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プレイバック2023Ⅱ

 第二回目となる今回は、学生時代からの夢だった映画の世界に踏み込んだ話。
 紹介する作品は、『Single8』という映画。この作品の情報を知ったのは、2022年の秋。平成ウルトラマン・シリーズでお馴染みの小中和哉監督による再新作映画にして、8ミリ自主映画に青春を捧げた学生たちの話という内容に心惹かれた。近年話題のクラウドファンディングで上映支援を行われていた。中でも、サポーターとして参加すればHPやENDクレジットに名前が記載されるコースがあった。映画の世界で仕事をしたくも、夢破れた身としては思いがけないチャンス。しかも、子供の頃から観て親しみ、映画業界に進んだら下で就きたいと思っていた小中監督の作品。すぐさま、なけなしの大金を叩いて夢に投資した。人生初の投資。良い使い方。応援メッセージには、自分のこれまでの思いをぶつけた。後日、クラウドファンディングのサポートとして採用された通知が着た。とても嬉しかった。
 公開に向けて、徐々に情報が解禁されていく。HPに、サポーターとして名前が掲載された。しかも、あのオタク評論家の岡田斗司夫さんの隣。恐縮した。クラウドファンディング特典のメイキング円盤やチケット等が送られてきた。ただ一つ、問題が。果たして、大分県では上映されるのか。ミニシアター系で、全国順次公開作品となると公開されない事が多い。頻繁に、よく観に行く隣町のミニシアター館のサイトに目を通した。しばらくして、上映情報が出た。これまた嬉しかった。
 Twitterをやっているので、サポーターに選ばれた身として勝手に活動を行う事にした。スタッフや出演者、はたまた監督が自分のツイートを読んで反応をしてくれた。ネット社会となった今、こうやって関係者たちと繋がれる。ツイートでは、自主映画に関連した作品を載せた。中でも、『SUPER8』が、本作を作るきっかけとなった作品であった。
 2023年4月22日、大分県のシネマ5にて公開された。サポーターだけに、初日を観に行く。一週間上映の一日一回上映の貴重作。生憎、仕事の都合で出ないといけなくなり、ヘルプなので終わらせて映画館へ向かったハード・スケジュール。上映前、ギリギリに到着。到着するや否や、受付でサポート宣伝。
 「サポーターの〇と申します。この度は、上映していただきありがとうございます」
 パンフレットにも、名前が記載されていて早くも感動した。
 上映開始。冒頭から、『スター・ウォーズ』のオマージュ。思い返せば、高校の文化祭で、他の学科が同じ事をやっていた。畜生と思った。かつてウルトラマンネクサスに変身した川久保拓司さんが、主人公の担任。これが、良いキャラなんですよ。主人公たちも良いけど、大人たちも良い。「こういう大人、良いなぁ」って。自分の頃の先生も、こんな感じだったのもあって。何だかんだ生徒の背中を押してくれる。懐かしかった。文化祭の出し物で、自主映画を上映する主人公たち。実は、この日の為にあまり予告編やあらすじに触れていなかった。なので、余計心に刺さった。あの頃の自分を観ているようで、ツラくもあった。クラスの中に、こういう人居たなぁとか。嫌な奴居たなぁとか。劇中の様に、映画について語れる人が居なかった。居ても、それぞれ他校に散っている昔馴染み。元々本作は、監督の体験談で構成されている。なので、主人公も監督の学生時代が投影されている。登場人物も、今第一線で活躍する俳優やスタッフたちで彼らの個性を再現。元の人物を知っていると、余計面白い。自主映画を作ろうとして、これもダメになった学生時代。こんな青春を味わいたかった。もし、学生時代に本作を観ていたら勇気を貰ったに違いない。今の映画に憧れる学生たちに、観て貰いと思った。時代は違えども、映画に対する思いは同じ。自分も、好きな人をファインダー越しに観たかった。その好きな人に、ビデオレターを作った事がある。引っ越しで旅立つ彼女に。自分の時代は、8ミリビデオカメラなのでビデオ技術で編集した。まぁ、観て貰えていないだろうけど。なので、観ていて何度も感動で涙を流した。涙を流すと言えば、お待ちかねENDクレジット。スクリーンに映し出される自分の名前。しかも、一枚目の下から二番目の位置。俳優でなければ、スタッフでもない。クラファン・サポーターとして名前を残した。憧れた映画に、好きな監督の作品に。自主映画を作ろうと呼び掛けておいて約束を破ってしまった人たち、親、Tくん、Kちゃん、K、初恋のMさん。
 「夢を叶えたぞ~~~~~!」
 映画を観て楽しむには、主人公と共感出来るかどうかだと思っている。本作には、自分が居た。過去の自分の行いを供養が出来たと感じた。本作と出会って数われた。サポーターの役割が終わったが、作品に名前が永遠に残る。自分の夢見た野望が実現した。
 この作品が今度、湯布院映画祭で上映される事が決まった。しかも、小中監督が来るという。これは、行かなければ! そんな思いで、8月26日と27日に掛けて、一泊二日(24時間居ない)の湯布院旅をしてきました。といっても、別府に住んでいるので山を越えて隣の町への旅(笑)。
 会場入り口で撮影。さて、チケットを・・・と振り向いたら、すぐ目の前に子供の頃から推しの小中和哉監督が居るではないか(ウルトラマンシリーズでお馴染み)!
