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ベテルギウスの夜に:見なし公務員

ベテルギウスの夜に:見なし公務員


《御神籤の御宣託は、凶だった。引き直しても凶で、おまけにどちらも女難の相が有ると・・・》

この作品は、『ジョーカー』の続きです。

 朝、今度の朝食は、フレンチトーストにした。
全卵1個ミルク250CC砂糖大匙1杯の卵液に食パンを
浸し軽く水気を取ってバターで焼いた。
余った卵液は猫達のオヤツに成った。

 ラジオが伝えた。

 「フランスから報道に依ると、パリ郊外の原発が、
メルトダウンを起こしパリ市民に避難命令が出て居るとの事
です」

NKN3人組別働隊ブッシュド・ノエルの めぐたん
にフレンチトーストにパリ避難命令かフランスが続くなと
思って居たら、シトロエンツーシボーで
めぐたん にお迎えが来た。
JBC制作の職員だと言うので身分証を確認した。
本物らしい物を持っていた。男の興味は、電装品のまるで
付いて無い。
まんまクラッシックカーの2CVに有った。

 「ツーシボー二馬力だね。凄い物で来ましたね」

特に男は、車マニュアで無いが、クラッシック-に分類され
る車で現れたのだテンションが上がる!

 「ジェネレータの修理だけで動く様に成ったのでJBC
近くのエンスーの人が貸して下さったのですよ。
ワイパーや方向指示器は、手動なので今回は役に立ちました

 「樫木さん、天気予報をおねがいします。
午後の打ち合わせに間に合う様に伺いました。
宿舎は局の近くに用意して有りますのでご安心下さい」

 「ののこ は」

ののこ が聞いた。

 「NKNの野比野々子さんですね。
野比さんは事務所の方から、待機して下さいとの事です。
それに、この車では、二人を都内までお連れする事は無理
です。
保護者の方、野比さんを宜しく、お願いします」

 「ののこ 、家に帰れるように頼んで見るからね」

 「都区内も、普通の地区では停電中ですので、ここと
変わり有りませんよ」

JBCの職員は言った。男は複雑な気持ちで
めぐたん を見送った。ののこ と二人きりか、めぐたん
と違い思い入れは元々ののこ には無いが、NKN64の
一人ドジッコアイドルと言われていても可愛い。
大人しく保護者のままでいられるだろうか、でも ののこ
と特別な関係に成ったら、めぐたん が恐ろしい。
でもここで別れた めぐたん とエッチ出来る保証は無い。
アイドルと出来る可能性が有るのは、 ののこ だけだ。
男は、めぐたん とキスを交わした事で更にその上を期待し
ている。
でも、めぐたんは恐ろしいと言うし、バレたら、めぐたん
とは、永久に出来無い。
男は、彼女に猫の世話として餌と水の与え方と猫トイレの
掃除の仕方を教え、無理しない程度に家事をお願いして
生活費1万円と鍵を渡した。男も仕事に出様とした。

 「そうだ。何時に帰るか分から無いので遅く成ったら、
食事を済ませて下さい」

 「新婚見たい」

彼女が、はしゃいで言った。男は、更らに言った。

 「そうだ。冷蔵庫にホワイトボード掛けたから買い物や
外出する時は、書いてから外出してね」

 「心配性なんだ」

彼女が言った。男はさらに、

 「それから買い物したらレシートか、領収書を取って下さ
い」

 「細かーい」

彼女が不機嫌そうに言った。

 「暫く生活するんだから、我慢して、事務所に手紙を出し
て迎えに来るようにプレッシャーを掛けて、
あ、手紙は着払いでね」

男は仕事に出た。国家人事局の指示と言うと召集だなと思っ
た。
少し怖かった。男が指示された会社に行くと同じく召集され
た五十前後の田中正一同じく佐藤健がいた。
三人の共通点は、高校三年の時、今から、30年以上前の
事で有る。
国家公務員初級に受かったが希望する官庁に採用され無かっ
た。
寧ろ、勤める気が無く大学に進学した連中で民間の会社を
リストラされた様でした。
民間でのスキルは、回路設計・生産技術・プログラマーと
言った所です。佐藤が言った。

