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現実世界のスモールライト

心身ともにぐったりさせてくるバイトをやめて、あたらしいところで働き始めてからはや三か月。ボスとはあまりうまくいっているような気がしないし、他の同僚たちともあまり仲良くなれている気がしないけれども、まあなんとか精いっぱい働いて、お金をもらって、生活している。
大学はもうすぐテスト期間だけれども、わたしはあまり授業をとっていないからそんなに忙しくない。一日2.3時間くらいパソコンの前に座って、もしくはたパソコンをひらいてとじて、そんな感じだ。いままでとは比べ物にならないほど、ストレスフリーの生活を送っている。

そんななか、最近、「downsizing」という映画を見た。
環境問題の悪化が問題視されるなか、ある科学者が人間を小さいサイズにする技術を発明。いわゆるスモールライト。だけど、一回小さくなってしまったらもう元には戻れないし、もしかしたら失敗して死に至る可能性すらある。ただ、小さくなることでかかる生活費もその分小さくなるし、地球にもいい。ある平凡なカップルはお金に少し困っていて、小さくなることを決意。でも夫が小さくなった後、妻から「わたしは怖いの。小さくならなかった」という電話をもらう。後に待つ豪邸と二人分のバスローブやらベッドやらなんやら。この夫が主人公になっていくのだが、どうにも救いようのない平凡な男で、村上春樹の主人公像に通づるものがある。妻と小さい世界で働かず幸せに暮らすはずが、妻に振られ、コールセンターにつめこまれ働き、薬を盛られる。だがそんな男の平凡な選択たちがだんだん平凡ではなくなっていく。成長していく。小さな世界で、大きくなっていく。
自分を俯瞰でみることができるような物語。かなり好きだ。

いまは、Wes Andersonの短編を一日一本見ている。彼のデザインはもちろん、ストーリーが昭和の短編らしくてとても好き。毎日に楽しみがあってうれしい、最近です。


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