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万が一、熟年離婚をお考えなら…財産分与における注意点3選

みなさん、こんにちは。
行政書士の黒澤正人です。
現在の日本では3件に1件が離婚(婚姻件数と離婚件数の比較)しており、年間で18万組の夫婦が離婚を決断しています。
これは、毎日約500件が離婚届を提出している計算になります。

さらには、50歳以上になって離婚を決断するいわゆる「熟年離婚」という言葉も浸透してきており、夫婦の形や家族の形が変化してきているといえるかもしれません。私も結婚18年を迎えていますが、この言葉に日々恐れおののいている次第です。

ところで、熟年離婚は夫婦にとって人生の新たなスタートと言えるかもしれませんが、夫婦の一方が経済的に自立できるように財産分与と遺言の準備が重要です。今回は、その中でも特に注意した方がいいポイントを3つにまとめました。

注意点①年金分割

離婚時に行える年金分割には次の2つの制度があります。

1.合意分割制度
2.3号分割制度

合意分割制度とは、当事者の一方または双方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。当事者の合意または裁判手続きにより按分割合を定めることができますが、原則は1/2とされています。なお、国民年金は対象外となります。(合意がまとまらない場合は、当事者の一方の求めにより、裁判所が按分割合を定めることができます。)

3号分割制度とは、国民年金の第3号被保険者(2号保険者の配偶者)であった方からの請求により、相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を強制的に2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度です。なお、「3号分割制度」については、当事者の合意は不要です。

いずれも離婚から2年以内に請求する必要があります。なお期間内であれば、按分割合を決めるために相手方の厚生年金の情報を請求することができます。いくらもらっているか確認してから、割合を決められるということですね。

注意点②財産分与

財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を分割することです。婚姻前から有している財産は対象外となりますので注意しましょう。
具体的には、不動産、貯蓄、退職金、投資資産などが対象となりますが、ローンや借金などいわゆるマイナス資産も分割の対象となります。
また、「婚姻中に協力して築く」という言葉から、離婚前に別居している場合に築いた財産は対象外となります。例えば別居期間が長くなり、その間に相手が購入した自動車は分割の対象外となります。
分割の割合は原則1/2です。また、財産分与とは別に相手方へ慰謝料請求をすることも可能です。

注意点③遺言

離婚した後は、互いに配偶者ではなくなるので遺産を受ける法的権利は失われます。以前に記入した遺言がある場合には、中身を変更しておく必要があるかしれません。例えば、配偶者に財産をすべて渡すという記載では、万が一、相手方への遺贈の意志と受け取られてしまうかもしれません。

遺贈の意志があればよいのですが、そうでない場合は自分の意志を明確にし、しっかりと書き直しを行った方がよいでしょう。これまでの夫婦関係から、残された人たちにも理解いただくようにしておくとよいでしょう。

まとめ

熟年離婚は、心情的な面だけでなく、経済的な面でも大きな影響を及ぼします。財産分与と遺言の準備をしっかりと行うことで、離婚後の生活の基盤を固め、将来の不安を軽減できます。経済的不安をなくし、ご自身の第二の人生を楽しめる余裕を見つけられるとよいですね。
相手方が反対することで、離婚時にもめることも多いと聞きます。財産管理のこともありますから、弁護士など専門家に協力してもらって、法的にも心理的にも健全な離婚準備を進めましょう。

身近な相談から複雑な手続きまで、お問合せはくろさわ行政書士法務事務所まで。いつでも無料相談お待ちしております。


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