 「ハローワークで探しても中々採用され無い。
ベテルギウス様々だよ」

男が言った。

 「でも俺達に職業選択の自由は無い見たいだ」

上司の高橋裕次が言った。三十代の例の若手官僚と同じ世代
だ所謂、ゆとり世代の直前だ、そつが無い面構えだ。

 「皆様お集まり戴きまして有難う御座います。
さて、皆様方は、見なし公務員として若手修理作業員の
指導に努めて貰います。何か質問は」

田中
 「見なし公務員とは」

上司
 「この時点で人事局から採用される方は見なし公務員と
され今回の大災害対策に当たって貰います。
公務員扱いですから、責任が、発生する事に気を付けて下さ
い」

男は、政府に組み込まれたかと思いながら、

 「何の指導を行うのですか」

上司
 「電子機器の修理です。主に産業用の通信機か制御系見た
いです。
実物と図面は、明日、届くのでその時検討して下さい」

佐藤は、
 「若手というのは、どういった人達ですか」

上司は言った。
 「これから集めるんのですが、
いわゆるヤンキー不良少女達に成ると思います」

佐藤
 「何でそんなヤンキー達なんですか」

上司
 「職業斡旋する方も色々大変らしくて」

田中
 「何で我々が選ばれたんですか」

上司
 「貴男方の世代の技術者を捜すと偉いさんに成っていて、
貴男方に白羽の矢が立ったと言う事です」

オフィスと作業所を案内され、机と手動の製図道具一式を
与えられた。
この日は、説明だけだった。
明日、9時始業の18時終わりで昼休み1時間と言う決まり
だ。

登場人物

田中が言った。
 「俺、親父狩りに遭ってヤンキー大嫌いなんだ」

男も言った。
 「俺もヤンキー嫌い」

佐藤も
 「俺も」

男は言った。
 「では明日」

 男が仕事の説明を受けている同じ時刻、めぐたん は、
中野区辺りを走っていた。

 「小父さんがツーシボーだ凄いと言っていたけど
クラッシックカーなの何が凄いの」

彼女は、輪タクにも抜かれる遅い車に苛立ち言った。
シトロエンがフランスのメーカだとは知っていた。

 「ツーシボーとは、フランス語で二馬力の意味です。
ファミリーカーでも百馬力以上の時代ですからね。
最も本当に二馬力じゃ無く、それ以上有りますが、
なんと言っても非力ですから、それに私達が遅いので無く
輪タクが、速いと思われます。自転車も進化してますから」

 「遅いのは、分かった。でも、何で凄いの」

 「クラッシックカーとまでか無いけど
ビンテージカーで我々エンスー初心者に取って何とか手に
入れられる車なんだ」

 「エンスーて車オタクの事」

 「エンスージアスト、エンスーと呼んで欲しいな高級な
趣味なんだけどな」

彼も三十代。エンスーから借りたのでは無く彼がエンスー
だった。
どうも各界の三十代から四十周しじゅうまわりが有事
に備えて準備していた見たいだ。
ソーシャルネットワーク時代のスマートなクーデターと言う
べき何でしょう。
横に連結し縦の上司を一斉に口説いたのでしょうね。
政治家の秘書や官僚・有力企業の中間管理職クラスが、
動いたのでツーシボー等今度の災害に備えての物でしょう
ね。彼女が言った。

 「オタクて悪い意味だと思っている。私達は、オタクの為
のアイドル。私自身もアイドルオタク何だから。
早々、私、身支度出来無いじゃ無い。リハーサルに間に合わ
ないじゃ無い」

彼が答えた。

 「樫木さんの出番は、明日、昼の天気予報と生活情報に成
ります。
お昼は、めぐたん の天気予報が聞きたいとの声が多数届い
ていますので、ちなみに今晩、最終は梅本あゆ美、朝は、
高岡あやと成ります」

 「ありがとう御座いました」

彼女は、説明への礼を言うと、これで少しは、真ともな
生活が出来ると思ったが。

 「食事は、まだ非常食に毛が生えたような物です。
シャワーも決められた時間にしか使用出来ませんので注意
して下さい」

彼の話に落胆した。でもシャワーが、使える嬉しい。
宿舎のホテルに入り確認し、打ち合わせに向かった。

 男は、仕事の説明だけだったのでチョコレートを
お土産に買って午後3時前に帰った。
スーパーが通常通り営業していたからか、全ての商品に対し
て買い溜めが発生せず、チョコレート等菓子も買えた。
ののこ は出かけていた。ホワイトボードには、外出とだけ
書いて有った。書いて有るだけ、ましかと思った。
暫くして、ののこ が帰って来た。

