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【映画評】ジョン・アーヴィン監督『ロビン・フッド』(Robin Hood, 1991)

 アウトロー宣告されたサクソン人貴族ロバート・ホード(パトリック・バーギン)は、ロビン・フッドを名乗り仲間と共にノルマン人貴族に立向う。S・A・ノーレンは、本作が歴史家J・C・ホルトの助言を容れ、抑えた色調でリアルな中世描写を行っていると絶賛する。
 だが、中世的リアリティをその身に託されたバーギン=ロビンは、ダグラス・フェアバンクスやエロール・フリンら往年のロビンに比してどこか垢抜けない。茶色を基調とする衣装も、本来、新緑の象徴であるはずのロビンから若さを奪っている――ユマ・サーマンのマリアンは元気だ。地味に過ぎたのかどうか、本作は米ではTV映画に格下げになった。
 ホルトが助言してるだけあって、終盤のロビンとマリアンの婚姻シーン(上図)は明らかに五月祭として描かれていて、それまで作品に立ち込めていた霧が朝日が昇ると共にそこで晴れるというような演出がなされてはいる。いつのまにかロビンの衣装も緑色になるのだが、遅きに失している感がある。

〈引用文献〉Nollen, Scott Allen, Robin Hood: A Cinematic History of the English Outlaw and His Scottish Counterparts, North Carolina: McFarland, 1999. 

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