ep65 村境ルート探索 #10 熊の巣と言われる北部探索その②
清水ヶ峰に続く村境稜線
山天の高からまだまだ村境の稜線は続きます。ここから暫く倒木が多く、蛇行しながら歩きます。伯母子岳から離れるので、更に踏み跡は少なくなる山域です。相変わらずアップダウンが続きますが、周辺の自然林は素晴らしいものがあります。
ここからは進行方向右が月谷、左が赤谷の分水嶺となり、谷瀬分岐まで稜線が続きます。
実は、前回書き残した巨大な熊の出現によってかなり気が張っていたのか、道中の景色をあまり覚えておりません。周辺に気が取られていたのでしょう。ただ、何箇所も気持ちよく走れそうなフカフカのトレイルがありました。
谷瀬分岐(谷瀬辻)に到着すると、気持ちがホッとしました。ここの手前辺りは国道168号線に開ける月谷の奥になるので車の音が聞こえて来ます。ここは去年の12/3に、谷瀬集落から村境稜線、清水ヶ峰まで確認したポイントです。
なんと本日2度目!クマとの遭遇
谷瀬辻からはほぼ下りのみのルートになります。谷瀬の裏山は内野嶺と呼ばれ、まるで屏風の様になった松山が広がります。
谷瀬辻から内野嶺に入った場所に山小屋の廃屋があり、最後の一山、銅山(カネヤマ)に登ります。トレイルも後半に差し掛かり、この季節は日没も早いので少々急ぎ足で進んでいました。しうしていると、突然視界に異様な物が入り、我々の足は止まりました。
栗の木の根元に黒光りした塊。まるでゴリラのお尻のようなそれは正しくクマの下半身でした。
ここは急峻な登りで、鈴の音も小さく、話しながら歩く、、とはいかなかった為、クマは我々に気付かなかった様です。
「ちょっと待って。。またあれ、、そうちゃうん??」
前方のクマは我々の雰囲気に気付いたのか、一目散に長殿谷方面へ駈け下って行きました。幸い我々がこれから下る方向で無かったのが幸いでした。
本日2度目のクマは、我々が先に気付きました。おそらく先に出会ったクマがあまりにも大きかったのでこちらもなるべく周囲に気を張っていたからでしょう。まともに出会っていたらどうなっていた事か。
クマのいた場所に近づいてみると小さな栗の実が大量の落ち葉とともに散乱していました。きっとこれを夢中で食べていたのでしょう。集落のすぐ上ですが、油断できません。
その後無事に下山。筆者は足が疲れていたのか何回か滑ってしまいました。車道に降り立った時、朝に登山口まで送ってくれた友人が待ってくれていました。
「良かった〜 人間や!!」
そう叫んで無事下山し、胸を撫で下ろしました。
環境の変化と今後の懸念
1日でクマに2度会うことは人生で初めてのことでした。実は他にも大きな足跡を数箇所確認しています。奥山のクマは、人が近付くと基本的に逃げていく様です。ただ、そのクマが子連れであったり、風の強い日にバッタリ鉢合わせになると彼らの防衛反応で襲われるかも知れません。
今回はナイフ、クマ鈴のみ持参でしたが、村境を進むには軽量でも良いのでクマ避けスプレーは必須だと感じました。クマ避けスプレーは、急に襲われた場合対応出来ないものの、所持する事で心に余裕が出来ます。
また、奥山を歩いて懸念したのは大量の『楢枯れ』です。ミズナラの半数以上は葉を茶色く変色させ、幹からは大量の粉を落とし、今後大量に枯れ朽ちると考えられます。
環境の変化で木の抵抗力が弱ったのか。はっきりとした理由は分かりませんが、ミズナラの実を食べていたクマの餌はきっと激減する事でしょう。食べ物も無くなったクマはきっと郷に降りてくるに違いありません。そして、これが環境の急激な変化による影響であれば、人災と言わざるを得ません。
村境北部の森は自然林が多く残り、魅力的な場所であります。西の護摩壇山から東の七面山まで。北部はどっぷりと自然林に浸る事が出来ます。今後こちらの山域に入る際はクマに注意して進みましょう。
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