 「ただいま、猫ちゃん達」

 「お帰り」

 「帰っていたんだ」

 「仕事の説明だけで早く終わったんだ」

 「お土産にチョコレート買って来たけど晩ご飯の後で食べ
ようか、晩ご飯何にする」

 「まだ決めて無い」

主婦には、まだまだ早いなと男は思い。言った。

 「カレーライスで良い」

 「えー、レトルト」

 「時間が有るから煮込もう。手伝ってね」

玉葱を炒めている間ジャガイモの皮を剥いて貰った。
器用に剥いている単品の作業は合格かな。
肉の代用に厚切りハムを用いた。カセットコンロ一組なので
カレーが冷める間、魔法鍋で炊飯した。
カレー鍋が冷めると一晩寝かせた効果が出るのだ。
魔法鍋の断熱調理時間の間、冷やした。そしてカレー鍋を
再加熱して終了。一晩寝かせる効果とは、加熱した鍋に溶け
ているジャガイモ澱粉が糊化し全体に瀞みが付く、
肉や野菜から出た旨みやカレースパイス等の調味料の味が、
舌に絡み付く様に成る為と言った所が原理で有る。
カレーを食べながら男は言った。

 「 ののこ ちゃんホワイトボードに書いてくれていて有難
う」

 「ええ」

 「後、これに何時に帰るとか、どこへ行ったか書いて有る
と嬉しいんだがね」

男は、正しい叱り方の様な本の内容を思い出して実践して見
た。
最初に褒めて要点だけ注意する方法だ。ヤンキー娘の練習に
ののこ を利用したのだ。彼女は素直に言った。

 「分かりました」

ヤンキー娘に通じるかどうかは分から無い。

 「ののこ ちゃん、なにして過ごしていたの」

彼女は言った。

 「買い物をして。東村山の辺りを散歩していたの。
畑が多いね」

 「ここ、トトロの舞台だよ。田舎だよ」

 「えーそうなんだ」

 「『所沢のおばけ』が元の名前らしいんだ」

男はトトロのレーザディスクに付いていた説明を見せて
言った。

 「作中に出て来る九国山きゅうこくやまの元が、
所沢と東村山の境の八国山はちこくやまらしいんだ」

彼女は言った。

 「トトロについて書いてある説明ばんなんて
見当たら無かったよ」

 「芸能人なら分かるでしょう。大人の事情ですよ」

 「ところで商店街のお店少無いね」

 「西武線だけで東村山・秋津・久米川・八坂・萩山・
西武園・西武遊園地駅と七駅も有り駅前商店街が、分散して
いるし、府中街道沿いにロード店が集中している所が有る
からなんだと思うよ」

男は、地図を広げ説明した。

 「明日、行って見る。地図貸してね」

 「無くさない様にね」

男は、出来るだけ、彼女に喋らそうとした。
女性のお喋りを無視すると後で非道い目に遭うし、
これもヤンキー娘への練習で有る。

 「他に何か有った」

男はさらに聞いた。

 「猫ちゃん非道いんだから、特にあの灰色の毛で手足の
先と首からお腹にかけて白い仔。
噛み付くんだから、痛いの非道いんだからー」

ちょうど件の猫が煩く鳴いて現れた。

 「この仔、甘えて居るんだよ。君が気に入ったんだよ。
噛み付いたけど怪我は無いよね」

 「ギリギリまで噛むのよ、それに引っ掻くのよ、傷が出来
ちゃう」

 「可哀想、救急箱の在処知っているよね。
でも、猫ちゃんたち人間も毛皮だと思っている見たいだから
爪を引っ込め無いよ」

男は、猫の鼻先に猫じゃらし見たいに指をひらつかせた。
猫は、爪を出した状態で彼の指を前足で追いかけた。
男は、傷だらけの手を見せながら言ったのだ。
そして、猫の首根っこを掴み持ち上げて言い指指した。

 「この仔、男の子だよ。きみに甘えていると思うよ」

食事が終わり、二人で食器を片付けた。
食器洗浄乾燥機を食器乾燥棚として使用している。二人なら
十分だ。彼女も思った以上に家事を熟している。
男は、郵便受けを見に行った。めぐたん から ののこ と
男に手紙が届いていた。
めぐたん も筆豆だが、2時間も掛からずに届いた見たい
だ。検閲された方が早いのかと思った。

