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「〆切手帳」開発ストーリー② 紙へのこだわり編

この日は手帳に使う「紙」を選びにきました!
「表紙」と「本文」に、それぞれどんな紙を使うか検討していきます。

平和紙業の西谷さんにお越しいただき、いろんな紙のサンプルを見せていただきました。
デザイナーの山之口さんが「紙のことなら、西谷さんに聞けば間違いないです」と太鼓判を押す、ベテランの問屋さんです。

まずは表紙に使うクラフト紙を見ていきます。

ひとくちにクラフト紙といってもいろいろあります。厚みがあって硬いものや、カラーバリエーションが豊富なもの。水に対する強度も、紙によってさまざまなのだそうです。

今回は1年を通して使う手帳の表紙。つねにカバンに入れて持ち歩くことになります。上からモノを入れることもあるでしょうし、雨の日だってある。ペットボトルと触れ合ったりもするはずです。

だからなるべく、折れ、汚れ、水に強いもの。そして、使うときはひらきやすくて、肌なじみのいいものにしたい……。

紙はどうしても、水を吸うとヨレてゆがんでしまいます。

コーティングをして水をはじくことはできます。でも〆切手帳では、紙の手触りや風合いを大切にしたかった。だからコーティングはやらずに「紙そのもの」の強度が高いものを探しました。

また「厚ければ強い」というわけでもないのは意外でした。厚くて硬い紙は一見すると強そうなのですが、一度折れるとそこが破れてしまいやすいのだそう。

つまり、厚すぎずしなやかで、水を吸いにくい紙がベストというわけです。

「それなら、いいのがありますよ」

と西谷さんが教えてくださったのが、こちらの「バージ」という紙。

「この紙は"紙界最強"だと思いますよ」と西谷さん。

バージはコーティングをしなくても、紙そのものに水を吸いにくい加工が施してあるのです。

さらに食品衛生基準もクリアしていて、直接ドーナツなどの食べものを包むときにも使っていい紙なのだとか。

触ってみると、しなやかでさらさらとした感触。これは手なじみもよさそうです!

実際に本の形になったものを見て、最終判断をすることに。バージのほかに、色合いがよかった2種類のクラフト紙が候補にあがりました。

続いては本文用紙です。

「実は、手帳用の紙ってけっこう限られているんです」と西谷さん。

よくみる手帳の紙って、薄くてさらさらとしたものが多いですよね。薄さのわりに裏写りがしにくく、軽くてひらきやすいのが手帳用紙の特徴です。

ただ今回は、一般的な手帳用紙以外も検討してみることにしました。

手帳用紙にこだわらなければ、本文用紙のバリエーションは一気に広がります。

薄い紙もいいけれど、しっかりした紙にじっくり考えたスケジュールを書き込むのって、テンションが上がる気がしますよね。

書籍に使われるようなしっかりした紙や、漫画に使われるような手触り感のある紙なども、検討してみたかったのです。

実は、大手の手帳メーカーだと、毎年おなじ紙を安定して仕入れないといけないこともあり、変わった紙を使うのはリスクが高いのだそう。

でも今回の〆切手帳は、少部数かつ、初めての手帳制作。だからこそ、ふつうは手帳に使わないような紙にもチャレンジできるのではないかと思いました。

ということで、本文用紙はいったん再検討をすることに。

紙の世界は思った以上に奥深く、とても勉強になる打ち合わせでした。

次回は印刷会社さんを交えて「製本方法」についてもいろいろお伺いしていきます! よろしければ読んでみてくださいね。

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