「計画は変更できない」「予定地積が実際の地積になる仕組み」と思わせてますが、本当は・・・

私は「恣意的な土地評価で最初から保留地を設定した計画を立て,その計画のまま終了させているから違法だ」と陳情書に書きました。
それに対して市側は

土地区画整理法では市が施行者となり土地区画整理事業を行う場合は、事業計画を定めなければならず、事業計画で定める設計の概要は、県の認可を受けなければなりません。設計の概要の設計説明書には保留地の予定地積を記載しなければなりません。市が事業を施行する場合の保留地の総額は、整理後の宅地価格の総額が整理前の宅地価格の総額を超える場合に、その差額の範囲内に限られるとされております。事業計画策定時を基準として不動産鑑定を実施した結果、整理後と整理前の差はプラスの値となったため、その差額の範囲内で保留地面積を設定したものでございます。(令和 5年第2回定例会-05月31日)

令和 5年第2回定例会-05月31日-01号 (gijiroku.com)

と説明しています。なんとな~く「事業計画策定時点の評価で保留地の予定地積を記載する必要があって、認可を受けた計画は変えられないから、その評価(事業計画策定時点の)のまま事業を終えたことは違法ではない」という印象を受けます。
しかし上記の説明をしっかり読み直すと「事業計画策定時点の評価のままで事業を終わらせたこと」に関して適法な理由を示してはいません。そして説明にあるとおり、事業計画設計説明書に記載するのは「保留地の予定地積」です。”予定”地積です。


「計画は変えられない」ような印象を受けますが、本当でしょうか?
土地区画整理法には<事業計画の決定及び変更>についての規定
(第五十五条)があり
、(土地区画整理法 | e-Gov法令検索

<土地区画整理事業運用指針>https://note.com/jolly_plover845/n/n28592f731ba5?sub_rt=share_pw
の中には「積極的に事業計画の変更により対応することも必要である」という記述があります。

(4)事業計画は確実性の高いものとすること
事業計画は、法で定められた施行者が行うべき事業の計画を示すものであ
り、関係権利者にとって最も信頼すべき計画である。このため、事業計画を
策定する際には、十分な検討を行い、確実な計画とすることが、施行者と権
利者との信頼感醸成のために必要である。
なお、予期できない社会・経済情勢の変動への対応、当初想定していなか
った公共施設の需要への対応、より望ましいまちとするための整備などを行
うためには、積極的に事業計画の変更により対応することも必要である。(18ページ)

土地区画整理事業運用指針 国土交通省 Microsoft Word - unyousisin.doc (mlit.go.jp)

また、「事業計画策定時点の評価」ではなく「工事が概成した時点で評価
するのが合理的」という裁判例もあり
ます。

土地の評価に区画整理事業以外の要因を排除するために、工事が概成した時点で清算金算定のための土地の評価をするのが合理的である。
(福岡高判昭和55年4月22日)

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan


「事業計画は変えられないから、事業計画策定時点の評価のまま事業を終えていい」という理由はなく、「保留地の予定地積がそのまま実際の保留地の地積になる」という客観的根拠はありません。

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