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中小企業の未来を切り開く:IoTとロボットによる省力化投資の推進

みなさん、こんにちは。
行政書士の黒澤正人です。
本日は、2024年申請可能な新たな補助金である「中小企業省力化投資補助金」について概要をお伝えします。


1.補助金事業の目的

本事業は、中小企業が人手不足問題を解決するためにIoTやロボットなどの省力化製品を導入し、売上と生産性を向上させることを目指しています。このための補助金を提供し、事業費の一部をサポートします。補助対象となる製品は事前にリストアップされ、中小企業はこれらから選択して導入できます。これにより、迅速かつ容易に省力化投資を行えるようになり、結果として給与の増加にもつながります。
補助対象となる商品は「省力化製品」と定義されますが、カタログ登録されている汎用製品です。これらは中小企業庁があらかじめ省力化に有効と認めたカテゴリの製品で、申請と審査を経て省力化製品として登録されます。審査では、製品が省力化効果を持つかどうかを定量的に評価し、省力化に関する基準を満たすか確認されます。

2.対象経費と補助額

本事業で補助の対象となるのは、省力化製品の導入経費として製品本体価格と導入費用となります。これらはカタログで事前登録され、保守・サポート費用も目安として示されています。具体的には「機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)及びそれに付随する専用ソ フトウェア・情報システム等の購入に要する経費」です。中古品やリース契約によるものは対象外となりますので注意しましょう。
一方で、補助事業者には自己負担があり交付前に購入した商品には一切適用がされません。また、不正防止策として、事務局は立入調査を行う権限を有し、不正が確認された場合は採択を取り消すことがあります。

補助額および補助率は以下表をご参照ください。

※なお、大幅な賃上げが果たされる場合は補助金額の上限がそれぞれ1.5倍になります。
※大幅な賃上げとは「最低賃金の45円アップ」「支給総額の6%アップ」の要件が必要。

3.申請フローとスケジュール

(1)事前準備(事業計画の策定)

公募要領を熟読した上で、事業者が省力化製品及び販売事業者をカタログから選択し、中小企業等と販売事業者は共同で事業計画の策定を行います。機械等の導入によって、どの程度省力化が進むのかということを計算することが必要であることと、物理的に従業員の動きがどのように変化するかと配置図にして表す必要があります。

(2)交付申請

事業者と販売事業者は共同事業体としての取り決めに同意した上で、公募期間内に申請受付システムを 通じて交付申請を行います。このとき提出する中小企業等の決算・賃金に関する情報は、その時点で期末を迎えてい る直近1年間の事業年度の値を用います。

(3)採択通知および交付決定

中小機構による審査を経て、採択事業者が決定されます。本事業においては、採択と同時に交付決定が行われ、 補助事業者は申請受付システムを通じてその通知を受けることができます。

(4)補助事業期間

交付決定日から原則12か月以内を補助事業期間とし、この間に補助事業を実施し、実績報告の提出をもっ て終了するものとします。実際に商品を購入し、省力化事業に努め結果を報告します。このとき、12か月経過していなくとも計画していた補助事業が終了していれば実績報告書を提出することが可能です。

(5)補助額の確定及び補助金の支払い

実績報告を受け、事務局において補助額の確定を行います。補助額が確定したら、事業者が事務局に対して支払請求を行い、補助金が支払われます。各種費用について、現金支払いは許可されておりませんので、銀行振込での手続きを行ってください。

(6)効果報告期間

事業が終了した後も5年間は毎年効果報告の必要があります。
毎年度4月から6月までに、直近1年間の事業年度における補助事業者の労働生産性や賃金等に関する情報を報告書にまとめ提出します。
交付決定を受けてから、補助事業が終了し、3回目の効果報告(3年間)を提出するまでを、事業計画期間とします。
この報 告をもって労働生産性が成長したかが判断されます。本事業における労働生産性は次のように定義されています。

(労働生産性)=(付加価値額)÷(従業員数)
(付加価値額)=(営業利益)+(人件費)+(減価償却費)
(労働生産性の年率平均成長率)= [{(効果報告時の労働生産性)÷(交付申請時の労働生産性)}^(効果報告回数※) -1 -1]×100%

申請時と比較して労働生産性の年平均成長率を(CAGR)3.0%以上向上させる事業計画を策定し、採択を受けた場合はそれに取り組 まなければなりません。 なお、効果報告期間は5年間(5回目の効果報告を行うまで)とされ、期限までに効果報告が提出されない場合は交付決定を取り消すこともありますので注意しましょう。

(7)財産管理期間

補助事業により取得する資産についてはその処分に制限が課されるため、補助事業の終了後又は効果報告期間の終了後であっても、法定耐用年数を経過するまでの間は省力化製品の適切な管理を行う必要があります。

(8)スケジュール

こちらの補助事業の申請受付はこれからです。現在は製造業者や工業会からの製品登録・カタログ登録を受付ています。共同事業者や商品の検討をしておきましょう。

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