 「 めぐたん の天気予報は、お昼なんだ」

その内容と ののこ が待機状態のままだと言う話まで同じで
男には、浮気封じを ののこ には、男を監視する様にと書い
て有った。
勿論、めぐたん悋気からだが、 ののこ にも手を出しては、
酷いぞとの脅しで有る。
男と ののこ は、 めぐたん に返事を出す事にした。
新しい仕事の話、特にヤンキー娘の件は、不安で仕方が無い
と書いた。
出だしは、ののこ ちゃんが家事をちゃんと熟していると書
いた。第一検閲者は、ののこ なので機嫌を取る為にも彼女
の事は、悪くは書け無い。

 「どうせ検閲されるんだから見るね」

ののこ は、思った通り男の書いた物を読んだ。

 「ヤンキー娘を指導するなんて。小父さんビビリでしょ」

 「バレた、怖いんだよマジで」

 「怖くない、おまじないをしてあげる」

ののこ は、男のおでこにキスをした。男は、慌てて言っ
た。

 「 めぐたん が怖く無かった」

ののこ は、

 「おでこなら大丈夫。口以上だと絶対駄目だけど」

 「口以上てどうするの」

 「イャン、判るでしょ」

男は、ののこ が、ああ言ったが、これで彼女を口説いても
良い気がした。

 「そうだ眠る前の暇つぶしにシンデレラのその後の話を
して上げ様」

ののこ は余り興味無さそうに言った。

 「王子様と何時までも仕合わせに暮らしましたでしょう」

 「子供向きの童話ではね。でも、もう少し続きが有るんだ

 「ある日、王様これは、王子様の事だよ。
別の城の舞踏会で美しい女の人を見かけ、すっかり好きに
成ってしまいました」

ののこ が言った。

 「ヤダー、シンデレラが可哀想」

男が透かさず。

 「だってシンデレラをあれだけ執様に探した助平が、
結婚したとたん大人しく成る訳が無いじゃ無い」

男は、続きを話した。

 「森の中に館を女の人の為に建てました。
女の人は、身の回りの品を持ってその館に入りました。
身の回りの品の中に鏡が有りました。女の人は
『鏡よ鏡よ鏡さんこの国で一番美しい人は誰。』
お后様ですが、もう直ぐしたら、女の子を産んで死にます。
鏡は正直に答えるのでした」

ののこ が言った。

 「いつのまに白雪姫の話に成っている」

 「そうだよ繋ぎの部分の話だよ。長い話を二つに分ける
時に消えた話さ。
それに白雪姫の実の母親がシンデレラなら、白雪姫が美しい
娘で有るのは納得出来るよね」

男は彼女にシンデレラの王子様でさえ、
浮気する事を印象付け様とした。

シンデレラ⇒白雪姫

めぐたん に対して正当化する為で有る。
 ラジオから天気予報が始まった。梅本あゆ美だ、
めぐたん からの手紙の通りだ。

 「穏やかな冬日でしょう。続いて生活情報、自衛隊の
入浴施設が所沢で設営・・・」

男は言った。

 「隣まで風呂が来たか、東村山はまだか東京は、人口が
多いからな」

ののこ が言った。

 「お風呂入りたーい。そうだ。めぐたん にこの近くまで
来て呉れる様に言って貰らおう」

 「オイオイ、めぐたん に迷惑だろう。
仮に遣ったとしたらアイテは、独裁政権だぞ。
どんな事に成るか分からないぞ」

男は、たしなめたつもりだったが、彼女は、
めぐたん に お風呂のお願いを手紙に書いている。
何と言っても隣の市まで来ているのだ。どうにかしたい。
男も一寸期待した。明日は朝から、仕事が有るからと男は、
猫炬燵へ消えた。
  ののこ は、手紙を書き終わるとベッドメーキングしたが
眠れ無いので昨夜 めぐたん と見ていたサティスファクショ
ンを手に取り読んだ。
エッチには、興味津々な年頃です。
めぐたん とふざけながら、こんな風に嘗められたら意識が
飛ぶぐらい気持ち良いって本当かなーと思った。
サティスファクション直訳したら《満足》で有る。
セックスする時は、女性を満足させなさいと説く啓蒙書で
有る。
二人共レズビアンでは無いプロモーションビデオのNKN
同士のキスも抵抗が有った見たいだ。試す事も出来無いので
悶々としながら、ふざけ有って過ごしたらしい。
ののこ は一人で今夜は、悶々と過ごす事に成る。
朝、男は昨晩のカレーに麺汁を加えカレー饂飩にした。

