ミュージカル エリザベート 初見感想

10/31 ソワレ (花總、山崎、佐藤、甲斐、香寿、上山)

ついにエリザベートを観た。もっともチケット入手が困難といわれる人気作品。その楽曲はコンサートでもさまざまな人に何度も歌われ、色々知識はあったし、DVDも出ていたが、何となくタイミングを逃して本当に初見となった。

定期的に再演され、チケットが取れない人気作ということで、「レ・ミゼラブル」とか「オペラ座の怪人」などをイメージしていたが、これはいわゆる「一般受け」する作品じゃないのではという感想。暗い。私は全然嫌いじゃないけど(むしろ好き)。普段ミュージカルを全く観ない人でも楽しめるものなんだろうか。

作品を観て何を感じるかは、受け手の置かれた環境やその日の気分などにもよって変わってくると思う。ポスターの「死、それは偉大なる愛」というコピーがついているが、私はこの作品から「死」というテーマを強烈に感じた。少し不気味な感じもしたし、怖くもあった。

お医者さんが実はトートだったり、民衆の中にトートやトートダンサーが普通に紛れ込んでいたり、何気ない日常のすぐそこに死が潜んでいるようで。トートダンサーは少しミヒャエル・エンデの「モモ」に出てくる灰色の男たちのようにも見えた。もしかしたら彼らは流れゆく時間なのではないか。

「闇が広がる」のシーンでは、鏡が使われた舞台装置が印象的だった。舞台上で演じるトートとルドルフの姿が映し出され、現生と黄泉の2つの世界を表しているように思える。弱っているルドルフの心の隙間にトートが入り込み、あちらの世界に誘っていくシーンは本当に心がザワザワとした。
人間ってすごく元気であっても、ほんの少しのきっかけで歯車がくるい、心を病んでしまう脆い生き物だから。あんな妖しい魅力の死神?が現れたらひとたまりもない。

1幕の終わりで花總まりさんの神々しいオーラにやられため息をついたのもつかの間、2幕でドーンと帳消しになり、重い気持ちになった。でも、こうして感想を書いておきたいと思うくらいなので、じわじわ好きになるタイプの作品かも。なにしろ音楽がすごくいい。

あと2回観る予定なので、また感想がどのように変わるか楽しみである。



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