やっと会えた!
#創作絵本ストーリー
今日ぼくは生まれた。
大好きなお父さんとお母さんのもとに。
やっと会えたよ。
この世界に生まれて来れたんだ。
ぼくは、本当はもっと早く生まれたかったんだ。
でもね、
天使さんが言ったんだ。
『きみは、まだ生まれるには、早かったんだ。もう少しここで、天国でお勉強してからにしよう』
って言ったんだ。
ぼくはなんでなの?ってよく分からなかったんだ。
どうしてもっと早く生まれられないの?
天使さんがね、言ったんだ。
『きみは、周りのみんなを笑顔にできる。幸せにできるはずだから、だから、ここから、天国から下の世界をもう少し見て勉強してごらん。』って。
それから、ぼくは天使さんと一緒に下の世界を見るようになった。
下の世界は色んな人がいる。
一生懸命に働いて家に帰るとあったかい家族がいて、みんな笑顔でご飯を食べてお風呂に入って。
楽しそうな人。
こっちは、1人の人。
暗い部屋に帰って、誰とも話すこともなくて自分であかりをつけて、自分で部屋をあたためてる。
でも、好きな本を読んだりテレビをみたり、誰かに電話したり。
1人でも楽しんでる。
でも、下の世界はみんながそうじゃなかったな。
みんなが笑顔ばかりじゃなかった。
大切な家族、大切な人を亡くした人。
ペットを亡くした人。
つらい目にあって苦しんでる人。
自分がつらくて苦しくて、それをだれかにぶつけてる人。
そして、その苦しさや、つらさをぶつけられて苦しんでる人。
自分のことがきらいで、きらいで、苦しんでる人。
病気で苦しんでる人。それをささえてる人。
それでも、みんな生きてる。
みんなふんばってるんだ。
ぼくはね、天国から下の世界を見て思ったんだ。
生きることがどれだけすごいことか。
どれだけ大変なことか。
それでも、みんな生きてるんだ。
生きるしかないんだって言ってる人もいる。
生きてる意味が分からないって悩んでる人もいる。
それでも、それでも、みんな生きてる。
そのことがどれだけすごいことなんだろうって思う。
みんな、すごいよ。
すごいことやってるんだよ。
天使さんが
『生きることがどれだけ大変なことか。自分たちがどれだけすごいことをしているのか、そのことに気づかないで生きてる人もいるんだよ。君は、何かを感じて生まれていくんだ。
そして1人でも多くの人を笑顔にするんだよ。』
そう言って、ぼくの手を引いて真っ暗な中に連れて行った。
そこは、暗くてもとても安心できるところ。
温かくて、おだやかで、
お母さん、お母さんのお腹の中!
ぼくはすぐに分かったよ!
そして、ぼくは産まれた!
お父さん、お母さん、やっと会えたね!
ぼくは、お父さんとお母さんを笑顔にするために来たんだ!
そして、いつかぼくはたくさんの人を笑顔にできる人になるんだ。
天使さんと一緒に見た、この世界。
ぼくは忘れない。
やっと会えた!お父さん、お母さん
これから、よろしくね!
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