 「またカレー」

ののこ が嫌そうに言った。男が、そう言わず食べて
ごらんとうながすと。

 「美味しい」

と答えた。男は、料理は旨いのだ。
ラジオから天気予報と生活情報で風呂の件は、矢張り、
所沢止まりだった。
仕事に出かける時、ののこ は、おまじないのキスをした。
これでヤンキー娘には対抗出来る。
男は郵便局に寄り手紙を出し仕事先に着いた。
 男はオフィスのホワイトボード行き先板の自分の名前の所
に《出》のマグネットを置いた。
やたらIDカードで認証するシステムやタイムカードは嫌い
だったので手動式の方が好ましい。
暫くすると同僚の佐藤と田中が来た。
定時に上司の高橋が出勤簿を持って来て判を押した。
ここは、うつとおしいか。

 「お早う御座います。本日、10時頃に修理依頼品が届き
ますので宜しくお願いします。
尚、女子職員の面接を13時から予定しています。
何か質問は」

男が質問した。

 「彼女達を直ぐに働かせる予定ですか」

上司は答えた。

 「あなた方の修理マニュアルが整って作業可能に成って
からです。急いでお願いします」

男が質問した。

 「彼女達の中にイラストとかが、得意な人が居れば
マニュアル要員にスカウトしたいんですが可能でしょうか」

上司は答えた。

 「OKです。面接の時にお願いします」

10時前に品物は届いた。
物流は、ちゃんと動いている見たいだ。
届いた荷物は、同種の電子基板を詰め込んでいた。

電子基板梱包
DIP・LSI

佐藤が言った。

 「非道いな。基板の自重で下の方が壊れているじゃ無い。
梱包の仕方も知らない奴が遣ったな」

基板は雑に扱われていた。田中が言った。

 「取りあえず。問題点を記録しておこう。
問題をこっちの所為にされては、堪らんからな」

田中は、意外と几帳面だ。
図面の会社名は聞いた事の有る様な無い様な社名だった。
恐らく吸収合併の結果だろう。
かなり古い物らしく裏表二層板でプリントの線が太く、
アナログ、デジタル混在の回路で表面実装のLSIでは、
無くDIPのICとトランジスタ・ダイオードで作って有る。因みにDIPとは8本脚以上の脚をプラスチックや
セラミックのパッケージングして有る容器から出して居る
素子で脚の数が数十本を超える物は、良くゲジゲジと呼称
されたLSI《大規模集積回路ラージ・スケール・
インテグレート》でDはdualで向かい合うIがinline一列で
向かい合う一列の脚を持つPでパッケージを示す電子部品で
有り、プリント基板にスルーホールと呼ばれる孔に差し込み
半田付けを基板の裏に施す事で使用する。
今でも良く使われている素子で有る。
インテグレート集積回路は、ICと通常呼んでいる電子回路
でIがインテグレートCがサーキット回路を表します。
昨今話題に上がるIRは、インテグレート・リゾートで
複合歓楽でカジノや商店等を集積した意味です。
LSIのLとSはラージスケール詰まり、大規模、
噛み砕くと『非常に多くの』を意味します。
コンピュターの心臓部CPUや半導体メモリーチップは、
これに相当します。
佐藤が言った。

 「でかいトランジスタと放熱器だ。
パワーコントロール用の基板だな」

図面には書いて無いけど何処かの古い工場の生産設備だと
三人は思った。
男が言った。

 「とりあえず、部品を取り外す。部品を検査する。
足りない部品を調達する。
部品を取り付けるの四つのマニュアルを作成しましょうか」

佐藤が言った。

 「後一つ、基板の配線の検査とその修理は、
独立したマニュアルの方が良いんじゃ無いかな」

佐藤は、細かいことに気付く。相談が纏まった所で丁度、
お昼になった。
男は行き先板に《外》のマグネットを付けて近くのコンビニ
に入った。パンと牛乳を買った。
まだ、弁当やサラダの販売は、して無い。オフィスの行き
先板を《出》に戻すと食事を取った。
丁度ラジオからニュースが報じられていた。

