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雑感 インパクト投資奮闘記1-2週目

こんにちは、ロンドンでインパクト投資業界に飛び込んでいる城守/ジョウモリです。
1年間のキャリアチェンジプログラムを通じて、10月からの半年間、某インパクト投資団体で働いています。

プログラム開始/勤務開始からあっという間に2週間。
記事にするほどのことではないけどせっかくなので雑感として日記調に失礼します。

Below Market Rate or Market rate


インパクト投資と一口に言っても広い。財務的リターンに加えてインパクトを加味するっていう話の中で、
Below Market Rateでもやりますよ
(バリバリ投資ファンドみたいには儲からないけど、利益が出るには十分お金にはなるし社会的意義があるなら投資します)というスタンスの団体と、
Market Rateは守って投資します
(これまでのと比べてリターンがほんの少しでも下がる投資?それは社会的意義があったとしてもうちはやらないです)スタンスの団体がある。

弊社はビッグイシューグループの一つでもあり、確実にBelow Market Rateの方。

会社はめちゃくちゃいい人たちばかり、仕事もとてもやりがいがある。
自分にはどの方向性が性に合うのか、この1年で考えていきたい。
インパクト投資ってかなりグラデーションがあるな(訳:私の勤務先、いわゆる投資銀行のガツガツした感じとは正反対だわ)と思ったり。

インパクト投資団体、業種区分は一般的じゃない!?

イギリスは今インフレ、エネルギー価格の高騰などでcost of living crisisにあると言われている。
特に今日の生活がやっとの貧困層にとってはheat or eatと言われこの冬は厳しくなると思われているし、人件費の高騰でもともと利鞘の薄いチャリティーセクターは打撃が大きい。
今の会社に入った初日、オンボードに少しは時間がかかるのでその間このマクロ要因によるポートフォリオへの影響を調べてみて。と最初の課題をもらった。

私はとりあえず業種別(industry)のデータを見よう…とポートフォリオデータを探すが、社内システムの通常コラムに私の思う業種区分がみつからないことを知る(注:弊社は投資部門10名くらいの規模感。大きい会社ではない)。あるかどうかは守秘義務に近いくて言えないけど、とにかく一般的な言語ではなかった。
銀行で融資を考えるときに業種別で話すのは非常に一般的だったので(半導体の世界的供給減→xx業界に影響ある、等と考える)そんなまさか!と思ったが、1週間色んな人と話したり調べてみたところ…

(社会性重視の)インパクト投資の世界では、業種より「何の課題を解決している会社か」と最終受益者(例えばホームレス)で区分して会話することが多いようだ。
例えば、イギリスの社会性重視のインパクト投資団体の多くに投資しているBig Society Capitalも様々なデータを公表しているけど、所謂業種区分はなかった。彼らが使っているのは以下の区分。SDGs項目で区切ることもある。Employment and Training / Health and Social Care / Financial Inclusion /
Education and Learning / Tackling Homelessness / Community and Sustainable Transport

ちなみに、これはインパクト投資団体についてのデータだからインパクトを重視しているだけな気もするし、そりゃ業種区分をメインで話している団体もあるんだと思う。

ただ(英国インパクト投資と言えば…の)BSCの英国社会インパクト投資業界についての統計データに業種区分がないって、やっぱり銀行出身の私は数日では消化できない事実だった。

なんでないんだろう?じゃあ業種区分を自分の理解で当てはめて考えればいいかな、と色々試行錯誤しているけど、一筋縄ではいかない

例えば、刑務所の元囚人の再犯率が高い(就労につながるスキルを持っていない人が統計的に多い、元囚人を雇用する企業が少ない、等)という課題の為ににバリスタになるためのスキルを教え、コーヒーショップ経営もしている社会的企業がある。これは教育事業?サービス業?
他にも、メンタルヘルスに問題を抱える人向けの団体で、病状が深刻な人が滞在できるシェルターを運営したり、専門家をつないでの医療サポート、職業訓練を行っているものがある。これはハウジング?医療?教育?

それぞれにある程度私の中で答えはあるが、一つ分かったことは
このような社会的企業・チャリティーの多くは課題ドリブン数の収益源・事業を持つようにしていることも多い。となると、業種(=その会社や個人の事業の種類)で区分するより、誰の方を向いて働いている団体(最終受益者・社会課題)かで区分した方がすっきり分けやすいのだと思う。

実際、私がメンタルヘルスに課題を抱えていたら、自分の状況・病気の段階によって色んな団体に問い合わせ・お世話にならないといけないより、メンタルヘルス困ってるなら団体Aに来てくれれば全部サポートできますよ、という世界の方がありがたい。

とはいえこの分け方では、マクロ状況の変化による事業への影響を理解する方法にはあまり有用ではない。私の旅はまだ続いている。。。

メンターとの初回面談

キャリアチェンジプログラムの一環で週30分のメンター(その業界に詳しい人がプロボノでやってくれていることが多い)と話すことができる。
とにかくコーヒーチャットしろ!ネットワーキングが仕事だ!と。(コーヒーチャット=お茶しながら30分くらい会話する)
コーヒーチャットで会った人の名前と会話内容をリスト化しておくと、後で振り返りやすいし、見える化が自分のモチベーションupになると言われた。
自分の性に合うか自信はないが、メンターからのありがたいお言葉。とりあえずやるしかない。

ただネットワーキングは相当重要なようだ。
実際同時期に自社に正社員として入社した中堅若手と話しても、インパクト投資業界で仕事を見つけるのはネットワーキング命だと感じる。

毎週金曜日のトレーニングセッション


1週目はGrowth mindsetとロジカル思考について。
2週目はImpact Measurement (含むTheory of change)について。
内容については割愛するけど、金曜午後に2時間1テーマ×2コマはしんどい

特に1週目は新しい職場で疲れていて、そこでロジカルツリーを作れだと?もう投げ出したかった。
疲れると英語も出てこない。ここで泣いちゃいけない…と考えるのがやっとだった。。。

2週目はトピックを予習したし、少し精神的な余裕もあって楽しめた。
ほとんどのトレーナーはプロボノで各専門家が来てくれているのだけど、正直クオリティにかなり幅があるとも感じた。

総じて

自分が興味あったことに全振りできているので、毎日ワクワク、仕事が終わってからも明日質問したいことがいろいろ思いついて、調べごとをしたり、メモしたり。
ロンドンに移住してからは週末や夜は極力仕事しないポリシーだったけど、娘が寝た後の自分時間は結局ほぼ仕事やプログラムのことを考えていた2週間だった。

なんだか好奇心だけで突き進む子どもに戻ったようで不思議だけど、心地いい。こんなに私の興味に素直でいいの!って、まだフワフワしている気がする。

ではこのあたりで。

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