9 地方公務員なら、長いものに巻かれろ! 〜① 建前先行の悲劇〜
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恐縮ですが、これはフィクションです。
地方公務員の世界で、必要な能力の一つは、長いものにはまかれるということです。これって、しなやかに生きていくためには、どこでも必要な能力かもしれませんが、地方公務員では特に必要なのではないかと思います。
具体的な例で申し上げたほうがわかりやすいかもしれませんので、七側県の例で申し上げます。
七側県では、かれこれ一昔前に、「文書管理システム」というシステムを導入しました。
お役所は、紙が基本です。鉛筆✏️一本買うにも、①買うことにして良いか、②業者から参考見積もりとって良いか、③この金額で買うことにして良いか、④見積もりを徴して良いか、⑤発注して良いか、⑥納品されたので確認した&請求書もらったのでお金支払って良いか、など、全部、紙ベースでお伺いの文書を作り、ハンコをもらって処理していました。
そもそも手続きがこんなに必要なの?とか、疑問がいっぱい湧いてきますが、地方公共団体の原資は皆さんからいただいた税金です。好き勝手に使ったり、自分の懐に入れてしまったりしたら、大変です。また、自分の知っている業者ばかりひいきにしていたら、癒着が起こり収賄なんてことに繋がりかねない。
だから、適切に税金を使ってますよという証拠を残しておく必要があります。このため、手続きも複雑で、処理も紙で行ってきました。だから、10円の物買うにも、書類作成の費用が相当かかる。
また、その証拠である紙の束を使って、一年に一回ちゃんと事務をしているのかという検査、監査と言いますが、これを受けることになります。
民間では考えられないほど非効率だと思いますが、地方公共団体がお金を使うというのは、結構大変なことなんです。つまり、税金を適正に使っているのかということを示すために仕組みや決まりが整えられ、それが何十年もの間、実際の事務処理を行うことによって、改善され、精錬されて、現在の形になったのです。
これを電子化によって、「事務の効率化」と「文書管理の適正化」を目指して変えようとしました。全部紙でやっていることを全部電子化できたら、それはすごいと思いますが、「文書管理システム」なるものは、それほどすごくなく、文書をファイルとして添付できる。決裁ルートを設定して、電子的に決裁できるというものです。
しかし、行政のお仕事は、内部的にで文書を作っておしまいという単純なものではありません。例えば、補助金の申請書や必要書類を紙で出してくる。流石にこれをPDF化してたら、何年やっても終わらないので、こういうものは、電子決裁と「同時に」紙を回すということになり、「電子と紙を併用する決裁」という、電子化したんだか、なんだかわからないものがでてくる。
それでは紙で回すものは、電子の画面見ながらは面倒なので、一応必要な書類を全部つけちゃえってことになる。どういう順番で回るかもわかったほうがいいなんてことになり、決裁欄も設けちゃう。
事ここに至っては、紙決裁だったものに、電子決裁が加わるだけになる。つまり、全く、「事務の効率化」にもなっていない。電子決裁を受ける手続きにかかる手間や時間が増えただけ。
また、紙の決裁も回ってくる。これは、若い人にはわからない感覚かもしれないけど、きちんとチェックをしようと思ったら、紙に勝るものはないです。いざとなったら、書類の束をバラバラにして、並べて、同時にいくつもの書類の複数箇所をクロスオーバー的にチェックできる。だから、紙の方は一生懸命チェックするけど、電子決裁の方は何もチェックせずに、ポチッとする。なので、もういっそのこと、電子決裁には、何もつけない。そこで、もう一つの「文書管理の適正化」という目的も全く達成できない。
それでも、税金を無駄に使ったのではないということを示すためにいつのまにか、「文書管理システム」ではなく「電子決裁システム」と呼ぶ勢いで、「目指せ❗️電子決裁100%」などと、目標をすり替えて、形ばかりの電子決裁を強要してくる。
つまり、「事務の効率化」にも「文書管理の適正化」にも全くつながらない、そして、何が達成できるのか全くわかならい、「電子決裁100%」などという、いかにももっともらしいお題目をつくりだし、庁内のルールとしてしまう。
普通に考えれば、仕事増やしているだけなので、使用を停止すべきだと思うのに、そうはしない。
そして、頭のいい人たちは、反抗すると大変だから、(飛ばされてちゃうので)、誰一人文句を言わず、電子決裁100%にするようにと、指示を出してくる。
つまり、思考停止状態で、長いものにはまかれろ作戦に終始する。
こんなめちゃくちゃな会社はないです。
若い人たちは、そうすることがルールだと教え込まれるので、これもまた、全く疑問を感じない。
何が真の目的なのか、誰も考えない。
本当に、狂った会社だと思います。これが、地方公共団体の実態です。だから、地方公務員を続けるためには、良心を捨てないといけない。思考停止状態が一番。だから、真の思考能力がない「行進」以下が大半を占める世界で、「行進」以下の人たちの知的レベルで物事が進んでいく。
合理的思考を捨てないと、やってられないのです。