 「ISS国際宇宙ステーションと連絡が取れて全員無事だ
そうです。
ISSはスーパノバ時に地球から見てベテルギウスと反対の
所に居たのと元々シールドがシッカリしている機体だったの
で外部のアンテナを船外活動で修理するだけでした。
地球の夜は、その日以後、真っ黒で雷以外、
光る物が見あたら無いとの報告です」

男は、良かったと思った。続いて、めぐたん の天気予報・
生活情報が始まった。なんと東村山それも男の直ぐ近くの
小学校に自衛隊が風呂を設営するとの事。
嬉しいけど めぐたん の身に何も無ければと少し心配した。
実際問題に成るのだけれどその話は、後で重要な話の転換が
起こりますので注視願います。

御神籤

男は、初詣で引いた御神籤おみくじが、凶で女難有りと出ていた。
男は引き直して見たが同じく女難と有った。流石に3回目は
引か無かった。めぐたん とデートが出来るのに女難の訳は
無いだろうと思っていたが、ヤンキー娘の件を聞いてこれが
女難かと覚悟を決めて彼女達の面接に向かった。
彼女達の居る控え室を覗くと心無しかメイクの濃く思えるが
主婦見たいな人が多い。中にはゴスロリ姫、
ゴシックロリータ姫と言うのか白塗りで振り振り衣装の娘も
居たが、凶悪な女子プロレスの悪役見たいな人は居無かっ
た。
上司が男達をからかったんだなと思った。
主婦達は、夫が、交通が麻痺しているため帰って来られない
か、自宅待機を命ぜられて家事を夫がしているので働きに出
たらしい。
実際には主婦の夫達の様に男性会社員は、通常の仕事は無く
成り待機しているのが現実だった。
国家人事局も企業グループ内部での人材の斡旋や配置転換を
要請するしか無い見たいだ。
企業に所属し無い男達や主婦達が、国家の緊急対策に当たる
訳だ。
ゴスロリ姫は、何と無く応募したらしい。イラストが得意な
人を募集したらドラエモンに出て来るジャイ子見たいな娘と
ゴスロリ姫だった。
半田付け作業等をするので爪を短くする様求めたら、何人か
止めた。
ゴスロリ姫も凄い爪をしていたがイラスト要員なので問題無
しとした。
作業班には、準備が整うまで自宅で待機して貰って今日は、
帰って貰らった。イラスト班の為にオフィスに机を用意して
彼女達二人を交えて作業マニュアルの作成を始めた。

鉛に対する注意点

田中が言った。

 「手洗いの話から説明し無いと駄目でしょうね。
古い基板だから半田には鉛が入っている。
作業終わりや昼食前は、当然だが、トイレ休憩の前も手を
石鹸で洗う必要が有る☆注意☆事を指示する必要が有るね」

ジャイ子が言った。

 「そんな面倒な事をするんですか」

田中が言った。

 「鉛は毒だから注意しないと。じゃ、君、手洗いの必要と
何時必要か、イラスト付き説明を頼むよ。
そうだ、爪の間はブラシで擦り洗いする事を忘れずに」

ジャイ子、正しくは、松島アイに依頼した。
ゴスロリ姫は片山桜と言う☆らしい。男が言った。

 「部品の外し方を一通り遣って見よう」

しかし、時計を見て。

 「御免、もう時間だ。明日は、朝から来て下さいね」

彼女達の出勤管理は男がする事に成った。
男達三人は、必要な道具が揃っているか調べた。
焼きごてか、火をおこす物が欲しい。一斗缶と炭が有る。
これでどうにかしろと言う事か。
彼らは、一斗缶にたがねで空気穴を開け炭を入れて
ライターで火を熾した。良く燃えた事を確認し、
火を消す段で少し慌てた。
炭壺が無い、燃やし尽くしたら炭が、勿体無い。
まだ空気穴を開けて無い一斗缶に移し替え、外に持って行き
地面を掘り缶に土を掛け炭を埋めた。
不足品リストに炭壺と記述した。
明かりはランプなので油の節約の為、残業は出来無い。

火起こしと消火

男達は行き先板のマグネットを《帰》にして帰った。
帰ると ののこ は、出掛けていたホワイトボードには、
『お風呂の順番取って来る?』と有った。暫くすると帰って
来た。
彼女が言った。

