長生き

私には長生きしなければいけない理由が多々ある。

その中の一つに
80歳を超えてからの同級生の葬式に参列
の任務がある。

理由は
中学生の頃、友人が話していた家族の話に遡る。

82歳になるおじいさんが
同級生の葬式に参列したのだと話し始めた。
故人とは小学生の頃からずっと仲が良かったそうで
最期もこの目で見送りたいと
通夜・葬式・火葬まで行ったらしい。

火葬場まで行くと、悲しみも落ち着いていたので
10人ほどの同級生と
火葬が終わるまで故人の思い出話に花を咲かそう。と待合室で集うことにした。

待合室には、故人の親族が用意したのであろう
お菓子があったので、その中から甘納豆を取り
1粒口に入れた。
その間0.01秒。

甘納豆につくザラメが
器官に入り
むせた。

高齢者の誤飲とは怖いもので
小さな小さなザラメが1粒器官に入っただけで
15分ほどむせる。

おじいさんは
このまま死ぬのではないのか。
と思ったらしい。
15分も永遠に続くように思えて
いろいろな意味で涙が出たそう。

火葬も終わり
自宅に帰ってひと言。

「俺は葬式に行って、死に目にあってきた...」



そう。
私は絶対にこれを言わなくてはならないと
心に強く決めている。

若ければ
この深刻さが半減してしまう。
だから長生きをして
おばあさんになった頃に
言わなくてはならない。
先には死ねない。
みんなを見送らなくてはならないから
長生きをしなければと常々思っている。

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