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コストの大部分は、「安全率」で決まるのでは?

 ものを作るためには、コストがかかります。主に、材料費、加工費、作業工数といったものです。もっと細分化すれば、例えば切断、塗装、組立などといったものになります。輸送なども含まれる場合があるでしょう。

 コストは、設計の段階で80%ほど決まるのではないか、と言われています。設計者もそれがわかっていますから、頑張ってコストを考えながら設計します。

 さて、いざ、試作してみました。今の世の中には、様々な「規格」で溢れています。それらをパスしなければ、世の中に売り出すことはできません。想定される負荷の何倍もの負荷をかけても壊れないか、強い電磁波を受けても誤作動を起こさないか、といったものや、輸送中の振動に耐えられるか、落としても壊れないか、といったものまで、様々です。

 大抵の場合、この試作における試験で、なんらかの追加対策が必要になります。この瞬間、コストは頭から追いやられてしまい、規格にパスすることが第一優先となります。いろいろと肉付けをしたり、部品を足したりします。無事に規格に通った後には、当初のコストのことなど忘れられ、大幅に超過したものしか残りません。そして、その時にはもう、締め切りがすぐそこまで来ているのです。

 規格における安全率や合格範囲がどのようにして決められているのか、私にはわかりません。もちろん、それが不要だとも思いません。ですが、エンジニアが抱えるコストのジレンマは、こうして表面化するのではないか、という想像です。

 安全を考えれば、いろいろとやれますし、やりたいと思うでしょう。ですが、実際には、金額が上がったり、重くなったり、大きくなったりしてしまう傾向にあります。そうしたところから実を考えるのがエンジニアといえるのかもしれません。

 デザイナが考えた意匠も、コストアップの要因となります。過去の製品は、「それが必要だったからその形になった」ものが多かったものと想像します。丸みがついているのは、鋳物の型からそのまま取り出してきたからかもしれません。それを知らずに、丸みあるデザイン(見た目)を、というだけでものを作るとなると、無駄な工程が数多く発生することもあるでしょう。そのため、このためにコストが高くなります。果たして、意匠にどれだけの力があるのかは、私にはまだ明確にはわかりません。少なくとも、開発やマーケティングと同様、意匠に関しても、振り返って反省する機会は必要と思います。

 どこまでのリスクを考慮して安全率を考えるか、という点は、仕事だけではなく、日常にも役に立つでしょう。それらが家族の中で一致していないと、トラブルの原因となるようです。金銭感覚や時間感覚などと同様に、「リスク感覚」もすり合わせておくと良いと思います(自分への戒めとして・・・)。

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