 そう!
 小中監督の『Single8』という映画を観に来た。というのも、クラウドファンディングのサポーターとして参加している。今回で、三度目の鑑賞。しかも、監督が来るというので奮発してやってきた。映画の道に憧れた少年時代。中でも、小中監督の作品に就きたいと思った。でも、家庭の事情やらで挫折。時流れて、このような機会が巡ってきた。これは、チャンス。なけなしの金を叩いて、夢へ投資(出資)。見事、エンドクレジットに名前が掲載。ついに、夢が叶った。映画に、自分の名前を刻めた。長かったこの道のり。しかも、小中監督作品。こんなに嬉しい事はない。Twitterでも、こちらで上映が決まるとバンバン勝手に宣伝した。クレジットに載せて貰った以上、やはり出来る限り応援しないといけない。すると、編集や出演者(ウルトラマンシリーズでお馴染み)の方々に目を付けて貰った。監督にも、気づいて貰った。そこから、Twitter越しに交流が始まった。今に至る。
 そして、目の前に監督が居る。
 話されていたので、敢えて後ほど機会があったら挨拶をしようとした。過去の経験上、焦ってヘマして後悔した事がある。遠目で、監督を見るばかり。会場で、パンフレットが販売されていた。残り僅からしい。見ると、自分が持っているのと違う。別表紙なので、購入。チケットを見せて、上映スペースへ入ろうとすると、足が止まった。監督に、一瞬の隙が出来た。
 今だ!
 某「小中監督ですよね」
 監督「はい。そうです」
 某「私、クラウドファンディングでサポーターをした〇です。Twitterでいつも宣伝している」
 監督「あ~! 今日は、ありがとうございます」
 某「こちらこそ、ありがとうございます。子供の頃から大好きな監督で、とても嬉しいです」
 監督「ありがとうございます」
 某「もし良かったら、サインいただけませんか?」
 監督「良いですよ」
 先程買ったパンフレットに、サインを書いて貰う。しかも、イラスト付き。最高のプレゼントだ。横から、監督の奥様が。
 奥様「もしかして、Twitterの〇さんですか?」
 某「はい! いつも勝手に宣伝をしてすみません」
 二人「いえいえ。大変助かります」  
 某「これからも応援していきます」
 監督「こちらこそ、宜しくお願いします」
 *覚えている限りの会話。
 凄い。緊張したにも関わらず、ヘマせず言えた。ただ、これでも時間の関係でだいぶ言い分を減らした。物足りなかった。仕事後でもあったので、バタバタ支度したのもあって、身なりが悪かった。ちゃんとしていれば、記念写真の一枚でも撮りたかった。
 そして、上映時間。一番後ろの席が空いていたので、そこに座る。映画館ではない市民ホールでの上映なので、位置的に悪くなかった。
 壇上には、小中監督、奥様、主役の上村侑さんが登壇。また、司会には助監督の小原直樹さん(ウルトラマンシリーズでお馴染み)が。皆写真を撮っていたので、自分も思わずパシャリ。
 上映開始🎦。
 終始、笑い声をも絶えなかった。普通なら、許せない。本作は、文化祭で映画を作る高校生の話(監督の実体験)。文化祭気分で観れた。
 そして、エンディング。周りに、言いたかった。「自分は、この映画に参加したんだぞ!」って。だが、エンディング後のクラウドファンディング・サポーター紹介がカットされて(スタッフが知らずに止めた)、ショックだった。
 続いて、会場を移動してシンポジウム。移動中、前で同じく移動する小中監督たちがエレベーターに乗る。自分も乗ろうとしたが、次ので向かった。偶然だったが、敢えて一緒に乗らなかった。おこがましく思わられたらいけないので。
 シンポジウム、意外と人が多かった。座る席も、探すの大変だった。トークショーを交えながら、感想や意見、質疑応答会だった。激しく白熱する質疑。タジタジな応答。負けないで、監督。年配の映画マニアの辛口コメント。逆に、若者のコメントの方が等身大。若者にはウケていた。確かにいた事があるのは分かる。考えて、ものを言って欲しいと思った。好きな監督への質問なり感想というチャンスなのに、人見知りの自分は、出来なかった。昔からの悪い癖。席も一番後ろの気づかれにくい場所だったのもある。そういう人たちが居るのもあって、控えた。
