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歌舞伎座で海老蔵と菊之助を見た~暫と土蜘(つちぐも)~

~プロローグ~


ママン「歌舞伎で海老蔵を見に行くんだけどあんた来る?(興味ありそうだから、一応聞いてやってるだけで金かかるから行かないって言え)」

僕「有給取って行くよ!」

ママン「ちっ(舌打ち)!来るんじゃねえよ(分かった、楽しみにしてるね~)」


という会話があって團菊祭五月大歌舞伎に今月行ってまいりました!人の金で見る歌舞伎最高!ひゃっほう!

歌舞伎座正面。ブルジョアジーの匂いがします

團菊祭って?

"團菊祭"というのは、市川"團"十郎尾上"菊"五郎から取られたもので、要は市川家、尾上家のコラボで演目やろうよ!って感じのイベントなそうな。

"團十郎"は今の市川"海老蔵"のお父さんのことですが、落語といっしょでこの名前は襲名制らしく、いずれは海老蔵がこれを継ぐそうです(その際は海老蔵の息子さんが"海老蔵"になるのかな)

團菊祭では、市川家、尾上家両方の得意とする演目を行うのが常らしく、これが"暫(しばらく)"と"土蜘(つちぐも)"なんですね。

というわけで、行ってきたのは"暫'(しばらく)"と"土蜘(つちぐも)"が演じられる午後の第二部!歌舞伎座では一日三部の公演が行われていて、その中で更に2つ演目があるんです。

歌舞伎座で配っているチラシ。金文字を使っていたりさすがの豪華さ
開演直前。永谷園とLIXILの幕があったのでスポンサーなんだと思います。

"暫"を見た感想

話の大きな流れとしては、あらぬ疑いをかけられて処刑寸前の人々を助けるために、海老蔵演じる鎌倉権五郎が大活躍!といった分かりやすいストーリー。

海老蔵に対しては、女遊びの激しいお茶の間を騒がす梨園の問題児といった印象しか今までなかったのですが(関係者の皆様ごめんなさい)

演目中、海老蔵演じる、鎌倉権五郎"しーばーらーくー"という声が聞こえたとたんに場の雰囲気が一変し、花道から姿を現した瞬間にその場が沸き立つのを感じて、「あ、こりゃちょっと女遊びが激しくても許されるわ」とコロッと流されるくらい海老蔵は華がありました。

会話の中でも、「オリンピック以来~(暫はオリンピックの開会セレモニーで一部上演された)」「おい、成田屋(成田屋は市川家のことを指す)」などメタい要素も時々入れて、お客さんへのサービスも怠らない。
終始、明るい感じでとてもよかったです。

"土蜘"を見た感想

"暫"も素晴らしかったですが、私は"土蜘"の方が好きでした。
尾上菊之助演じる土蜘の精の演技は鬼気迫るものがありました。

話としては病に伏せる源氏の大将、源頼光のもとに比叡山の僧侶智籌が祈祷に訪れる。しかし実は智籌の正体は妖怪"土蜘蛛"であり、頼光が病に臥せっていたのは土蜘蛛の呪いのためであった。それを見破った頼光は名剣膝丸で智籌を撃退し、家来である保昌頼光四天王達を土蜘蛛の討伐に向かわせる。

源頼光は正直、私世代だとFate Grand Orderのあのデザインが思い浮かぶと
思いますが、歌舞伎では史実通りの男性です。

FGOでの源頼光

先ほどの"暫"で海老蔵の姿が花道から登場すると場の雰囲気が沸いたと書きましたが、菊之助の場合は、登場したとたんに場の雰囲気が禍々しく変わりました。
登場の仕方も、ばっと勢いのあるものではなく、まさしくモノノ怪の類のようにぬらっといつの間にかその場にいるといった感じ。

正体がバレてからは、頼光との立ち回りを始めるのですが、その足さばきがまた凄かったです。楽器の音と合わせて床を踏み鳴らすのですが、妖怪のような不気味さを醸し出していました。

最後、保昌と頼光四天王によって討伐されるシーンも、それまでは恐ろしい雰囲気を出していた土蜘が一転、蜘蛛の巣を広げながら死んでいく様子は美しくも哀れでした。

終わり


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