 「一杯並んでいて11時入浴だって」

男の整理券も取って来ていた。しっかりしていると思った。

 「夜遅く成るから、温かい鍋にするね。鍋の締めは、
うどんにする、雑炊にする」

 「雑炊が良い」

彼女はルンルンで答えた。お風呂が嬉しい見たいだ。
 一方、めぐたん が勝手に風呂の設置箇所を増やした事は
問題に成っていた。
なんとか手配して設置出来たので政府の信用は保たれたが、
めぐたん をどう扱うか、旧来の政府組織なら首にする所だ
が、実際に運営しているのは例の三十代です。
オマケに めぐたん は人気が高い。
責任のある地位に☆就いて無いから自覚が足り無いんだと
成り。

 「樫木愛、正四位、政府報道官に任命する」

勿論、彼女だけで無くラジオでニュースや生活情報を報じて
いるキャスターお天気娘に官位が与えられた。
彼女には政府に意見する権利も与えられた。彼女には、
投書むしろ陳情書が寄せられていた。
これらの束を武器にして恐ろしく活躍する事に成る。
予告し様。これこそが、男に取って女難の始ま☆りなのだ
彼女が偉く成った事が恐ろしい女難を招くのだ。

お風呂事件

 男は雑炊用にご飯を炊いた。
人参とジャガイモを薄切りにし下茹でした。
ウインナーソーセージと白菜それに下茹でした野菜で鍋に
した。
お風呂まで時間が有るので一寸、大人の童話をした。

 「お后候補の三姉妹の許に王子の乳母が調べに来ました。
三人に上の口と下の口どっちが、年上だと聞きました。
一番上の姉は上の口です。だって王子様のキスを待っている
からと言いました。真ん中の娘は下の口です。だって髭が
生えて居るからと言いました」

ののこ が途中で割り込んで言った。

 「その話、知っている。三番目の妹は、ミルクを欲しがる
から下の口が、幼いと言うのでしょう。イヤラシイ」

 「 ののこ ちゃんの下の口はミルク欲しがって無いの」

男が聞くと

 「イャ」

と顔を赤らめて答えた。
性の知識は有るが、まだまだ初心だ。でも生娘とは年齢から
考えられ無いと思った。
彼女を可愛いと思い始めている男がいた!
男は、からかい終わると言った。

 「有難う。おまじないのキス利いたよ。
ヤンキー娘では無く普通の主婦だった。ほっとしたよ」

 「どういたしまして、マジカル ののこ よ」

戯けて彼女が言った。男が聞いた。

 「今日は何をしていたの」

 「お掃除とお風呂のために並んでいたの、
3時間並んでいたんだから」

 「大変だったね」

 「カイロ貰らっちゃった」

自衛隊はカイロも配るのか男は感心した。

 「 めぐたん にお礼しなくちゃ。たぶん彼女の力だよ」

お風呂から帰ったら手紙を書こうと二人は決めた。
まだ時間が有ったのでチェッカーを一局した。
彼女が勝った。マジカル ののこ にはかなわ無い。
風呂の設営してある小学校まで5分も掛から無かった。
流石NKN64、トップアイドルだ、か可愛い。
湯上りは特別だ。男が言った。

 「今回は、大丈夫かな。
十二月のカンガルー・・僕の中に・・・・湯冷めすると
風邪引くよ。
前は、 めぐたん に保護者でしょうと邪魔されたけど保護者
だから君に風邪を引いて貰っては困る」

 「そうね。これぐらいなら、大丈夫ね・・・暖かい」

暖かい、彼女の湯上りの体温が伝わった。
彼女は、皮のコートを脱ぎトレーナー姿で男の
トレンチコートに潜り込んだ。
彼女は、『十二月のカンガルー』を歌いながら男の家まで
帰った。流石に64グループの曲だ。
しかも詩の中のシチュエションなのだ男も口ずさんだ。
湯上がりの ののこ は色っぽかった。
シャンプーの良い匂いがした。柔らかい肌の暖かい体温が
伝わり、肉棒が起立している。
コートの中で密着しているので彼女に感づかれているだろう
が、ジーパンが間に有る。気にし無い事にした。男は、
めぐたん に礼状を書きながら欲望を抑えるのに苦労した。
ともかく男は、猫炬燵にさっと消えた。
これ以上彼女を見ると抑えが利か無い。

カンガルー・湯上り

《次は『めぐたん 布告令』
目次は、『ベテルギウスの夜にプロローグ』にリンクを
張っています!
関連して『ベテルギウスの夜に解説』で特殊な語句を
解説しています!

文末

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