 1時間15分くらいのシンポジウムが終了。司会の小原助監督にサインを貰いたかった。助監督に声を掛けて―。
 某「あの~小原監督、サイン貰っても良いですか?」
 助監督「え! 俺なんかで良いの?」
 某「勿論。平成のウルトラセブンやウルトラマンメビウスで名前を拝見していました」
 助監督「ありがとうございます」
 某「昔、インタビューで読んだのですが。昔、この映画祭に参加、ボランティアをしていたと書いていたのを読んだ事があります」
 助監督「え?」
 某「あれ、確か監督ですよね」
 助監督「そうそう」
 平成ウルトラセブンのインタビュー記事で読んだ。当時小学六年生だったが。大分県内のイベントごとだったので、かなり印象に残ったインタビューだった。古いインタビュー記事なので、忘れていた助監督。一つだけ、言い忘れたのが。クラウドファンディングに参加した旨を伝え忘れたのが心残り。助監督に話し掛けたのは、会場で自分だけだろう。
 次に、主役の上村さんにサインを貰った。
 某「サイン良いですか?」
 上村さん「良いですよ」
 某「クラウドファンディングに参加した者です」
 上村さん「そうなんですか。この度は、ありがとうございます」
 冷静で落ち着いた若手俳優。
 パンフレットに記載されてある自分の名前を紹介。
 上村さん「〇さん、ありがとうございます」
 某「あの~もう一枚、サイン良いですか?」
 上村さん「良いですよ」
 自分の次で、サイン書きが終了。危なかった。上村さんで、一番オドオドしてしまった。
 続いて、隣の小中監督にももう一度サインをお願いした。元々持参したのがチラシだった。それが、会場でパンフレットが増えた。結果、二種類にサインをして貰った。
 某「監督、先程はありがとうございました。」
 監督「いえいえ」
 某「もう一度、サインいただけませんか?」
 監督「勿論良いですよ」
 快く受け付けてくれた。対応一つ一つが紳士かつ優しい。推しの監督で良かった。
 某「ありがとうございました」
 流石に、他の会話は控えた。伝えたい事あったけども。監督も忙しいので、胸に閉まった。いつかファンレターで伝えようと思った。
 さらに続いて、配給会社の担当さんが来ていた。シンポジウムで紹介されたので、最後挨拶に行った。
 某「この度は、ありがとうございました」
 担当「いえいえ。こちらこそ、ご覧いただきありがとうございました」
 某「私、クラウドファンディングに参加した者です」
 担当「え! そうなんですか。ありがとうございます。どうです。名前、観られましたか?」
 某「残念ながら、今回その部分がカットされていました」
 担当「え! それは、すみませんでした」
 担当さんの責任じゃないですよ。
 某「昔、映画業界に憧れていました。挫折してしまって、今回このような機会をいただいて、やっと映画に自分の名前を刻む事が出来た貴重な経験になりました」
 担当さんも優しく対応してくれた。皆さん、とても素晴らしい方々でした。至福のひと時だった。
 実は、15年前の8月26日に初の一人旅で東京と横浜へ行った。当時、高校三年生だった。目的は、『大決戦!超ウルトラ8兄弟』のイベント。横浜で、ウルトラマンガイアの吉岡毅志さんと八木毅監督のトークショーが行われた。八木監督と鈴木清プロデューサーにサインを貰うも、吉岡さんのは貰えなかった。握手会で、サインを快諾して貰ったけど。後々、スタッフに阻止された。他にも、サイン欲しがっていた人が居たけど同じく阻止された。吉岡さんは、「ごめん」と手を合わせてくれた。自分にとって、初めて生で見る有名人が吉岡さんだった。その時、「芸能人って、大変なんだなぁ」と思った。それから15年。同じ日に、ウルトラマンシリーズでお馴染みの小中監督作品の上映会で監督に会えた。凄い人生の巡り合わせだ。
 付け加えになるが。海外の各地でも上映されている。つまり、自分の名前が海外にまで広がっている。この作品と出会えた、参加出来た事に感謝している。もちろん、円盤(Blu-ray)も買った。

#今年のふり返り

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