高田月光

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塔2024年5月号 掲載歌

今月もありがとうございます。 塔2024年5月号 若葉集 掲載歌 花山多佳子選 セーターにたばこのにほひあなたとはいつも遠くで燃えてゐる森 あなたにも砂漠があつて胸からはらくだの歩く音が聞こえる わたししか気づいてゐない口癖でありますやうにうつむくダチュラ もたれあひ眠つたふりをしてゐたい終点のない電車の胎内 晒すから見てゐて、ずつと。パプリカの種を毟ればあかい空洞 セーターの歌は百葉集にも載せていただきました。

    • 塔2024年3月号掲載歌(新樹集・若葉集)

      塔2024年3月号(若葉集 岡部史選・新樹集 吉川宏志選) きさらぎの白い海鳴りやどかりはふたりでおなじ家に住めない バスロマンをいれないかたいお湯どうか今日のわたしを透明にして クリームをたっぷり掬ふ 左手をあなたととりかへる夢をみた 笑へないのに笑ふとき皮膚の下をゆっくり泳ぐさかな、ぎんいろ 発芽してみたかったかないくつものわたしが捨てたアボカドの種 わたしではないひとの手をとるひとにドードー鳥の絵文字を送る 内臓のいちばんちかく似たやらなくちびるの色ばかり購ふ とて

      • 第二十五回NHK全国短歌大会

        第二十五回 NHK全国短歌大会 吉川宏志選・山崎聡子選 秀作 大森静佳選・永田和宏選 佳作 本当は斧をおろしてみたかつたあなたのなかの凍るみづうみ 山崎聡子選 佳作 喪失をそつとほろびと言ひ換へて死の手ざはりをなめらかにする 大きな励ましをいただきました。 ありがとうございました。

        • 塔 2024.2 掲載歌

          丁寧に脂をのぞくどこまでがとりにくなのかわからなくなる ぴつたりの仕事などないパンプスに外反母趾を押し込んでゐる 靴に合ふかたちの足にする手術わたしはいつもゆるされる側 踝のかたちを知つたまたすこしあなたを帰したくなくなつた ひとりづつ生きていかうねわたしたち靴下だつたことは忘れて 夕焼けの洩れだす場所はひとりでも辿ればたどりつけるだらうか 選者の梶原さい子先生、ありがとうございました。

        塔2024年5月号 掲載歌