
まずはルヴァンカップの予選を突破し、「今年はワンチャンある」感を見せてほしい。

最後にルヴァンカップの優勝回数のデータを貼っておきます。
やっぱり鹿島って強い。

■ルヴァンカップ優勝回数ランキング

ルヴァン優勝回数


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?