【中1数学】「階段」を用いた負の数の加法・減法の新しい導入モデルの提案
こんにちは。ワクワクと申すものです。
突然ですが、中学校で初めて負の数の概念を習ったとき、これまでの四則演算の常識では説明がつかないような演算方法たちとの遭遇に、戸惑った方も多いと思います。
代表的なものが、
・(ー)×(ー)=(+) マイナス同士の掛け算・割り算
・ ー(ー)=(+) マイナスの数の引き算
だったはずです。
今回は、マイナスの数の足し算・引き算についてで、「中学生に教えるときに、どのように説明すれば、その人は納得しやすいか」を考えて、その中で得たアイデアをまとめてみました。
ここでは、負の数を含む整数の足し算・引き算を、包括的にイメージできるモデルを提案していきます。
小学校までの常識に寄り添う
四則演算について、小学生までの常識として、「足したら増える」「引いたら減る」「掛けたらめっちゃ増える」「割ったら訳分からんくなる」ということが挙げられると思います(一部偏見です)。
負の数の単元は、この「足したら増える」「引いたら減る」という常識を、入学早々いきなりぶち壊してきます。
そこで、裏切られた新入生は、半分納得いかないまま、「そうゆうものだ」と受け入れる道を選んでいきます。私がそうでした。
私の場合、「マイナスをつけると反対の意味になる」という定理(?)を習い、「マイナスの足し算は引き算に」、「マイナスの引き算は足し算に」という演算方法の暗記で一応何とか進むことができました。
しかし、その定理に慣れるまでは、正負が混乱して、計算ミスを多発していたような気がします。
そこで、出来る限り、小学校までの知識が通用し、負の数を含む整数の足し算・引き算を包括的にイメージできるような、一貫したモデルが必要だと感じました。
整数の階段モデル
階段はごく身近にある移動手段です。ただ歩いているように見えて、私たちは気付かないうちに、1 mも2 mも上下運動をしているわけです。
私はこの「進めば上がる」「戻れば降りる」といった階段の性質を、整数の演算のモデルに使えないか、と考えました。
それが、下の図です。
まず、数直線のような矢印は、全体の方向性を示すもので、常に正を向いているとします。
そこに、ジグザグの階段を、上の階にも下の階にもつながるように書き足します。
正負の基準となる0は、分かりやすいように「踊り場」にしてみました。
そして、正の数の足し算・引き算、または負の数の足し算・引き算を、以下の4通りの場合分けで捉えてみます。
Ⅰ:上る方向を向いて、進む → 正の数の足し算 結果+
Ⅱ:上る方向を向いて、退く → 負の数の足し算 結果-
Ⅲ:下る方向を向いて、進む → 正の数の引き算 結果-
Ⅳ:下る方向を向いて、退く → 負の数の引き算 結果+
近くに階段がある場合、実際に立ってみるとイメージが付きやすいのではないかと思います。ここで言う結果というのは、経た行程で、「高さが上がったか下がったか」を表しています。
全体として階段を上る方向が+だとしているので、ⅠやⅢの「進む」行程は結果が分かりやすいと思います。
ここで注意ですが、階段にて、自身が「退く」行為は危険が伴いますので、もし実践するのであれば、手すりに摑まったり周りを見たりして安全を確保しましょう。
ただ、タイトルにあるように、マイナスの数の引き算というのは、Ⅳの行程で説明することができます。
Ⅳを言い換えると、「負への道のりを自ら退く」ということで、結果的に階段を上っていくことになるので、足し算になる、と説明ができます。
具体例
Ⅰの行程について
Ⅱの行程について
Ⅲの行程について
最後にⅣの行程について
整数の階段モデルの優位性
私が、このモデルでよいと思う点は3つあると考えています。
1つ目は、表面的な符号の入れ替えで済ませるのではなく、視覚的に正と負の位置関係を確認しながら、演算を理解できる点です。
→矢印の方向が正、その反対が負という関係をとらえられることで、より立体的な理解ができ、応用が利きやすくなるのではないかと思います。
2つ目は、階段の上がり下がりが、演算の結果の正負と結びつけやすく、直感的に理解しやすい点です。
→「階段を上って、高さが増した」、「階段を下って高さが減った」という経験が、小学校までの感覚である「足し算は増える」「引き算は減る」というイメージと、合致することで、理にかなっているモデルと言えます。
3つ目は、階段という日常でよく目にするものをモデルとして扱っておりイメージがつかみやすい点です。
→このモデルを頭に入れると、紙の上での計算だけではなく、普段何気なく上り下りする階段で、負を含む整数の演算のイメージを定着させることが出来そうです。
整数の階段モデルの課題点
ここまで、中学生に負の数を含む整数の足し算・引き算を教える際に、今までの常識に寄り添いながら、包括的にイメージができるモデルの一つとして階段モデルを提案してきました。
しかし実際に教育現場で使おうと思えば、課題が残ります。
例えば、現実的に絶対値の大きい整数を扱うことができません。やってみせることができるのは、絶対値の小さいごく限られた区間内だけです。
また、先ほど書いたように、階段で動き回るのは事故の元となり危険であることも挙げられます。生徒が校内で階段モデルのイメージトレーニングをしていて、事故が起こる可能性があります。
まとめ
階段を整数の演算の考え方に応用するというアイデアを提案してみました。
ただし、実際に教育現場で教えるときに、そのままこのアイデアが使えるかどうかは、時と場合によることが分かりました。
階段でなくても、ある方向を正と定めて、その道を進んだり後退したりすることで、整数の足し算・引き算の計算結果はイメージできるようになるのではないかというのが結論です。
あとがき
最後まで読んでくださった方、お付き合いいただき有難うございました!
今、自分が当たり前に出来ていることでも、人に教えるとなると、意外と難しいことを改めて感じました。
以前友人にこの内容を話すと、また別の視点でのアイデアを、友人が持っていることを知り、とても刺激になりました。
アイデアを共有しあえる仲間がいるのは、とてもありがたいことです。
このブログが、読者の皆様方に、インスピレーションを与えるものでありたいな、なんて思っています。
それでは失礼します。
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