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消費者の権利を守る!「消費者保護法」のポイント

みなさん、こんにちは。
行政書士の黒澤正人です。本日は、消費者保護法についてポイントをお伝えしてまいります。
いわゆる消費者保護法とは、現在は単一の法を指すのではなく複数の法律をまとめた概念のようなものとなっています。現代はSNSの浸透や、便利なオンラインショッピングが流行したことで、契約そのものの形態がいろいろと変化してきています。そこで悪質な業者や契約から、消費者の身を守るために複数の法律が存在し身を守ってくれます。
今日は、その中でも2023年6月に改正された「消費者契約法」についてまとめました。企業の努力義務と消費者の権利について正しく知り、おかしいなと思う契約から身を守りましょう。


消費者契約法について

第一条において、目的を次のように定めています。
この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」(参照:平成十二年法律第六十一号消費者契約法)

目的規定から、「消費者を保護すること」「国民生活の安定と経済の健全な発達」が明確に定められています。経済の発展は重要だけれども、不当に消費者を害することやわかりづらい契約条項で消費者を困惑させるようなことは認められないとされています。
さらに、重要な次の3点について少し細かくみていきます。

①消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し(第4条)

消費者は、例えば以下のような事実があった場合は契約を取り消すことができます。第4条では他にも列記されていますので確認してみましょう。
・重要な事項について事実と異なることを告知した
・将来の価格変動や価値の上昇など不確定な事実を断定的に伝えた
・不利益となる事実を告知しなかった
・消費者がその場から退去してもらうよう要求しているのに退去しなかった
・消費者が退去しようとすることを妨害した
・勧誘する目的を告げずに消費者を退去困難な場所へ連れて行き勧誘した
・威迫する言動を交え、契約の相談を行うための連絡(親など)を妨害した
・財産や身体について不安をあおる告知をして契約させた
・消費者の判断力が低下していることを不当に利用して契約させた
・いわゆる「霊感商法」による契約(現在は、家族からの取消も可能)

②消費者の利益を不当に害することとなる条項は無効(第8条)

消費者の利益を不当に害することとは、事業主にとっては一方的に有利となるとも言えます。次のような条項が無効とされています。
・事業者はすべての責任を免除する条項
・事業者が責任の有無を決定する権利があるとする条項
・消費者の解除権を放棄させる条項
・後見人や保佐人および補助人となると一方的に契約が解除される条項
・平均的な損害額を超えることになる違約金の条項
・その他消費者の利益を一方的に害する条項
・免責の範囲をはっきりと定めていない条項

③適格消費者団体の差し止め請求への対応(第12条)

不特定かつ多数の消費者の利益を擁護するために差止請求権を行使するために必要な適格性を有する消費者団体として内閣総理大臣の認定を受けた法人を「適格消費者団体」といいます。全国に26団体あります。(引用:消費者庁HP)
適格消費者団体から、事業者へ契約の差止請求を行うことができます。伴って、それらの契約条項の開示要請も可能となり要請に応じる努力義務が事業者に課せられました。なお、消費者が相談できる消費者センターとは意味合いが違いますので、混同しないようにしましょう。

まとめ

消費者の権利利益を保護することが最も重要とされています。事業者は契約条項を策定される際は、これらのポイントを抑えられているか確認しましょう。
また、消費者の方は契約条項に違和感があるようであれば消費者センターへ相談しましょう。

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